
鍋料理はもちろん、焼き魚にかけたり牡蠣と大根おろしの和え物にしたりと、私たちの食生活には欠かせない存在になっているポン酢。
では、どうして「ポン酢」と呼ばれるようになったのでしょうか。
柑橘類が入っているし、ポンカンから来た・・・訳ではありません。
では、ポン酢という名前はどこから来たのか。
ここでは、ポン酢がどのような調味料なのか、そしてその名前の由来について解説します!
ポン酢の名前の由来

まずは早速、ポン酢という名称がどこから来たのかを見てみましょう!
語源はオランダ語の「ポンス(pons)」
ポン酢の『ポン』は、柑橘類のポンカンとは全く関係ありません。
実はポン酢という名前は、オランダ語の「ポンス(pons)」から来ているんです。
ポンスというのは、昔ヨーロッパで食前酒として愛飲されていた飲料で、江戸時代にオランダから日本にも伝わりました。
当時の日本ではまだ柑橘類を食する習慣はなく、柑橘の酸っぱさを酢という言葉で表したというのがポン酢の始まり。
ポンスの『ス』の部分に「酢」という漢字を当て字したというわけです。
ポン酢の原型

ポンスというのはカクテルの一種で、ブランデーやラム酒などの蒸留酒に柑橘類の果汁やスパイス、砂糖などを入れて作る現在では「ポンチ」や「パンチ」と呼ばれるものです。
ところが食前酒の習慣がなかった日本では違う形、調味料としてその名前が定着していくこととなりました。
ポンスは現代のオランダでは廃語になっているそうですが、イギリスでパンチへと変化して、日本でもおなじみのフルーツパンチ(ポンチ)が生まれました。
ポン酢とフルーツポンチが同じものから生まれていたなんて、驚きですね!
ポンスの語源はインドにあり
ポンス(pons)という言葉は、インドの中部や北部を主として使われているヒンディー語を語源としています。
ヒンディー語では5つを意味する言葉で、5つの原料を使って作る飲み物ということから名付けられたということです。
インドの言葉がオランダでカクテルを表す言葉となり、さらに日本では調味料になってしまうなんて。
言葉の変化って面白いものですね。
実はポン酢ではない?私たちの食卓で見かけるポン酢

ところでポン酢と聞いたとき、最初にどんなものを思い浮かべますか?
よくテレビCMなどでも見かける、醤油のような色の調味料という方も多いのではないでしょうか。
しかし、本来ポン酢は酢と同じような色をしています。
それもそのはず、ポン酢というのは柑橘類の果汁を入れた醸造酢のことだからです。
レモンやライム、スダチやカボス、それにゆずポン酢でおなじみのゆずなどの果汁が使われています。
わたしたちは略してポン酢と呼んでいるのは、多くの場合そのポン酢に醤油をあわせた「ポン酢醤油」のこと。
鍋や湯豆腐などのときに食卓に出されるのは、味付きポン酢とも呼ばれるポン酢醤油であることが多いので、ポン酢本来の形で目にする機会は案外少ないのかもしれませんね。
ポンカンの「ポン」はポン酢とは無関係

ここまで見てきたように、ポン酢のポンはポンカンとは関係がありません。
ちなみに、ポンカンの原産地はインド。
原産地周辺とされる地名のプーナ (Poona) と柑橘類の柑をあわせてポンカンという名前になったそうです。
ポンカンの原産はインドで、ポン酢の原型とされるポンス(pons)はオランダから渡来したということからも、ポンカンとポン酢は無関係ということがわかります。
とはいえポンカンとponsにはインドつながりがあるので、どこか遠いところで繋がっていると言えなくもないような気はしますが。
まとめ
ポン酢の名前はオランダで飲まれていた柑橘類を用いた食前酒にあたるカクテルから来ていました。
日本では食前酒やカクテルという文化が無かったため、柑橘類を用いた調味料としてその名前が残ったようですね。
ポンカンとは全く関連性は無いのですが、ポン酢の原型ポンスはインドのヒンドゥー語から、ポンカンの原産地はインドという思いがけない共通点があることが分かりました。
意外なつながりがあるものですね。