【しかつめらしい】しかめっつらと混合されることもある語の意味や由来はなに?

「しかつめらしい」と「しかめっつら」、この2つの言葉は混合されてしまうこともありますが、その意味は全くことなります。

そこでここでは、両方の言葉の意味や由来にどのような違いがあるのかを見ていきましょう。

「しかつめらしい」とは

 

まずは「しかつめらしい」の意味と、「しかめっ面」との意味の違いについて見ていきましょう。

しかつめらしいの意味

「しかつめらしい」とはまじめくさっており、堅苦しい様子を指す言葉です。
もっともらしい様子や道理にかなっているようなふるまいを表す際にも使われます。

もっともらしい、道理にかなっているように見える振る舞いというのは、本当に理屈に合っているかは分かりません。
ハッタリだったり演技をしている場合があります。
あくまでも、それっぽく見える状態に過ぎない場合でも使われる言葉ということです。

しかめっつらとは違う

「しかつめらしい」と「しかめっつら」は語感が似ていることから混合されることがあります。
とはいえ、根本的にはそれぞれの意味が違います。

しかめっつらは不機嫌そうに眉間にしわを寄せることを指します。

例えば「しかつめらしい挨拶」は、かたっ苦しい挨拶を指します。
もし「しかめっつらの挨拶」という言葉があれば、それは苦虫を噛み潰したような表情でする挨拶という事になるでしょう。
顔を見るのもよほど嫌な人との挨拶でもないかぎりおこりえない状況ですね。
まじめすぎるお堅い挨拶とは全く異なる言葉というのが、この用い方からも分かりますね。

しかめっつらという言葉は、「しかめる」という言葉から来ています。
このしかめるは、縮こまるという意味を持つ「しじかむ」から来ています。

しかつめらしいの成り立ち

 

では、「しかつめらしい」という言葉はどのように生まれたのでしょうか。
ここからはその成り立ちについて見ていきましょう。

しかつめらしいの由来

しかつめらしいは、「しかりつべくあらし」という言葉から生まれた言葉です。
「しかりつべくあらし」が簡略化し「しかつべらし」という言葉が使われるようになり、最終的に「しかつめらしい」となったとされています。

原型の「しかりつべくあらし」は「しかり」「つ」「べし」「あ(る)らし」が一語になった言葉です。
「しかり」は然りと表記し、そうであるという意味。
「つ」は完了・強調の助動詞で、「べし」は当然の意味の助動詞です。
「あ(る)らし」は動詞「ある」に推定の助動詞「らし」が付いたもので、あるらしい・あるに違いないということになります。

言葉全体としてはそうであるのが当然であるらしいという、非常にわかりにくいニュアンスの言葉になっています。

漢字表記は「鹿爪らしい」

しかつめらしいの漢字表記は「鹿爪らしい」となります。
この漢字表記は当て字であり、鹿の爪とは関係ありません。

また、なぜ鹿と爪が漢字として当てられたのかもはっきりとはわかっておらず、詳細は不明のままです。

本当の意味は違う?!誤用されがちな日本語

 

日本語には誤用されている語が多くあります。
「しかつめらしい」と「しかめっつら」が混合されているというのも、その例のひとつです。

すべからく

「すべからくは」は、「すべて」という意味で使われることもあります。
本来は、「なすべきこと」もしくは「当然するべきこと」や「する必要があること」などの意味を持つ言葉です。

にやける

「にやける」は、「薄笑い」という意味で使っている方が多いですが、本来は「(男性が)ナヨナヨしている」ことをあらわす語句です。

もともと男性がナヨナヨしていることを指す言葉だったのですが、ナヨナヨしている様子というのも今とは意味合いが異なります。
現在では弱弱しく頼りないという意味合いで使われますが、当時は色っぽい男性という意味で使われていました。

それが時代とともに変化していくなかで、誤用されるようになってしまったようです。

おもむろに

「おもむろに」は、「急に」「突然に」という意味で使われることが多いですが、本来は「ゆっくりと」という意味で使うのが正しいです。
しかも、すぐに動き出すのではなく、徐々に徐々に動いていくというニュアンスを含むの言葉となります。

まとめ

「しかつめらしい」は「しかめっつら」と混合されることもありますが、「しかつめらしい」は真面目で堅苦しい様子、もしくは道理にかなっておりもっともらしく振舞う様子を指す言葉となります。
「しかめっ面」は眉間にしわを寄せることを意味するので、その使い方も全然違います。

しかつめらしいの元になったのは「しかりつべくあらし」という語で、意味は「そうであるのが当然であるらしい」という勿体ぶった言い回しになっています。

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