遊びほうけている息子のことを、よく「ドラ息子!」なんて言ったりしますよね。
誰にでも意味が伝わり定着している言葉ですが、ドラ息子の「ドラ」は一体どこから来たのでしょうか?
今回は、ドラ息子の「ドラ」の意外な語源と、「ドラ」にまつわる小話をご紹介いたします。
目次
ドラ息子とは
ドラ息子とは「やんちゃが過ぎたり、怠け者で素行の悪い息子」のことを意味します。
同じような意味合いで「道楽息子」や「放蕩 (ほうとう) 息子」と言うこともあります。つまり、働かずに親のすねをかじりながら遊んで暮らしている怠惰な人物、ということですね。
別の使われ方として「愚息」と同じように、自分の息子を謙遜して紹介する場合に親が使うこともあるようです。
ドラ息子の語源
ドラ息子のドラは「ノラ」から来ているといわれています。
ドラはノラの強調表現?
「ドラ」は「ノラ」の強調表現だといわれています。ところで「ノラ」にはどういう意味があるのか、調べるとこのように書かれていました。
仕事もしないで遊び暮らすこと。また、その人。怠け者。放蕩 (ほうとう) 者。どら。
「ドラ」と、ほとんど同じ意味を持っていますね。「のら」は「のらくら」が短縮された言葉であり、「ドラ」は「ノラ」を強調した言葉だと考えられています。
確かに、「ノラ息子」よりも「ドラ息子!」と言った方が、力が込められていることが伝わりますね。江戸時代にはすでに、怠惰や道楽をして過ごす人に対して「ドラ」という表現を使っていたそうですよ。
ドラ猫も同じ意味
「ドラ」といえば、「ドラ猫」という言葉もあります。サザエさんの主題歌の冒頭にも出てきますよね。
ドラ猫もドラ息子と同じような使われ方をしており、フラフラとうろついて悪さをする猫を指しています。
「ドラ猫」の「ドラ」」も「ノラ」が強調されている言葉という点では同じですが、「ノラ」は「のらくら」の短縮語ではありません。
「ノラ猫」の「ノラ」は「野良」を指しており、野や野原を意味する言葉です。人間に飼われておらず、野原で生活をするノラ猫が盗み食いなどの悪さをする様子から「ドラ猫」と呼ばれるようになったそうです。
ドラ息子の語源ともいわれる小話
ドラ息子の語源といわれる小話もあります
ドラ息子という言葉は「カネをツく」様子から生まれた?
ドラ息子の「ドラ」は「銅鑼(ドラ)」が語源だという小話があります。
銅鑼とは、スタンドに吊るされた円盤型の鐘のことで、仏事や歌舞伎下座音楽、船の出帆の合図などで用いられている打楽器です。昔から叩いた音は「ジャンジャン」と表現されており、今でもその名残からか、競輪でラスト一周が近いことを知らせる打鐘を「ジャンが鳴る」といわれています。
かつての遊郭では、客引きで銅鑼を突いて客入りを知らせていました。遊び人のドラ息子は、働きもせずに金が尽きるまで入り浸っていたので、しょっちゅう銅鑼を鳴らさせていました。この事から付けられたともいわれています。
お金を使い果たす「金を尽く」と、銅鑼を鳴らす「鐘を突く」をなぞらえたんですね。しかし、「ドラ」の語源として事実ではないともいわれていますので、小話として覚えてくださいね。
銅鑼が鳴るようにジャンジャンお金を使っていた様子から付けられた?
「ジャンジャン」鳴ると表現されている銅鑼の音のように、ドラ息子はジャンジャンとお金を使っていたことから付けられたともいう話もあります。
他にも「道楽息子」の略で「ドラ息子」になったという説もあるようですが、これらの説は「ドラ」という響きから後付された説といわれています。
まとめ
「ドラ」にまつわる語源の1つには、昔の人ならではの洒落た小話が隠されていました。
江戸時代にはすでに「ドラ」や「ドラ息子」という言葉が使われていたんですね。それは、日本が豊かになってきたために生まれたスラングだったのでしょうか。
言葉の語源を探ると時代の背景が映し出され、とても興味深いものです。
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出典:dictionary.goo.ne.jp