演技上手な有袋類、オポッサムが得意なのはある行動の真似なのです!!

世の中には厳しい自然界で生き残るために、様々な特技を駆使して生き延びている動物が多く存在しています。
数ある生き残り術の中でも、面白い特技を持っているのが、北米大陸に生息する有袋類の「オポッサム」です。

なんとこのオポッサムという動物は演技が上手で、特に「死んだふり」が得意なんだとか。
オポッサムはなぜ死んだふりをすると自然界で生き残れるのか、その理由も併せて特徴や生態について見ていきましょう。

オポッサムの生態について

 

オポッサムは、オポッサム科オポッサム属に分類される有袋類で、北米大陸と南米大陸を合わせて約70種ほどいると考えられています。
今回はその中でも、アメリカやカナダに生息する「キタオポッサム」をご紹介します。

大きさや姿

 

オポッサムの体長は約30cm~50cm、その体重は約1kg~2.5kgとされています。
尻尾の長さは約25cm~55cmほどなので、体長と同じかそれ以上の長さということになります。

見た目は大きなネズミやイタチにも似た姿をしており、耳は大きくて自由に折りたたむことができます。

また、体長と同程度ある尻尾は細く、毛が生えていません。
物をつかむこともできる器用さがあるのが、この尻尾の特徴のひとつでもあります。

毛色は灰色や白色の部分と黒色や茶色の部分があり、かわいらしいです!

生息地

キタオポッサムは、アメリカやカナダなど北米大陸に生息しています。
オポッサム種全体としては北米大陸以外にも、メキシコ、グアテマラ、コスタリカ、ニカラグアなどの中南米の自然豊かな地域に生息しています。

木登りが得意

オポッサムは、木登りが非常に得意です。
ずっと樹木の上で過ごし、天敵に見つかることが多くなる地面に降りてくることは少ない、そんな個体もいるそうです。

鋭い爪は木の皮に食い込むほど強く、どんな樹木でも簡単に登れるため、樹木の上での生活は何も問題ありません。

また、長く器用な尻尾は枝を掴むのに役立ち、手足のようにも使えるため、樹木の上での生活はむしろオポッサムにとって快適なものなのかもしれませんね。

さらに、他の動物が作った古い巣穴や木の空洞を巣にすることも多く、生息地域では巣から顔を覗かせるオポッサムの姿が確認されています。

オポッサムの食事

樹上で多くの時間を過ごすこともあるオポッサムですが、その食事は雑食性です。
小型の昆虫類から爬虫類、鳥類や哺乳類まで食べる他、腐肉食性と呼ばれる特性を持っていることから道路で車に轢かれてしまった動物の死肉を食べる姿も確認されています。

また、樹上にいることもあって木の実といった果実を食べることもあります。
民家に侵入してゴミを漁ることもあり、家畜として育てられているニワトリを食べてしまうこともあるため、オポッサムの生息地に近い場所に住んでいると、厄介な被害にあうこともあります。

演技がうまいオポッサム

 

さて、前置きが長くなりましたが、オポッサムは死んだふりがうまい動物です。
しかし、なぜそんな演技をするのでしょうか?

「死んだふり」をするオポッサム

オポッサムは、天敵に狙われそうになるとパタッと倒れ込み、本当に死んでしまったかのような姿へと様変わりします。
触られたり噛まれたりしても微動だにしないことから、他の動物に「・・・あぁ、これは死んでいるんだな」と思わせるには十分なほどです!

中には、舌まで出して死んだふりをするオポッサムや、死臭によく似た悪臭を放つオポッサムもいるとされています。

実際に一度死んだふりをすると、数時間は仮死に近い状態となるものもいるそうです。
そして、天敵が興味を失ったり油断したりした隙に、猛スピードで逃げていくわけです。

なぜ死んだふりをするのか

なぜオポッサムは死んだふりをするのかというと、これは生きている獲物しか狙わない捕食者から身を守るためです。
野性動物の中には、自分たちで捕まえた獲物しか口にしないものもいます。

そういった動物にとって、目の前で倒れてしまったオポッサムは餌の対象から外れるので、生き延びることができるというわけなんですね。

一説によると、天敵と出会ったショックでアドレナリンが異常分泌し、それによって一時的に仮死状態になっているとする説もあります。
逆に脳波を調べると活動状態になっているので、あくまで演技で死んだふりをしているという説もあります。

オポッサムは子だくさん

 

オポッサムは死んだふりをするだけでも驚きなのですが、実は子だくさんでもあります。
ここからは、オポッサムがどれだけ多くの子どもを産むのかについてご紹介します。

哺乳類で一番妊娠期間が短い

オポッサムは哺乳類の中で一番妊娠期間が短いとされる動物です。
その妊娠期間はわずか12日前後。

妊娠してから2週間もしないうちに出産してしまいます。
そのため、生まれたばかりの子たちはミツバチほどの大きさしかいないそうです。

また、一度に20匹ほど産むのですが、最大で56匹産んだ記録も残っています。
ただし、乳首が13個しかないということもあり、ミルクが飲めずに死んでしまう子どももいるそうです。

有袋類ということもあり、子どもたちは生まれてからすぐに母親のお腹にある袋に入って生活します。

生き残るのは困難

オポッサムは子だくさんですが、ミルクを平等に与えることができません。
一度に20匹ほど生まれてくるのに、母親には乳首が13個しかないからです。

そのため、ミルクを飲めない子たちは成長することができず、死んでしまいます。

また、中には母親のお腹の袋にたどり着けずに死んでしまう場合もあるなど、生まれた時から激しい生存競争を強いられる動物でもあるのです。

まとめ

オポッサムは天敵に狙われた際、噛まれても反応しないという徹底した"死んだふり"をします。
実際に仮死状態となっている説もあるなど、ある意味では本当に一時的に死んでいる状態と言えます。

また、非常に短期間で多くの赤ちゃんを産む特徴もあります。
しかし、その赤ちゃんたちは生まれた瞬間から壮絶な生存競争に生き抜く必要があります。

中には生まれてから母親のお腹にある袋まで移動することもできず、命を落としてしまうものもいるのだとか。
かなり過酷ですよね。

日本ではマイナーな存在ですが、キタオポッサムの生息地である北米大陸や、オポッサム種の生息する中南米では市街地でもその姿を見ることがあります。

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