「辛党」の人が好きなものは・・・?実は辛い物好きのことではない、嗜好をあらわす不思議な言葉

「辛党」という言葉を一度は耳にしたことがあると思いますが、辛党の人は一体どんな食べ物が好きな人のことを意味しているのでしょうか?
文字だけ見ると、辛いものが好きのようにも見えますが・・・、もともとの意味は異なるものを好む人の事だったのです!!

辛党の人が好む食べ物はなに?

 

「辛党」といった場合に想定される嗜好は3つあります。

① 辛い食べ物好き

 

1つは文字通り、唐辛子の効いたものなど辛い食べ物を好む人のことです。

② 酒好き

 

この言葉の元々の意味では、酒好きをあらわしています。
辞書的な意味合いは、この「酒好き」ということになります。

③ しょっぱいの好き

 

辛い物好き、酒飲み以外にも「しょっぱい食べ物が好きな人」を指して辛党と表現されることもあります。

「辛い」食べ物というと、唐辛子など、火を吐くような刺激的な味覚の食べ物を思い浮かべますが、もともとの言葉の意味とは少し異なります。
辛いとは本来、塩味の効いたものや山葵、山椒やお酢を用いた「舌を刺すような鋭い味わい」全般の事を指す言葉です。
今でも、塩の効きすぎた料理を「塩辛い」というと、塩が舌を刺すほど入りすぎている様子を表現しますよね。

そしてお酒を飲む際は、醤油や味噌の効いた塩気の強いしょっぱいものを一緒に食べることが多いことから、しょっぱいものを好む人を「辛党」と表現したりします。

辞書に載っている「酒好き」だけが正解と言い切れない理由

 

現在、辞書に載っている「辛党」は酒好きの意味だけですが、「辛い食べ物」や「しょっぱいもの」好きという意味で辛党と表現するのも一概に間違いとは言い切れないようです。
一説では、辛党は最初から「酒」「辛い食べ物」「しょっぱい食べ物」この3つのいずれかを好きな人の意味合いで使われていたともされます。

また、中には酒飲みや酒好きの意味は後から付けられたという説もあります。
最初は塩辛いものを食べる人のことを指していましたが、酒飲みはしょっぱいものをツマミにすることが多いのことから、比喩表現して酒飲みを指すようになったのだとか。

でもなぜ、酒好きしか辞書に載っていないのでしょうか。それは辞書の取りこぼしが原因とされています。
もともと3つとも辞書に説明書きされていましたが、ある時期から酒飲み以外の意味が取りこぼされてしまい現在に至っているようです。
そして現在では辞書に載っていないことから、辛い物好きやしょっぱいの好きというのは間違いだと主張されるようになったというのです。

対義語はいずれにせよ「甘党」

「辛党」が辛いもの好き、酒好き、しょっぱいの好き、いずれの意味を持つにしても対義語は「甘党」とされています。
ただし甘党は、お酒よりも甘いもののほうが好きな人の意味で使われることが昔から多いことから、酒飲みの対義語としての意味合いが強いようです。

酒好きをあらわす類語

 

酒好きは「辛党」以外の言葉でも表現されているのでご紹介します。

上戸(じょうご)

古代日本で律令制という政治体制では社会組織の最小単位を「戸」と呼んでいました。
この戸は「大戸」「上戸」「中戸」「下戸」の4つに分けられており、「上戸」は二番目に当たる上流階級とされていました。

婚礼の席では、4つの階級で飲める酒の量が決まっており、上戸は8瓶と相当な量を飲めたことから、転じてお酒を飲める人は「上戸」と呼ばれるようになりました。

逆の意味でお酒を飲めない人を「下戸」といいますが、これも律令制の「下戸」から来たとされます。
最下級に当たる下戸の家は婚姻の席で2瓶までと少量しか飲めなかったことから転じて、お酒を飲めない人を「下戸」と呼ぶようになったとされます。

お酒を飲んだ時によく笑うようになる人を「笑い上戸」泣いてしまう人を「泣き上戸」などと表現するのは、この上戸から来ています。

左党(さとう・ひだりとう)

 

大工や鉱夫の職についていた人たちは右手に「槌(つち)」、左手に「鑿(のみ)」を持つことから、左手は「鑿手(のみて)」と呼ばれました。
この鑿手が「飲み手」と同じ発音だったことから語呂合わせで酒飲みを「左利き」というようになり、さらに転じて「左党」と呼ばれるようになったそうです。

お酒を飲めない人を「右党」と呼ぶこともありますが、これは左党という言葉ができた後に生まれた言葉なので特に意味はなく、左に対して右から来た言葉です。

まとめ

「辛党」と一口に言っても実は意味合いは3つあります。
辞書には酒飲みの意味で載っていますが、文字通り辛いものが好きな人やしょっぱいのが好きな人を指す言葉として使うのもいずれも間違いとは言い切れないともされています。

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