「とびこ」は、色が朱色になり、バラバラになった数の子のように見えます。
この「とびこ」というのは、トビウオの卵です。
魚卵というと、数の子やいくらが代表的です。
しかし、「とびこ」とはどのような違いがあるのでしょうか。
そこでここでは、とびこについてだけでなく、他の魚卵との違いについても見ていきましょう。
目次
「とびこ」とは
まずはじめに、「とびこ」がどのような魚卵なのかを見ていきましょう!
「とびこ」はトビウオの魚卵!
とびことはトビウオの魚卵を塩漬けにしたものです。
地域によっては「とびっこ」と呼ぶこともあるのですが、この名称は水産加工会社の商標登録となっている呼び名です。
そのため、場合によっては「飛卵」と表記されていることもあります。
このとびこ、漢字表記は「飛子」となります。
これは、トビウオをあらわす「飛魚」から来ています。
トビウオの子だから、「とびこ」というわけですね!
このとびこ、主にちらし寿司や軍艦巻きなどにして食されることが多いです。
トビウオはこんな魚
トビウオは、ダツ目トビウオ科に分類される魚です。
地域によっては「アゴ」「タチウオ」などとも呼ばれます。
このトビウオ、太平洋からインド洋、大西洋に広く分布しており、世界には約50種いるとされています。
日本近海でも20種類~30種ほどいるのだとか。
その特徴は何と言っても、水中から海上に飛び出して滑空する姿にあります。
この滑空する姿が名前の由来にもなっています。
「とびこ」の驚きの事実
とびこは、塩漬けされたものを口にするのが一般的です。
そのため、加工前の姿には驚きの事実あったりします!
「とびこ」は本来黄色い?!
とびこと言えば、紅色をしているものが主流ですよね。
特に軍艦巻きやちらし寿司では、艶やのある紅色をしているのが印象的です。
ところが、本来のとびこは黄金色なのです。
この黄金色いのとびこを塩漬けする際に着色することで、私たちの知っている紅色のとびこになります。
紅色以外にも、とびこは緑色や橙色のものなどがありますが、これらも着色によって見た目を華やかにしているものです。
その「とびこ」の親はシシャモかもしれない
とびこは本来、トビウオから採取されたものです。
しかし、シシャモ(カラフトシシャモ)の魚卵がとびことして出回っていることもあります。
シシャモの代用魚でもあるカラフトシシャモ(キャペリン)の魚卵が、とびこの代用にされていることもあるのです。
さしずめ代用卵とでもいえばいいのでしょうか。
そのため、もしかしたら普段口にしているとびこは、シシャモの魚卵かもしれないのです!
ちなみに、とびこもまた代用にされることがあります。
それが、キャビアです。
とびこを黒く着色したものを、キャビアとして流通されることもあるのだとか。
他の魚卵との違い
ここからは、いくらや数の子といった他の魚卵との違いについて見ていきましょう。
いくらとの違い
とびこはトビウオが親魚なのに対して、いくらの親魚はサケです。
また、とびこは小さいのに対していくらは大きいというサイズ感の違いもあります。
いくらは小粒でも3mmほどありますし、大粒のものとなると5~~6mmほどの大きさにもなります。
とびこは1mm程度なので、単純に大きさだけでも数倍違いますね。
数の子との違い
数の子とも親魚が違います。
数の子は、ニシンから採取される魚卵となっています。
また、とびこは粒が密集しているのに対して、数の子の場合は卵同士がお互いに結着し合って一つの塊のようになっています。
用途にも違いがあります。
数の子の場合、正月や結納などの縁起物として用いられることがあります。
ブリコとの違い
ブリコとは、ハタハタから採れる魚卵の事です。
名前から、ブリの魚卵かと感じてしまいますが、全く別物です。
このブリコとは、東北地方、特に秋田での名称です。
そのため、聞き馴染みのない人も多いかもしれません。
ちなみに、秋田では冬になると、このブリコが大漁に海岸に流れ着く場所もあるそうです。
2~3mmほどの卵があつまり、野球のボールサイズになったものが打ち寄せた景色というのは、不思議なものがありますね。
まとめ
とびこは、トビウオから採れる魚卵の事です。
一般的には紅色という印象がありますが、実際のとびこは黄金色です。
紅色なのは、加工する際に着色されるからなのだとか。
そのため、緑や朱色、オレンジなどにも着色されることもありますし、中には黒に着色され、キャビアの代用とされるものもあるそうです。