「糸瓜」の読み方をご存知ですか?実はこれで「ヘチマ」と読みます。一音も漢字と被っていないので、なぜそんな読み方になるのか不思議ですよね。
でも「糸瓜」と書いて「ヘチマ」と読むのには、ちょっと洒落の効いた粋な理由があるようです。
今回はなぜ「糸瓜」を「ヘチマ」と読むのか、そもそもなぜ「糸瓜」と書くのかなどその由来をご紹介します。
目次
ヘチマの名前の由来
ヘチマはウリ科の一年草です。強健なこともあって小学生の成長記録の課題として夏休みの宿題に選ばれるほど作りやすい植物となっています。
始めは読みも「イトウリ」だった?!
今でこそ「ヘチマ」と呼ばれますが、元々は「糸瓜」という漢字から「イトウリ」と呼称されていましたが、後に頭の「イ」が省略され「トウリ」に変化しました。この変化が「ヘチマ」に呼称が更に変化するきっかけになります。
名前の由来は「いろは歌」
「トウリ」が「ヘチマ」へと変化したのには「いろは歌」が関わっているとされています。
こちらの画像を見るとわかっていただけると思いますが、「トウリ」の「ト」はいろは歌の「ヘ」と「チ」の間にありますよね。このことから「ヘとチの間(ま)」で「ヘチマ」と付けられたといわれています。
「糸瓜」の名前の由来
ヘチマの実は様々な用途で利用されます。熟していない若い実は食用とされますし、熟成した実から果肉と種を落とすことでタワシを作ることもできます。
この実の特徴が「糸瓜」という名前の由来とされています。
ヘチマの特徴から付けられた「糸瓜」
ヘチマのタワシは成熟したヘチマの実を繊維だけにして作られます。この繊維を昔の人は糸と表現し、「糸の取れる瓜」の意味で「糸瓜」と名前が付けられました。
体を洗うことにも使えるヘチマのタワシ、まるでスポンジのようになっていますが、あれは全部ヘチマの糸状の繊維だったんですね!
沖縄での名前
沖縄ではヘチマを「ナーベラー」と呼びます。この名前は沖縄では成熟したヘチマの実を「鍋洗い」に使っていたことに由来します。
ヘチマを使った料理がありますので、沖縄でもヘチマは食べてよし、道具にしてよしの便利な植物として利用されていたようですね!
金糸瓜はヘチマではない
糸瓜と名前に付いていますが、「金糸瓜(きんしうり)」はヘチマの仲間ではありません。ヘチマがウリ科ヘチマ属ヘチマ種なのに対し、金糸瓜はウリ科カボチャ属ペポ種です。
そう、金糸瓜はカボチャの一種です。
ただし私達が日常的に食べる西洋カボチャの一種「栗かぼちゃ」や日本カボチャとは違い、ペポ種というハロウィンでジャック・オー・ランタンを作るのに使われるオレンジ色の皮のカボチャやズッキーニの仲間です。
これはアメリカ大陸原産で、日本には明治時代に中国を経由して伝わってきたといわれています。
金糸瓜は果肉をほぐすと素麺状になることから「ソウメンカボチャ」や「ソウメンウリ」と呼ばれることもあります。この素麺上の果肉から、タワシを作るのに使われる成熟したヘチマの繊維を連想して付けられた名前なのかもしれませんね。
まとめ
「糸瓜」と書いて「ヘチマ」と読むのは、まさかのいろは歌を使った洒落た名付けが由来でした。
いろは歌自体は多くの人が聞いたことがあると思いますが、「ヘ」と「チ」の間に「ト」があるからという理由で名付けをしようなんて粋なアイディアですよね!当時の人のセンスに脱帽です!!