魔法の言葉「開けゴマ!」はなんでゴマ?そこにはどんな意味が込められているの?

「開けゴマ」という魔法の呪文、一度は聞いたことがあると思います。
この呪文は絵本などにもなっている「アリババと40人の盗賊」に出てきます。

この呪文に出てくるゴマというのは、食材にもなるあの「胡麻」のことなのですが、日本語以外にも現地イスラム社会でも英語でも胡麻を指す呪文となっています。

ではなぜ魔法の呪文は「開けゴマ!」になったのか、その起源や意味について解説します。

「開けゴマ」は物語で出てくる魔法の言葉

 

「開けゴマ!」は、千夜一夜物語ともいわれる「アラビアンナイト」の中のひとつ「アリババと40人の盗賊」に出てくる魔法の言葉です。
ではまず、「開けゴマ!」の出てくる「アリババと40人の盗賊」とはどういう物語なのか、そして「アラビアンナイト」とは何かについて見ていきましょう。

「アリババと40人の盗賊」とは

「アリババと40人の盗賊」とは、イスラム世界に伝わる「アラビアンナイト」という物語集のひとつです。
ところが実際のところ、アラビアンナイトの原本には収録されていないんだとか。

話の物語としては以下の通りです。

※※※※※※※※※

昔むかし、ペルシアの国にアリババという青年がいました。
彼はまじめな働き者でしたが、生活はなかなか大変なものでした。

そんな彼が山に薪を集めるために入ったある日の事です。
アリババが薪を拾うために身をかがめているすぐそばに荷物をたくさん抱えた40人ほどの盗賊団がやってきました。

盗賊団の頭領と思しき人物が何もない岩の前で「開けゴマ!」と叫びました。
すると、岩が扉のように開き、そこから洞窟が出現したのです。

盗賊たちが洞窟に入っていくと岩の扉は勝手に閉じ、しばらくするとまた開きました。
先ほどまで大荷物だった盗賊団は今度は何も持たず出てきました。

その姿からアリババは気付きます。
ここは盗賊たちが奪った宝石や宝物を隠す秘密のアジトなのだという事に。

強奪した宝石や宝物を洞窟に隠しているのを目撃してしまい、さらには秘密の呪文も聞いたアリババ。
彼は、盗賊たちがその場を去るのを待つと、「開けゴマ!」の呪文を使い岩の扉を開くと持てるだけの財宝や金貨を持って街へ戻りました。

持ち出した宝のおかげで金持ちになったアリババは、もちろん盗賊団のアジトの事も「開けゴマ!」のことも秘密にしていました。
しかし、これまでの生活を知っていたアリババの兄弟で商人のカシムに疑われ、ついに秘密を教えてしまいました。

秘密を知ったカシムは、喜び勇んで盗賊団のアジトに行き、誰もいないことを確認すると「開けゴマ!」と唱えて岩の扉を開きます。
そして、盗賊団の隠していた大量の金銀財宝を持ち帰るべく外に出ようとしたのですが、洞窟は閉まっていました。

魔法の呪文をもう一度唱えれば洞窟は再び開くのですが、財宝に心奪われていたカシムはなんと「開けゴマ!」という言葉を忘れてしまっていました。
カシムがなんとか呪文を思い出そうと躍起になっている最中、とうとう盗賊が戻ってきてしまいました。

そして頭領が「開けゴマ!」と叫ぶと、中には見たことも無い人物が。
そう、カシムです。

残念なことに盗賊のもとに盗みに来ていることがバレたカシムが、街に戻ることはありませんでした。

「アラビアンナイト」とは

アラビアンナイトとは、イスラムの世界に伝わる説話集のことです。
アラビアンナイトという名前だけでなく、「千夜一夜物語」や「千一夜物語」と呼ばれることもあります。

この物語集は、シェヘラザードというペルシア王妃が毎夜毎晩、女性不信となったシャフリヤール王のために物語を語る、という形式が採られています。
ちなみに、シャフリヤールという王は実在しませんので、前提自体が物語になっているという事になります。

「アリババと40人の盗賊」以外にも、「アラジンと魔法のランプ」や「シンドバッドの冒険」が知られています。
ところが、前述したように「アリババと40人の盗賊」は原典に存在しないとされる他、「アラジンと魔法のランプ」や「シンドバッドの冒険」といった知名度の高い物語も原典にはないんだとか。

「開けゴマ」という呪文の意味と由来は?

