男性が配偶者にまつわる話をするとき、「うちの嫁が~」「奥さんが~」「妻が~」など多様な呼称をされていると思いますが、この呼び方にはそれぞれどんな違いがあるのでしょうか?
調べたところ、配偶者に対して適切ではない言葉もあることが分かりました。
目次
実は間違い!?配偶者を「嫁」とは呼ばないで!
最もポピュラーな配偶者の呼び方に「嫁」という言葉がありますが、実は適切ではない表現のようです。その理由と嫁の正しい使い方について解説します。
配偶者を「嫁」と表現するのは間違い
嫁とは「息子の配偶者」の意味です。
「とつぐ」という訓読みには、「結婚をした女性が、配偶者の家の一員になる」という意味がありますので、パートナーを表現するのには適切ではありません。
また、「嫁」の対義語は「婿」になります。
女性が配偶者を「婿が~」や「うちのお婿さんがね~」と会話することありませんよね?この点からも男性がパートナーを「嫁」と表現するのは適切ではないということが分かります。
「嫁」と呼んでもいいのは誰?
では、誰が嫁という表現を用いるのが正しいのでしょうか。それは、辞書の意味に従えば「結婚した息子の両親」になります。
「嫁ぐ」の意味から拡大解釈しても「結婚した男性の親族」までが使うのが限界なのでは?と調べた結果を踏まえて筆者は考察しましたが、みなさんの捉え方はいかがでしょうか?
妻や奥さんなど他の配偶者の呼称は正しいの?
「嫁」以外にも、配偶者を表現する方法はあります。それらが正しいのか、どのような意味があるのかをご紹介します。
妻
妻は「女性の配偶者」を意味する言葉なので、パートナーの表現として適切な言葉です。
続柄を表記する際も「妻」と書くことからも配偶者の正式な表現だということが分かります。
奥さん
奥さんは他人の妻に対して用いる「奥様」のくだけた表現です。
もともとは身分の高い人物の女性配偶者を指す言葉でしたが、次第に一般家庭の人物に対しても使われるようになりました。
そのため、夫がパートナーを「奥さん」と表現するのは間違いだということになります。
奥さんの由来となった言葉の歴史
由来となる「奥方(おくがた)」という言葉の歴史は古く、室町時代までさかのぼるそうです。
当時、身分の高い人物は、妻を屋敷の奥の方、「奥方」と呼ばれる場所に住まわせていました。屋敷の手前部分は公的な場所で、奥側をプライベートな場所と使い分けていたわけですね。
かつて江戸城にあった「大奥」は将軍の正室や側室を中心にした女性だけの空間だったといいますので、このことからも「奥」というのが女性が住む空間だったということが分かります。
このように「奥方」に住んでいる自分が仕える主の配偶者の事を表現したのが、「奥さん」の由来といわれています。
この由来を見ると確かに、自分のパートナーを表現するのには適さないのが分かりますね。
かみさん
かみさんという言い方も奥さん同様、他人の妻をあらわす言葉ですが、フランクな表現にあたるので目上の人物や親しくない人に対しては用いません。
夫がパートナーを表現するのも本来は間違いです。
目上の人物を指すのに用いられた「上様(かみさま)」が変化して生まれた、商人の妻や女主人を意味する「おかみさん」から「お」が抜けて生まれた言葉とされています。
家内
家内は目上の立場にあたる人物や、それほど親しくない人に対してへりくだって自分の配偶者を表現する際に使われる言葉です。
文字通り「家の内側」「家の中にいる人」を意味し、「家にいて家庭を守る専業主婦」を指します。
現代では共働きが当たり前の社会になっていますので、パートナーを指す言葉としては適切ではないかもしれません。
女房
女房は同等の立場や親しい人物に対して表現する言葉です。
元来の用いられ方の歴史は奥方より更に古く、平安時代までさかのぼります。平安時代、天皇や皇后など高貴な身分の人物に仕え、個室を与えられていた人物は「女房」と呼ばれていました。
それが次第に貴族に仕える侍女、大名など武士階級の正室や側室に仕える女性など広義的に用いられるように変化したことで、現在のように男性が結婚した自分のパートナーを指す言葉になりました。
女性の配偶者の呼び方のまとめ
ここまで女性の配偶者の読み方について説明してきましたが、それぞれ正しい用い方をまとめます。
・妻:男性が自分の配偶者を指すのに使われる表現。書類に続柄を記す際にも使われる。
・嫁:自分の息子の妻を呼称する際に用いる。
・奥さん:他人の妻を呼ぶ際に使われる。
・かみさん:他人の妻を呼ぶ際に使われる。くだけた表現なので親しくない人物や、目上の人を指す場合は用いない。
・家内:男性が自分のパートナーを呼ぶ際の表現のひとつ。
・女房:男性が自分のパートナーを呼ぶ際の表現のひとつ。
まとめ
嫁、奥さん、かみさんという表現は、夫が妻を呼称する際に使う言葉としては本来は適切ではありません。しかし実際には配偶者を呼ぶ言葉として古くから使われていますので、相手が拒否しなければ使うのも問題はありません。
また表現としては正しいかもしれませんが、家内という言葉は専業主婦が減った現在ではミスマッチしている可能性も高いですし、女房は世話を焼いてくれる人というのが本来の意味ですので、パートナーとしての表現は正しいのだろうか?という疑問はありますね。