「運命」と「宿命」はそっくりな言葉のように見えるけど、実はその意味は大きく異なります。

ロマンチックな場面で「運命」という言葉を使ったり、ドラマチックな場面で「宿命」という言葉を使うなど、この2つの言葉にはなんだか似ている性質がありますよね。

しかし、運命と宿命は実は意味が異なる言葉で、捉え方によっては全然違った意味を持ちます。
運命はどちらかというと人間が受け入れるべきもので、宿命はあらかじめ決まっているものという認識に近いです。

そこで、ここではそっくりと思われがちな言葉、「運命」と「宿命」の違いについて見ていきましょう。

運命とは

 

運命とは「人間の意志を超越して、おとずれる幸福や不幸」、あるいは「おとずれた吉凶による巡り合わせ」のことを指す言葉です。
読み方は「うんめい」と読むのが一般的ですが、表現の仕方によっては「さだめ」と読むこともあります。

運命という言葉には「たまたま起こった」という偶然というよりも「こうなることが決まっていた」という必然に近い印象があります。

一方で、運命は自分の努力次第で変えられるものではないものの、日頃の行いや選択の積み重ねで変わると考えられています。
人生はちょっとした行動が未来を変えてしまいます。
自分が思っていた未来を生きることができている人などほとんどいませんが、人間はそれを受け入れていますよね。
運命とは人生の先で待っているものです。

中国での運命

中国での運命の考えについては、古代中国の殷から周の時代にかけて生まれたとされる「受命思想」が根幹となっていると考えられています。

受命思想とは、天がその権能の一部を人間に分け与え、この世での役割や使命や職業などを定めているという考え方です。
中国の文化や思想に影響を受けている日本でも、この考え方は浸透していて、生まれてきたこと自体に自分のなすべきことがあると信じている人もいますよね。
運命は、これらのことから天命と呼ぶこともあります。

西洋占星術での運命

西洋占星術では、人間が生まれた際の惑星の配置などで、人生で発生することがすでに決まっていると考えています。
特に恋愛や結婚などは人間の思惑を超える力によって、あらかじめ相手が決められているという考え方もあります。

いわゆるソウルメイトというものを指すのですが、その人物に出会えるかどうかは決まっておらず、その人の行動や決断次第になります。
運命の人や運命の赤い糸などという言葉があるように、占いの世界では特にこの運命という言葉が強い意味を持っています。

宿命とは

 

宿命とは「絶対に避けることのできない物事」を意味します。
生まれる前から決まっている人間の定めのことを指す言葉で、原則として人間の力では抗うことができないものとされます。

例えば、この世に生まれてきた人間はいつか必ず死ぬといったように、絶対に避けることができないことに対して用いられることが多いです。

努力しても死から逃れることはできません。宿命はそんな人間の力ではどうしようもできないことを指す言葉となっています。

仏教用語での宿命

仏教では前世における善悪や苦楽などの状態のことを意味するのが、宿命という言葉です。
一点注意したいのが、宿命は通常「しゅくめい」と読むのに対し、仏教用語では「しゅくみょう」と読むという点です。

同じような言葉の「宿世(しゅくせ・すくせ)」には、過去の世・前世という意味があり、前世からの因縁や宿縁という意味合いで使われることが多いです。
これは輪廻転生の考え方にも繋がっており、善き行いをすれば来世でも善い人生を歩めるとする一方で、悪き行いをすれば来世でも悪い人生を歩むことになるという考え方になります。

宿命は人間が避けることのできないものですが、仏教においては前世によって変わる可能性があるとしています。

運命と宿命の違い

 

運命と宿命は意味合いによって変わってきます。
努力次第でこの先の未来が変わっていくのはもちろんですが、それすらも実は定めだったと考えるのが運命です。

逆にどんなに努力しても変わらず、最後まで捻じ曲げられない天命を宿命と言います。

まとめ

私たちは生まれた瞬間から死ぬこと自体は決まっているので、それが宿命と言えます。
しかし、どんな人生を歩むかは運命によって決まっているものの、努力次第で変えることができます。

これが「運命」と「宿命」の違いとなっています。

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