 

アリババと40人の盗賊で出てきた「開けゴマ」。
一見すると意味不明なこの言葉が、なぜ使われていたのでしょうか?

「開けゴマ」という呪文の意味

アラビアンナイトの物語のひとつとなる「アリババと40人の盗賊」で使用されている「開けゴマ」。
作中では、扉を開けるための呪文としています。

盗賊団が奪ってきた金銀財宝を隠すための秘密の場所。
そこの入り口を塞ぐための岩の扉を開閉するための魔法の呪文となっています。

なぜ「開けゴマ」なの?

実は、この呪文の由来は不明とされています。
「アリババと40人の盗賊」という物語ができる前に、この言葉がイスラム世界において使われたことがあるのかについても詳細はわかっていない謎多き言葉です。

しかし由来についてはいくつか考えられています。
ひとつは収穫方法です。
ゴマは、熟すとちょっとした衝撃でさやが開き、弾け出てきます。
この様子から呪文に用いられることになったという考えがあります。

また、ゴマは貴重な食材でした。
そのことから、宝物に見立てて財宝や宝石を隠す扉の呪文になったとも考えられています。

他にもゴマを意味するアラビア圏の言葉からもき「ゴマ」を意味するアラビア語は「シムシム」というのですが、「シム」という言葉は「毒」を意味する言葉として用いられます。
そこから転じて、霊的な力があるともさえ、呪文になったのではとされています。

外国でも「ゴマ」

「開けゴマ」という呪文は、日本語版独自というわけではありません。
各言語版、いずれでも植物もしくは食品の「ゴマ」を指す言葉が使われています。

フランス語の原文では「Sésame, ouvre-toi(セサミ、ウーヴル トワ)」と表記されています。
これを日本語に訳せば「ゴマよ!汝開きたまえ!」となります。

アラビア語でもゴマを意味する「افتح يا سمسم(イフタフ ヤー シムシム)」といいます。
ちなみに、アラビア語は右から左に読むので訳す際には目に入る文字の順と読みが変わるので注意が必要です。
まず「سمسم 」がシムシムと読みます。
意味は前述したとおり、ゴマを指します。
そして「يا 」が掛け声の意味で、ヤーと読みます。
そして「افتح 」がイフタフと読み開くの意味です。
合わせると「ゴマよ、開け!」となりますね。

また、英語でも「Open Sesame」としてそのまま物語に登場しています。

どの言語でも「開けゴマ」と訳せる呪文ですし、いずれにもゴマのこと意味する単語が入っています。

同じく魔法の呪文やおまじないできく「ちちんぷいぷい」とは

 

日本ではいくつかのおまじないや呪文として定型の言葉を使うことがありますよね。
その中のひとつに「ちちんぷいぷい」があります。
この言葉はどのような意味で使われるのでしょうか。

けがをした子をなだめるための言葉だった

もともと「ちちんぷいぷい」とは、単独で使われる言葉では無かったとされます。

「ちちんぷいぷい、痛いの痛いの、飛んでけ!」と用いられてきました。
そう、怪我をして泣いている子供などをなだめる際に使われる言葉だったんですね。

昔はちょっと違う言葉だった?

「ちちんぷいぷい」は、はじめ「チチンプイプイ御代の御宝」という具合に唱えたとされます。
これは「知人武勇御代の御宝」が語源とされています。
つまり、もともとは痛みをごまかすための言葉では無く、宝物に関連した言葉だったわけです。

まとめ

「開けゴマ」はアラビアンナイトの物語のひとつ「アリババと40人の盗賊」に出てくる魔法の呪文です。
その呪文は盗賊が宝物を隠す洞窟に設けた岩の扉に施されていました。

アラビア語版でもフランス語や英語でも同様の呪文が使われていますが、その由来は実は明確になっていません。
そのため、熟した頃にさやから弾け飛ぶ様子から来たとも、宝石のように貴重な食材だったからともいわれています。

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