カレーライスに欠かせない福神漬け、この組み合わせのはじまりはいつから?

みんな大好きな国民食のカレーライス、その定番の相棒といえば福神漬けですよね。でも、すっかり定番として知られているこの組み合わせですが、そもそもなぜ福神漬けが添えられるようになったのでしょうか?

いくつかの説があるのですが、実は福神漬けだけでも深い歴史があります。ここでは、その福神漬けにフォーカスして、国民食カレーライスの相棒にまで上り詰めた理由をご紹介します。

福神漬けとは

福神漬けとは簡単にいえば野菜を細かく刻み、それを甘めに漬け込んだものです。ここからはそんな福神漬けとはどういうものなのかをご紹介します。

7種の野菜を使った漬物の福神漬け

福神漬けは一般的にダイコンやナス、ナタマメ、レンコン、キュウリ、シソノミ、シイタケもしくは白ゴマなど7種類の材料を使った非発酵型の漬物のことを言います。

それぞれ下漬けした野菜を塩抜きして適量を刻み、醤油と砂糖とみりんで漬け込んでいるのが特徴です。味付けは作る人によって違うのですが、その多くは甘めに調整されています。

これにも理由があるので後ほど詳しく解説したいと思います。

福神漬けにまつわる2つの説

福神漬けの起源には2つの説があります。1つは江戸時代、もう一つは明治時代なので起源としては全く時代が変わるのが特徴です。

了翁道覚説

1つ目の説は、江戸時代初期に上野寛永寺内にあった僧侶の学問所と寮舎を兼ねた勧学寮で出された漬物だという説です。

了翁道覚(りょうおうどうかく)という僧侶が考案したおかずの一種で、野菜の切れ端を干してつくった漬物とされています。

この漬物が非常に美味しく、輪王子宮(日光の輪王寺の住職を上野寛永寺で兼職している皇族)が感銘を受け「福神漬け」と命名したといわれています。

山田屋説

福神漬けにまつわる2つ目の説は、明治時代初期に山田屋の第15代・野田清右衛門が開発した漬物という説です。

この野田清右衛門が作った新しい漬物を「福神漬」という命名したのは、梅亭金鵞(ばいていきんが)という当時の流行作家であったと言われています。

彼は「ダイコン・ナス・ナタマメ・レンコン・キュウリ・シソノミ・シイタケの7種を使っている」こと「おかず要らずで食費が抑えられ金が貯まる」などのことから家に七福神がやってきたかのような幸福感があるとして「福神漬け」と命名したそうです。

また山田屋のそばに上野の不忍池があり、そこに祀られている弁財天にもちなんでいるといわれています。

実際、山田屋はその後店名を「酒悦」と変え、現在も上野の老舗として知られています。非常に縁起がいいという意味で付けられた名前のようですね。

カレーライスに福神漬けが添えられるようになったわけ

福神漬けはもともとご飯のおかずだったと考えられているのですが、それがなぜカレーライスに添えられるようになったのでしょうか。ここからはその理由について詳しくご紹介します。

もともとは別のものが添えられていた

大正時代、日本郵船の欧州航路客船において一等船客に提供されたカレーライスにもともと「チャツネ」が添えられていました。ちなみに二等・三等船客の添え物はたくわんだったといわれています。

チャツネとは

チャツネとは、主に西アジアや南アジアで使われているソースやペースト状の調味料のことで、各家庭ごとにオリジナルのレシピがあります。

決まった材料を使うわけではなく、その種類も家庭の数だけあると言っても過言ではありません。中には野菜だけではなく果物やハーブを使うこともあるようです。

チャツネから取って代わった福神漬

日本郵船の一等船客では、もともとはチャツネをカレーライスに添えていたのですが、ある時チャツネが切れてしまったので代用品として福神漬けが添えられました。

しかし、福神漬けとカレーライスの組み合わせがあまりにも大好評となりました。それ以来カレーライスの添え物は、チャツネから福神漬けに取って代わったといわれています。

時代とともに味付けや色も変わる福神漬

福神漬けといえば赤色のものを想像する人が多いですが、大手カレーチェーンなどに行くとオレンジ色のものも多いですよね。実は時代とともに福神漬けは変化しており、現在でも進化を続けています。

赤い福神漬け

最初の福神漬は赤くなかったのですが、カレーライスの添え物として、福神漬けが使われるようになる以前によく用いられていたチャツネに倣って赤くすることが多かったそうです。

その名残もあり、今でも「福神漬け=赤い」というイメージを持つ人も少なくありません。

赤色からオレンジ色になった福神漬

しかし、赤色だとあまりにも自己主張が強いということで、カレーの邪魔をしないようにカレー用福神漬けが開発されました。それがオレンジ色の福神漬けです。

赤色のものは人口着色料を使っていたのですが、より自然に近いオレンジ色が好まれるようになり、オレンジ色の福神漬も今では多くの場所で見られるようになっています。

甘口になった福神漬

かつてあった日本の軍隊では下士官はお酒が飲めないため、甘いものを求める傾向にありました。

軍の携行品で特に人気だったというのが砂糖醤油で甘く煮染めた牛肉の大和煮の缶詰だったそうで、日露戦争の際は戦場に持っていく牛肉は全部大和煮に加工されたといわれたほどです。

他には海軍名物の一品の肉じゃが、こちらも甘く作られていたそうです。同じ要領で海軍のカレーライスに添えられた福神漬も甘口で漬け込んだものが人気となりました。

甘い料理が散見されるのは退役した軍人により甘い料理が広まったからだといわれています。甘い福神漬もまた退役軍人が広め、食卓に浸透していったと考えられています。

まとめ

すっかりカレーライスの添え物の定番として馴染んでいる福神漬けですが、そこには長い歴史があったわけですね。最初はカレーの添え物といえば西アジアや南アジアのチャツネでしたが、今では改良を重ねた福神漬けが相棒となっています。

普段からカレーを食べている人は、福神漬けのことを知ってから食べてみるとまた感想も違ってくるかもしれませんよ。

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