
「手持ち無沙汰」や「刃傷沙汰」などといった表現がありますが、この沙汰はそれぞれ違う意味で使われています。
そのため、使用される場面ごとにその意味は変わります。
そこでここでは、多くの使い方や意味のある「沙汰」についてみていきましょう。
目次
多様な意味で用いられる「沙汰」

沙汰という言葉は、状況次第で意味が変わり、多くのものを指すことができます。
裁定・裁決・裁判
裁定や裁決、裁判の意味が、沙汰にはあります。
物事を処理すること全般を表現することができます。
特に物事の善悪・是非などを論じ定める際に用いられます。
この意味で使われる言葉としては「地獄の沙汰も金次第」などがあります。
通知・命令・指示
通知や命令、指示という意味もあります。
これは、決定したことなどを知らせることを指します。
また、広く一般に公表することなどを表す言葉でもあります。
この意味で用いられる言葉には「追って沙汰する」「沙汰を仰ぐ」「沙汰を待て」などがあります。
連絡・便り
連絡や頼りなどもあらわします。
特に特定の人に対しての知らせなどを指したりします。
これらの意味で使用される言葉には「ご無沙汰」「音沙汰もない」などがあります。
話題・噂などを取り上げる行為
話題や噂という意味で用いられることもあります。
話題として注目を向けたり噂することを指します。
この意味の場合、名詞ではなく「取り沙汰する」などのように、動詞的役割で使用されることが多いです。
事件・問題のある行為
事件や問題のある行為についての表現としても使われます。
特に問題となるような事件を扱う際に用います。
物事の是非が問われる行為に対して使用します。
この意味では「刃傷沙汰」「正気の沙汰」「表沙汰」「色恋沙汰」などがあります。
「沙汰」の成り立ち

ここからは、「沙汰」という言葉の成り立ちについて見ていきましょう。
「沙」と「汰」のそれぞれの意味
沙汰は、「沙」という漢字と「汰」という漢字からなりますが、それぞれの意味が結びついて一つの意味になっています。
「沙」は、さらさらした砂を意味します。
「汰」は、選び分けることをあらわしています。
つまり、沙汰は砂の中から選び分けることをあらわす言葉から来ているという事です。
そこから、物事の是非を選び分けることを指すようなったほか、正しく処理する様子や始末することをあらわすようになりました。
これらの背景から、「沙汰」は物事はっきりさせることを多く意味するようになったわけです。
砂金を探し出す様子をあらわす語だった
もともと沙汰は、砂金を探す様子をあらわす言葉でした。
川底などの砂をすくい、そこから砂金を探し出すことを「沙汰」と呼んでいたのです。
これが転じて、物や人物の精粗を選り分けることをあらわすようになったと考えられています。
今とは違う意味で用いられていた「無沙汰」

沙汰の使用例のひとつ「無沙汰」は、今とは違う意味で用いられていました。
ここからは無沙汰という言葉についてもご紹介します。
現在の「無沙汰」
現在「無沙汰」というと、あたまに「ご」を付けて「ご無沙汰」と表現するのが一般的です。
このご無沙汰は、久しく連絡が取れていない事、連絡が途絶えている様子いう意味で用いられています。
かつての「無沙汰」
沙汰は、かつて年貢を払うことを意味していました。
その年貢を支払わないことや怠ることが、「無沙汰」と言われていました。
まとめ
沙汰は多くの意味を持つ言葉となっています。
総じて、物事をはっきりさせるという意味合いで使われます。
沙汰はもともと砂金を探し出す様子から来た言葉です。
そのため、選び取って判断するという意味で考えるとわかりやすいかもしれません。