世話をすることを指す「手塩にかける」、その言葉の由来はかつての食事時の風景から

あれこれと自分で世話を焼くことを「手塩にかける」と言いますが、この言葉の由来について知っている方は少ないかもしれません。

手塩にかけるという言葉から考察し、手と塩が関係しているのかと考えたりする人も多いはずです。
ところがこの手塩にかけるの由来は、かつての食卓の風景が語源となっているとされています。

そこで、ここでは手塩にかけるの意味はもちろん、由来について見ていきましょう。

「手塩にかける」とは

 

まずは「手塩にかける」の意味や勘違いされやすい誤用について解説します。

「手塩にかける」の意味

手塩にかけるとは、自分からあれこれと世話をして大切に育てることを意味します。

その対象は人だけではありません。
野菜を手間暇かけて育成することにも用いられますし、時間をかけて練り上げる作品に対しても使われます。

「手塩をかける」は誤り

「手塩にかける」は誤った表現をされることがあります。
それは「手塩をかける」という使い方です。
この用い方は、結論から言うと間違いとなります。

あくまでも熟語として「手塩に」という使われ方をする言葉なので、そこは間違えないように注意しましょう。

「手塩にかける」の由来

 

では、「手塩にかける」という言葉はどこから生まれたのでしょうか。
これに関しては、昔の日本の食事が語源となっているそうです。

昔の食事風景から

「手塩にかける」という言葉は江戸時代から使われるようになったとされています。

江戸時代、食事の際は各自の膳の横に味を調整するための塩が置いてありました。
これは自分の手で味を調整するというのが目的だったそうです。

そこから、手間をかけたり面倒を見たりするという意味で「手塩にかける」という言葉が使われるようになりました。

原型となったのは「手塩皿」

江戸時代の食事に塩が添えられていたというのは手塩皿という風習から来ています。
手塩皿とは塩を持った小さな皿のことです。

室町時代ごろから食膳の不浄を払う事を目的に、塩を盛ったお皿が用意用意されるようになりました。
この塩が盛られた小皿というのが手塩皿と呼ばれるようになりました。

元々は味付けを調整するためではなく、食膳を清めるというのが目的だったのです。

現在の手塩皿

現在では「手塩皿」は若干異なる使われ方をします。
香の物などを盛りつけるための豆皿や小皿を指します。

別名では「おてしょ」とも呼ばれます。

「手塩にかける」の類義語

 

「手塩にかける」という言葉はあれこれと世話をするという意味ですが、ここからはその類義語をご紹介します。

手をかける

「手をかける」とは人手を費やしたり手数をかけたりすることです。

自分の手で行うことを意味する言葉であり、手塩にかけるとは意味が似ているだけではなく字面や発音なども似ています。
そのため、「手間をかける」のように混合されることがあります。

その一方、手出しをするや盗みをはたらくという全く違う用い方がされる言葉でもあります。

丹精を込める

丹精とは嘘偽りのない心や誠実な心根を意味します。
そのため「丹精を込める」とは真心を込めて物事を行うことを意味するので、手塩にかけるとはとても似た言葉となります。

精魂を込める

精魂は精神と魂の事です。
そのため「精魂を込める」という言葉は、情熱を持って作ったり育てたりすることを指します。
この理由から、手塩にかけると非常に意味が似ている語のひとつとなります。

丹念に

「丹念に」は、心を込めて念入りに細部まで注意を払うことを意味する言葉です。
こちらも手塩にかけると同様の言葉となっています。

まとめ

「手塩にかける」とは、何かを作ったり育てたりする際に、あれこれと自分で世話をすることを指す言葉となっています。
そんな手塩にかけるは、昔の食卓の風景が由来となっており、自分で味を調節するために各自の塩を使っていたところが語源とされます。
似たような言葉も多く、特に「手をかける」と混合してしまい「手塩をかける」という間違った使い方をされることもあります。

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