ドングリの木とはよくいわれますが、実は正式な分類として「ドングリの木」とされている種類の樹木は存在しません。
では、どのような木にドングリが実るのかというと、主にブナ科の樹木に実ります。
そこで、ここではドングリというものがどういう樹木に実るのか、種子なのか果物なのか、といった情報について見ていきましょう。
目次
「ドングリの木」という木は存在しない
まず最初にお伝えておくのは、植物の分類として「ドングリの木」というものは存在しないということです。
それはどういうことなのでしょうか。
ドングリの正体
「ドングリ」とは、ブナ科の樹木に実るものを指します。
なお、ドングリは果実の俗称であり、種子ではありません。
ブナ科の樹木になる果実の一部を指すので、「ドングリの木」という木は存在しないことなんですね。
強いていえば、ブナ科の樹木の中でも、ドングリを実らせる樹木を「ドングリの実る木」と呼ぶことはできるかもしれませんね!
ドングリとは呼ばれないブナ科の果実
ブナ科の樹木には、ドングリが実るという共通点があります。
しかし中には、ドングリではなく固有の名称を持つ果実のなる樹木も存在します。
クリの木の果実は、「栗」もしくは「栗の実」と呼ばれます。
シイに実る果実は「椎(しい)の実」と呼ばれます。
ドングリは、ブナ科の果実における一種の総称ではありますが、ブナの果実は「ブナの実」や「そばぐり」と呼ばれ、区別されます。
ブナ科の果実全般を指すわけではない、ということですね。
ドングリの実の特徴
ドングリは、その多くの表面が非常に硬くかつ滑らかになっています。
枝に近い部分は、帽子のような「殻斗」があります。
落ちているドングリだと分かりにくいですが、この殻斗は一つの枝に何個も連なっています。
その殻斗の先に実るのが、硬く滑らかな表面をした果実、「堅果」の部分です。
このドングリは種子ではなく、あくまでも果実となっています。
ドングリが実る木の種類
ドングリが実るのは主にブナ科の樹木です。
その中でも、常緑樹と落葉樹に分類することができます。
分類を細分化すると、日本固有種では約22種類のドングリが実る樹木があるとされています。
交配などによって生まれる樹木もあるため、厳密にはより多くの種類があるともされていますよ。
常緑樹のドングリの実る木
ドングリが実る木の中でも、常緑樹の木はドングリが落ちた秋が過ぎ、冬になっても葉を落とさない木です。
深緑色をした大きな葉を持っている種類が多いとされており、落下したドングリは葉の陰になって発見しにくいことも。
アカガシやシラカシ、スダジイなどがあります。
落葉樹のドングリの木
落葉樹のドングリの木は、ドングリがなってから冬になると葉を全て落とす種類の木となっています。
秋になると黄葉するのが特徴となっています。
ミズナラやクヌギ、カシワといった木があります。
食物としてのドングリ
ドングリは、かつて日本でも主食とされた果実です。
また、地域によっては現在も食べらているところもあります。
日本で主食とされたこともあるドングリ
かつて日本ではドングリを主食としていた歴史があります。
特に、縄文時代から弥生時代の古代日本人が主食として食べていたとされており、当時は豊富な栄養源の1つだったとされています。
現代であっても一部地域の郷土料理などでは食べられることもあります。
ナラやカシのドングリは渋みが強いため、生食には向いておりません。
食す場合はアク抜きが必要となります。
対して、シイの木になるドングリは甘みもあるので生食も可能とされています。
現在ではドングリを主食として食べる風習が廃れています。
これはどのドングリが生食が可能か、アク抜きが必要な種類はどれなのかを見極める必要があるからかもしれませんね。
動物にとって重要な主食
日本ではあまり食べなくなってひさしいドングですが、動物にとっては重要な食べ物です。
特にリスやネズミ、クマや鳥たちにとって貴重な主食となることもあって、森の生態系を支える存在といっても過言ではありません。
その他、虫たちも食べたりすることがあるので、ドングリは多くの生き物の命を支えているのです。
ドングリに卵を産む昆虫
秋や冬になるとたまに穴が開いたドングリを見かけることがありますよね!
それはもしかしたら昆虫の仕業かもしれません。
コナラの木に実るドングリには、卵を産む昆虫がいます。
その昆虫はゾウムシの仲間とされており、持ち前の頑丈な顎を使ってドングリに穴を開けてその穴の中に卵を産む習性があります。
まとめ
ドングリは、「ドングリの木」と呼ばれる樹木に実るものではありません。
ブナ科の樹木に実るものの俗称です。
そのため、樹木によって形状などは若干異なるものの、ドングリが実る木というのは実はたくさんの種類があります。