自分とは無関係の人、縁もゆかりもない人のことを「赤の他人」と言いますよね。
では、なぜ「赤の他人」というのでしょうか?
また「赤の他人」以外にも、「赤っ恥」「真っ赤な嘘」「赤裸々」など「赤」を使った日本語の表現がたくさんあります。
実は、これらの言葉で用いられている「赤」には、ある共通点があるとする説がありますよ。
目次
赤の他人とは
全く縁もゆかりもない人のことを「赤の他人」と言いますよね。まずは、「赤の他人」の意味や類義語について見ていきましょう。
意味
「赤の他人」とは、全く縁のない他人、何の関わりもない他人、完全に無関係な人を意味します。
類義語
何の関わりもない人を意味する「赤の他人」の類義語には、「無縁の人」「縁もゆかりもない人」があります。
ちなみに縁もゆかりも・・・の「ゆかり」は、「所縁」と書き「縁」と同じ意味です。
いずれも関係がないということを強調した言葉ととなります。
「赤」の由来とされる説①
なぜ「赤の他人」は、ただの「他人」と言わず「赤」と表現するのでしょうか?
その由来はいくつかの説がありますが、今回はその中でも代表的な2つの説について見ていきましょう。
赤は強調表現
由来のひとつに、赤は強調表現だというものがあります。
赤には「明らかに」という意味があるため、「赤の他人」は「明らかな他人」という意味で、他人であることをより強調するために使われています。
実際、私たちの周りには「赤」が強調表現として使われる言葉はあるものですよ。
赤を強調表現として用いる言葉
「赤の他人」の他にも、赤を強調表現として用いる言葉はいくつかあります。
赤っ恥
「赤っ恥」とは、ものすごく恥ずかしいことを意味します。
赤面するほどひどい恥をかいた時に、「赤っ恥をかく」という表現をよくしますね。
真っ赤な嘘
「真っ赤な嘘」は本当の部分がまったくない嘘、明らかな嘘のことを言います。
ただの「嘘」よりも明らかな嘘であることが分かりますね。
赤裸々
「赤裸々」は、包み隠さない、まるはだか、何もないという意味です。
一糸まとわない様子を「赤裸々」といい、話す上で全く何も包み隠すことがないという意味になります。
裸が2つ重なっている上に、赤でその様子を表現しているので、本当に何も隠していない状態というのが伝わってくる言葉ですね。
赤の反対は黒
日本語の「赤」の語源は意味と同様「アカ(明)るい」で、夜が明けてあかるくなるという意味から、色の「赤」に転用されました。
そして、日本語の「黒」の語源は「クラ(暗)い」で、日が暮れて暗くなるという意味から、色の「黒」に転用されました。
つまり、赤と黒は反対の意味になるのです。
原始日本語では、黒の対義語は「白」ではなく、「赤」であったともいわれています。
ちなみに赤の対とされがちな「青」はぼんやりしている状態なので、対となる色がハッキリしたことを指す「白」とされています。
「赤」の由来とされる説②
「赤」の由来とされる説は、強調表現だけではありません。
仏教用語である「閼伽(あか)」が転じたという説もあります。
閼伽とは仏教において仏前や墓前に供えられる水のこと。
つまり、「赤の他人」は「閼伽のように冷たい関係の他人」という解釈になります。
まとめ
「赤の他人」「赤っ恥」「真っ赤な嘘」など、「赤」がつく言葉はたくさんあります。
「赤」の語源は諸説ありますが、その中のひとつに「赤は強調表現となる」という説があります。
赤を付けることによってより強調した表現になるのです。
「赤の他人」はただ知らない人という意味合いではなく、全く無関係の人、縁もゆかりも全くない人という強調した意味になります。
「赤っ恥」「真っ赤な嘘」なども、「赤の他人」と同じように強調した表現になっています。
他にも、仏教用語で仏前や墓前に供えられる水を指す「閼伽(あか)」から来たという説もあります。
この説の場合は、赤っ恥など他の言葉との関連はないということになります。