半年分のケガレを祓う「夏越の祓」とはどんな行事?

「夏越の祓」は、年明けからの半年分の穢れを祓うための行事です。
セットとなる行事として、年を超える前に穢れを祓うための「年越の祓」があります。

そこでここでは、「夏越の祓」の時期はいつか、具体的に何をすべきなのかについてご紹介します。
また、「年越の祓」についてもまとめています。

「夏越の祓」の時期

 

まずは「夏越の祓」が行われる時期についてみてみましょう。

旧来の「夏越の祓」の時期

旧暦の時代、「夏越の祓」は、当時の6月末に行われてきました。
半年分の穢れを落とす行事であり、向こう半年の厄除けを祈願する行事でもあります。

そのため、1年の半分を終えた時期となる6月に行われたわけです。

現在も6月の終わりに行われる

旧暦と現在の暦には一ヶ月ほど差異があります。
旧暦6月は現在の7月ごろに相当するので、「夏越の祓」が行われるのは7月の終わりかな、と考える人もいるかもしれません。

ところが実際には、その年の半年の穢れを祓うという目的の「夏越の祓」は、現在の暦でも6月の終わりに行われています。

ただし、中には「夏越の祓」を違う時期に執り行う神社もあります。
そのため、参加する際はお参りしに行く神社でいつ「夏越の祓」がおこなわれるか確認しておいた方がよいでしょう。

「夏越の祓」では何を行う?

「夏越の祓」では具体的に何を行うのでしょうか?
代表的な物をここではご紹介します。

茅の輪くぐり

 

「夏越の祓」の定番とされるのが、「茅の輪くぐり」です。
茅の輪とはチガヤという草で編んだ輪のことです。

神社の境内に作られた茅の輪を、「水無月の夏越の祓する人は千歳の命延ぶというなり」と唱えながら8の字を書くように3度くぐり抜けることで、厄払いになるとされています。
くぐることで穢れや災いを免れられるとされる茅の輪は、「夏越の祓」の時期になると日本各地の神社に設置されます。

人形代

 

また、「人形代(ひとからしろ)」を使った厄落としも行われます。

人形代とは、人の形を紙の模したお払いの道具です。
この人形代に人の穢れや災いを移し、身代わりとして川や海に流します。
その際、自分の名前や年齢などを書き、人形代で体を撫で、息を吹きかけてからお祈りするなどの作法がありますが、この作法は場所によって違いがありますのでご注意下さい。

また、人形を川や海に流すだけではなく、篝火を焚いたり火を使い清めたりして厄を落とすこともあります。

ちなみに、人形代を紙でなく、藁などで作る場所もあります。
身代わりとなる人形代を用いず、自分自身が川や海に入水してお祓いをする地方もあるのだとか!

「夏越の祓」で食す和菓子もある!

 

「夏越の祓」では、ある和菓子を食べる風習もあります。
その和菓子が旧暦の6月をあらわす名前を持つ「水無月」です。

水無月とは、ういろうの上に小豆が乗った三角形のお菓子のことです。
かつての宮中では冬にできた氷を、夏に向けて氷室と呼ばれる設備に貯蔵していました。
そして夏が来ると、氷を切り出して食し、暑気払いをするという行事が行われていました。

水無月はこの宮中での行事で貴族が口にしていた氷を模して生まれたとされます。
また、小豆は赤いことから邪気を祓う役割もあったとされ厄払いの役目もこのお菓子にはあったとされています。

かつて冷房も冷蔵庫もない時代は、蒸し暑くなる7月に病気が流行することも多々ありました。
また、夏バテなどによって体力も消耗します。
そこで、甘く食べやすいお菓子の水無月が重宝されたのかもしれませんね!

対となる「年越の祓」

 

「夏越の祓」には対ともいうべき「年越の祓」という行事があります。

「年越の祓」の時期

「年越しの祓」は、12月末の大晦日に行われる行事です。

この行事も「夏越の祓」同様、全国各地の神社で行われています。
特に札幌の西野神社や仙台の東照宮、千葉の千葉神社、名古屋の針名神社、沖縄の普天間宮などで執り行われるものが知られています。

「年越の祓」は、その年もしくは「夏越の祓」以降の半年のうちに、知らず知らず犯していた穢れを取り除き、年明けに備える行事です。
「夏越の祓」と同じように、人形代を川や海などに流す厄除けが行われます。

まとめ

「夏越の祓」は、毎年6月に執り行う行事です。
この行事では、半年間にあった罪を祓うための厄払いが行われます。
また、向こう半年間の祈願をする行事でもあります。

この「夏越の祓」と対ともいうべき行事が「年越の祓」です。
こちらは年明けを直前に控えた大晦日に、その年の一年とも「夏越の祓」からの半年ともいわれる期間に貯まった穢れを祓う行事となっています。

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