どうにもならない状況を指す「にっちもさっちも」という言葉。
この言葉は、商売や計算から生まれた言葉です。
ではなぜ「にっちもさっちも」という言葉が生まれたのか。
ここでは、この「にっちもさっちも」という言葉について、その意味や由来、類義語などを見ていきましょう。
またビジネス用語「ニッチ」との関係性についても見ていきましょう。
目次
「にっちもさっちも」とは
まずは「にっちもさっちも」という言葉について、その意味や類義語を見ていきましょう。
「にっちもさっちも」の意味
「にっちもさっちも」は、物事が行き詰まり、身動きの取れない様子を意味します。
どうにもこうにもならないといった状態を指す言葉です。
「にっちもさっちも」の類義語
「にっちもさっちも」の類義語としては、「抜き差しならない」や「のっぴきならない」などがあげられます。
抜き差しならない
「抜き差しならない」とは、処置のしようがないことを意味します。
抜き出すことも指し込むこともできない状態からきたとされる表現です。
のっぴきならない
「のっぴきならない」とは、対処のしようがないことを指します。
退くことも引くこともできない状態のことです。
進むことも戻ることもできないような場面を「退き引き(のきひき)できない」と表現されていました。
これが転じて「のっぴきならない」となったわけです。
手に負えない状態になっていることの例えとしても使用されます。
「にっちもさっちも」の由来
ここからは「にっちもさっちも」がどのようにして生まれたのかを見ていきましょう。
そろばんの割り算「二進」と「三進」から来た言葉
「にっちもさっちも」は、そろばんの割り算から来た言葉とされています。
「にっちもさっちも」は漢字表記で「二進も三進も」となりますが、この「二進」と「三進」はどちらも「二進も三進も」そろばんの割り算を指します。
二進は「二進一十」の略で、2÷2なので商が1になることを意味します。
三進は「三進一十」の略で、3÷3は商が1になることを表しています。
「二進も三進もいかない」が省略されて「にっちもさっちも」に
二進も三進もどちらも割り切れることを意味しているわけです。
しかし、割り切れないことを「二進も三進もいかない」と言うことで、やりくりができなくなる様子を差すようになったとされています。
これが省略されたことで、現在の「にっちもさっちも」という形に落ち着いた
「ニッチ」との関係は?
ビジネス用語として「ニッチ」という言葉があります。
この「ニッチ」は「にっちもさっちも」とはどのような関係性がある言葉なのでしょうか。
「ニッチ」とは
「ニッチ」とは、隙間を意味する言葉です。
そこから、日本のビジネス用語としては、競合の少ないマイナーな事業領域を表す際に用いられます。
隙間産業そのものを指すこともあります。
「にっちもさっちも」と「ニッチ」は関係ない!
「にっちもさっちも」と「ニッチ」の間に関係性はありません。
「ニッチ」の由来は、英語の「niche」です。
この「niche」には、くぼみや得意分野、適所といった意味があります。
まとめ
「にっちもさっちも」は、どうにもならない状況となっていることを指します。
そろばんで用いる割り算の「二進」と「三進」から来ているとされています。
ちなみに、マイナーなことを指す「ニッチ」は関係のない言葉となります。