寒いと服を脱いでしまう「矛盾脱衣」とはいったい何?本当にそんなことがあるの?

極寒の環境下において、人間は体温を保てなくなると数十分~数時間で凍死します。
体温が35℃を下回ると、徐々に生命活動ができなくなっていき低体温症を引き起こすなどをして、最終的には命を落としてしまいます。

この時、身体は寒さを感じるのが普通ですが、死の間際になると暑さを感じることもあるようです。
中には雪山なのに服を脱いでしまうほどの暑さを感じる人もいるのだとか。
それを識者たちの間では「矛盾脱衣」と呼びます。

ここでは、寒さが極まった状態で服を脱いでしまうという「矛盾脱衣」について解説します。

矛盾脱衣とは

 

「矛盾脱衣」とは、寒いはずなのに暑さを感じとってしまうことで服を脱いでしまうという行動です。
矛盾した行動ということで「矛盾脱衣」と呼ばれるようになりました。

日本でも、そして世界中の雪山でも「矛盾脱衣」状態で見つかった例が報告されています。
「逆説的脱衣」という別名でも呼ばれ、その解明が現在でも進められているそうです。

遭難時裸で発見される

遭難事件などが発生した際、遺体が発見された際は多くの場合は厚着した状態なのですが、時に裸で発見されることもあります。
矛盾脱衣については解明が進んでいないことも多く、その奇妙な死については一種の都市伝説のように語られることも少なくありません。

矛盾脱衣では、ちょっと衣服を脱いで体温を調節するというレベルではなく、まるで身体が燃えるような錯覚に陥り、慌てて脱いだようにも見えるのだとか。
そのことから、様々な仮説が立てられています。

矛盾脱衣のメカニズム

 

矛盾脱衣に関しては明確な結論が出ていませんが、少ない証言からある程度の現象がわかっています。
ここからは矛盾脱衣のメカニズムについて、現状で考えられる可能性を解説します。

体温調節の影響という仮説

恒温動物である人間は体温が下がると、逆に体温を上げて調節しようとします。

あまりにも寒い環境下では、その体温調節の際に身体の内部から発せられる熱と外部の気温との差により、暑いと錯覚してしまうのだとか。
そのため、極寒の雪山などでも服を平気で脱いでしまうそうです。

中にはアドレナリン酸化物による幻覚を見ているためだという説がある他、体温調節中枢が麻痺することで異常な代謝が起こるためだという説もあります。
ただ、完全には解明されていません。

解明されていない理由

矛盾脱衣に陥った人はその多くが遺体で発見されるため、当時の状況がわからずに捜査が終わってしまいます。
そのため、解明されていないことが多いのです。

また、遺体はすべて外で亡くなっているわけではなく、タンスの中やコタツの中など、狭い空間に潜り込んだ状態で発見されることがあるようです。
そのため、捜査員も困惑するようです。

数少ない生存者の証言として八甲田雪中行軍遭難事件が有名なので、そちらの意見が引き合いに出されることもありますね。

八甲田雪中行軍遭難事件

 

八甲田山雪中行軍遭難事件が起きたのは、1902年1月のこと。
日本陸軍第8師団歩兵第5連隊が雪中行軍を行った際に、訓練途中に遭難してしまったという事件です。
この訓練に参加した210名中199名が死亡してしまっています。
日本登山史上最悪の山岳遭難事件と言われており、世界的に見ても規模の大きな遭難事件とされています。

この事件の生存者の証言によると、参加した人の中で矛盾脱衣と見られる行動をする人がいたとの記録が残されています。

もしも雪山で遭難してしまったら

もしも雪山で遭難してしまったら、どうすれば良いのでしょうか?
富士山が世界遺産に登録されたことで気軽に雪山登山をする人も増えましたが、雪山は時に人を簡単に殺してしまいます。

そこで、ここからは万が一遭難してしまった時の対処法をご紹介します。

むやみに動き回らない

遭難した際に一番避けたいのは、体力を無駄に消費させてしまうことです。
長い時間発見されないと体力の有無が生死を分けるので、体力は極力消費させないようにすることが重要です。

そのため、むやみに動き回るのではなく、安全な場所を確保して救助を待つというのが鉄則です。
他にも遭難した人がいる場合は、身を寄せ合って体力を温存してください。

寒さをしのぐ

極寒の雪山では寒さによって体力が削られます。
震えることによってもカロリーを消費してしまい、早ければ1日と持たずに死んでしまいます。

そのため、雪がある場合はそこに穴を掘り、通気口のある部屋を作りましょう。
特に雪山で風を直接受けると体温が急激に下がるので、風を防ぐものを配置して保温に務めてください。

また、その場に座るのではなく、ビニールなど濡れない素材の上に座って体温の低下を防ぐことも重要です。

見晴らしのいい場所へ

遭難した際には発見までにかなり時間を要することがあるかもしれません。
そのため、救助隊が捜索に来た際に発見しやすいよう、見晴らしのいい場所に避難しておきましょう。

携帯電話の取り扱い

携帯電話は極寒の環境下だと充電がすぐに切れてしまいます。
これはカメラなどのバッテリーも同様です。

どうしてもバッテリーの消耗が激しくなるため、使わない時は電源を切り、温度が下がりにくい場所で保管しましょう。

電波が届く場合は早急に119番に救助を要請することが重要です。
また、電源を入れたり切ったりする際にもかなりバッテリーを消費するので、必要最低限の利用に留めることが重要です。

まとめ

誰もが遭難するわけではないものの、どんな優れた登山家であっても遭難してしまうことがあります。
その際、極寒の雪山などでは「矛盾脱衣」をしてしまう人もいます。

この矛盾脱衣というのは、非常に寒い状況にあっても服を着ているのも辛いほど暑いと感じて服を脱いでしまうとされる行動です。
なぜ人間がこんな行動を取ってしまうのかは未だに解明されはいないようです。
一説には、体温が下がった時に体温調節として体温を上げようとする体の働きが気温との差により暑いと感じさせてしまうからともいわれています。

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