
報道で当たり前のように「東京都心」という言葉が使われていますが、これが東京都のどの地域を指しているかわかりますか?
実は東京都全般ではなく、その心臓部ともいうべき地域のみを指しています。
では、どの地域が心臓部(都心)にあたるのでしょうか。
さらに「副都心」「新都心」そして現在開発が進められている「新拠点」の指す場所について見ていきましょう。
目次
東京都心とは

「都心」とは都市活動における拠点となる中心地を指します。
経済の中心地だけでなく、交通網の中心地でもあります。
主要のビジネス地区や商業地区を指す、中心業務地区の一種ともいえます。
都心といった場合、「都」は東京都の意味ではなく行政や経済面での中心地区という意味となります。
ですから、大阪や名古屋、福岡に仙台・札幌といった地方都市でも用いられます。
東京都心が指す地域
東京都心といってもその範囲は一定ではありません。
実は使われる場面により示す範囲は異なるのです!
実際にどのように異なるのか見ていきましょう。
都心3区
元々は東京都心といった場合、特に官公庁や大手企業の本社が集中している「千代田区」「港区」「中央区」の事を呼んでいました。
これは東京都や省庁での用い方で、「千代田区」「港区」「中央区」を都心3区と呼ぶことに由来しています。
都心5区
特に不動産関連の指標などを見る際に、上記の都心3区に「新宿区」と「渋谷区」を追加した"都心5区"としてデータなどの収集が行われます。
さらにここに「文京区」も足した"都心6区"というのも不動産業界ではよく使われます。
不動産関連で都心といえばこの「都心5区」や「都心6区」が一般的となっているようです。
東京23区
また、報道用語では東京都心を「東京23区」を指して用いられることもあります。
私たちが耳にする「東京都心」というのはこの「東京23区」を指す場合が多いです。
東京都心といわれて一番イメージするのがこの23区全域を指す都心かもしれませんね。
副都心

中心都市である東京都心には多くの企業が集まったために渋滞などの諸問題が深刻化していき、経済損失が次第に大きくなるなど諸問題が発生していました。
しかし都心は、地盤強度などの問題から高層ビルを乱立することもできない状況にありました。
この状態を打破するため、業務指定地区として新たに設定されたのが「副都心」です。
副都心が指す地域
まずは1958(昭和33)年に「新宿」「渋谷」「池袋」の3ヶ所が副都心として選定されました。
この3都市は現在も3大副都心と呼ばれる重要な土地として栄えています。
1982(昭和57)年になると、東京都のバランスの取れた発達と育成も目指して「上野・浅草」「錦糸町・亀戸」「大崎」の3ヶ所が副都心に選ばれました。
7つ目で最後の副都心となる「お台場」ともよばれるエリアが「東京臨海副都心」として策定されたのは、1995(平成7)年のことです。
新都心

新都心と呼ばれる地域には2種類あります。
一つは有楽町から移転した東京都庁舎のある新宿区西新宿です。
(西新宿を内包する新宿副都心のことを新都心と呼称されることもあります。)
もう一つは東京都の隣接県にある拠点地区です。
東京都に集中しすぎた機能を隣接県に分散させるために、旧国鉄操車場跡地や工場跡地、造船所跡地など広大な土地が用意され、長期間に渡り開発が進められています。
新都心が指す地域
首都機能を補完し、各地域の中心都市となるべく開発されているのが、埼玉県さいたま市の「さいたま新都心」、千葉県千葉市の「幕張新都心」、神奈川県横浜市の「横浜みなとみらい21」です。
政府機関の一部が移管している「さいたま新都心」、多国籍企業や外資系企業の誘致や教育・研究施設を推進する「幕張新都心」、大手企業の誘致から中小企業の活性化を図る「横浜みなとみらい21」などそれぞれ特徴的な都市開発が行われています。
新拠点
交通の要衝であり、多様な機能を備えた複合拠点となるべく、副都心に準ずる地域として再開発が進められている地域を「新拠点」といいます。
2001(平成13)年に東京都が定められた比較的最近再開発が進められるようになった地域です。
新拠点が指す地域
「品川」「秋葉原」「羽田」この3地域が新拠点とされています。
新拠点に選ばれた品川は、2003年に東海道新幹線の停車駅となって以降、オフィス街として発達しています。
品川

品川駅が中央リニア新幹線の始発駅として計画されている他、2020年には山手線・京浜東北線の新駅「高輪ゲートウェイ駅」も開業をはじめるなど、交通の要衝としても更に発達が望まれる地域となっています。
秋葉原

秋葉原は副都心の1つ「上野・浅草」に隣接するエリアですが、近年は電気街・サブカルチャーの土地として知られる観光地という面だけではなく、日比谷線・つくばエクスプレス・山手線・京浜東北線・総武線が通った交通の要衝でもあることからオフィス街としても発達しています。
羽田

羽田空港のある羽田は空路だけでなく、再開発地区として先端産業や文化産業の研究開発施設や先端医療研究センターなどを中心とした施設「羽田イノベーションシティ」の整備が進められています。
まとめ
「東京都心」といっても一般的に「千代田区・港区・中央区」の都心3区を指す場合と、不動産関連などで用いられる「新宿区・渋谷区」を足した都心5区、そして報道用語で「東京23区」をあらわす場合とでバリエーションがあります。
自分では都心3区を指しているつもりでも、人によっては東京23区だと思っている場合もあるので、使う際は認識のすり合わせが必要かもしれませんね。
また、首都機能を都内で分散させた副都心、隣接県に分散させた新都心、そして副都心に準ずる再開発が進み今後の発展が望まれる新拠点と都心に付随する言葉は多くあります。