思い出はなぜ「セピア」色で表現されるの?ノスタルジックな雰囲気のあるセピアの意味とは!?

ドラマや映画などでたまに観る回想シーン。
その時はセピア色と呼ばれる茶褐色で描写されることがあります。

このセピア色で描かれたシーンはなぜか懐かしさを抱く不思議な色合いをしていますよね。

このノスタルジックな趣きのある「セピア色」なぜ過去を振り返る際の色として扱われているのでしょうか。
その名前の由来やその歴史を見ていきましょう。

セピアの語源

 

茶褐色の内の一色にあたるセピア色、その名前の由来を見ていきましょう。

セピアはイカスミ意味する

セピアとは「イカスミ」を指す言葉です。
また、ギリシャ語では「コウイカ」そのものを指す言葉でもあります。

インクとして使われたイカスミ

イカスミがなぜインクの発色、色調を指す言葉になったのでしょうか。
その起源は2000年以上前の時代に遡ります。

はるか昔、ヨーロッパで一時代を築いていた古代ギリシャやローマ帝国では、イカスミをインクとして用いていました。
耐水性と耐候性もあることからイカスミを使ったインクは重宝されていましたが、粒子が粗いことから筆をつまらせる欠点があった他、イカ特有の臭みもあるため次第に使われなくなりました。

しかし、近世になってアルカリや塩酸を用いて加工することで、これらの欠点が克服されるとイカスミは顔料としても用いられるようになり、西洋社会で急速に普及していきました。

このように、イカ墨にはインクとして用いられてきた歴史があることから「セピア」と名前が付けられたようです。

セピアが懐かしさを感じさせる理由

 

セピア色が懐かしさを抱かせるのには、セピアのインクの特性も関係があります。

写真の現像に使われたセピアのインク

顔料として急速に普及したイカスミですが、顔料以外にも、印刷やモノクロ写真の現像でも使われるようになりました。

セピア調とは

 

印刷物や写真に用いられるようになったイカスミを加工して作るインク、これには大きな特徴がありました。
それは時間が経つことでインクの色合いが変化するということです。

最初はモノクロ、すなわち白と黒で印刷されるのですが、、時間が経つにつれ色合いが変化していきます。

白い部分は黄色に変色し、暗い部分は茶褐色へと次第に変化していきます。
そう、私達が古い写真としてみることのあるセピア色の写真です。

あの写真は基本的に元々は白と黒で印刷されていましたが、時間が経つことでセピア色へと次第に変化していきます。
色が薄まりセピア色となった写真というのは、それだけ写真を撮ったときから時間が経っているという証明でもあったわけです。

また、このように茶褐色へ変化していった色調のことは「セピア調」と呼ばれています。
セピア色の写真はノスタルジックな雰囲気を醸し出していますが、本来はただ古いというものではなく、モノクロだったものがセピア色に変化したその時間を味わうものだったようです。

レトロの象徴となったセピア

 

モノクロがセピア色に変わることで時の移ろいを感じるセピア色ですが、現在ではセピア色自体がレトロを感じさせる色合いとなっています。
映像作品では回想シーンなどをセピア色で表現することもありますし、写真に古めかしさを醸し出すためにセピア色でわざわざ現像する写真というのもあります。

最近ではスマートフォンにセピア加工できるアプリもありますので、より気軽にセピア調を味わえるようです。

まとめ

セピアとは元々、イカスミを原料としたインクを指し、転じてそのインクの特性でもある変化した色合いを指す言葉になりました。

現在ではイカスミを原料としたインクは使われていませんので、経年による色合いの変化を見ることは難しくなっていますので、デジタル技術などを使って最初からセピア色にしてあるものを見ることしかできない、というのもまた心惹かれますね。

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