沖縄の歌などで耳にする"デイゴの花"は、街路樹として沖縄の街中で植えられている姿を見かけることもありますね。
沖縄県民にとって親しみのあるデイゴは県花に選ばれるほど大切な花です。その一方で「デイゴが咲けば咲くほど台風が来る」と言われているように"嵐を呼ぶ花"とも言われています。
デイゴの花の特徴や県花になった経緯、そしてデイゴに関する言い伝えについてご紹介します。
目次
デイゴとは
デイゴとはマメ科の落葉高木の一種です。花にとても特徴があるのはもちろん、活き活きとした葉やうねるような木にも特徴があります。
デイゴの木の特徴
デイゴはうねりを帯びた幹が特徴で、落葉性ではあるものの木全体が落葉することが少ない植物です。花が咲く枝のみが落葉する傾向にあり、細長く伸びた枝に真っ赤な花だけが咲いている不思議な光景が見られます。
沖縄では柔らかくて加工しやすいことから、木材として使われることが多い植物です。主に漆器の材料となることもあり、沖縄の人の生活にも深く関わっている樹木と言えます。
デイゴの花の特徴
デイゴは密集した真っ赤な花を咲かせるのが特徴です。しかも他の植物とは違い、花が咲く枝は葉が落ちてしまいます。そのため、まるで枯れ枝に花が咲いているような不思議な姿を見せてくれます。
房状の花が根元から咲き始め、枝先に花が咲く頃には根元の花が枯れてしまっていることが多いため、リアルタイムで満開に咲いているデイゴを見られるのは稀です。
それでも枝先にまとまって真っ赤な花が咲いている姿は、なんとも美しい風景だと思います。他の花とは見た目も全然違うので、沖縄を肌で感じたい人はぜひデイゴの咲く時期に訪れてみてはいかがでしょうか。
分布域
デイゴは主にインドやマレー半島が原産となっており、東南アジアなどで見られる花です。沖縄が北限とされていますので、自然下で咲くデイゴを見られるのは国内では沖縄のみになります。
開花時期
デイゴは4月~5月が開花時期で、春の終わりから夏の始まりにかけて咲きます。限られた時期しか咲かないのはもちろん、花も順にすぐ枯れていくため、枝先に咲いている姿を少ししか見られないということもあります。
また、デイゴの木に満開の花が咲き乱れるという姿を見ることは稀なので、満開の時期を狙って観光に訪れるのは難しいかもしれません。
別名
デイゴはエリスリナという別名があります。これはギリシャ語で赤を意味する「erythros(エリスロース)」が語源となっているそうです。また、現地ではアカヨーラと呼ばれることもあります。
なお、デイゴの別名が海紅豆(かいこうず)として紹介されていることもありますが、これは間違いです。海紅豆は鹿児島の県花であるアメリカデイゴの別名なので別の花を指します。
沖縄の県花になったデイゴ
筆者は「沖縄の花=ハイビスカス」というイメージがあるのですが、実は沖縄の県花はデイゴです。ただ、なぜ県花としてデイゴが選ばれたのでしょうか。ここからはその背景についてご紹介します。
県民投票で決まったデイゴ
デイゴは沖縄の県花として県民投票によって決められました。1965年に地元新聞社発案により県民投票が開始され、同年にデイゴが最も多くの投票数を獲得しました。その後、1967年に琉球政府によって公表されました。
改めて県花に選ばれたデイゴ
県民投票の結果を踏まえ、1967年にデイゴが県の花に認定されましたが、当時デイゴを県の花として認定したのは琉球政府でした。
その後、1972年の本土復帰に伴う特別措置としてデイゴは沖縄県の花として再公表されました。
この際に違う花に変更されなかったということから、、デイゴの花がいかに沖縄で愛されている花ということかが伺えます。
デイゴは台風を呼ぶ花?
沖縄では「見事に咲けば咲くほど台風が来る年になる」という言い伝えがあります。デイゴは毎年咲くわけでもなく、その年によって花の量も変わってしまうため、咲き具合で台風の当たり年なのかどうかがわかるとされています。
ただ、この言い伝えには科学的な根拠はありません。あくまでも沖縄ではそう言われているだけであり、実際にデイゴが咲けば台風が本当にやってくるのかどうかはわかりません。
逆に雨量が少ないほどよく咲く花なので、もしかしたらこの言い伝えとは逆のこともありえます。咲くのも咲かないのも読めないデイゴの花だからこそ、この言い伝えは生まれたのかもしれませんね。
まとめ
デイゴの花は沖縄県民にとって欠かすことのできない大切な花です。歌にしたくなるほどに国民から愛されている花と言っても過言ではありません。
ここで紹介した情報はデイゴの基本情報となりますが、沖縄を訪れる予定があるなら知っておくと良いかもしれません。
観光で沖縄を訪れる際には、ぜひともデイゴの咲く時期を狙ってみてはいかがでしょうか。ただ、開花時期の4月~5月は雨量も徐々に多くなってくるため、そこは注意してくださいね。