和菓子の「最中」にはどんな意味があるの?ところで「最中」って読みが複数あって紛らわしいですね・・・

和菓子の定番のひとつ「最中」。
しかし、最中はよくよく考えると謎の多い名前です。
「もなか」と読めば和菓子となる一方で、「さいちゅう」や「さなか」と読めば意味が変わってきます。

ここでは、最中について、和菓子と言葉の2つの面から見ていきましょう。

和菓子の「最中」とは

 

まずは和菓子としての最中について見ていきましょう。

「最中」はこんな和菓子

最中とは、餅や米粉から作った皮で餡を挟んだ和菓子のことです。
この皮は皮種・菓子種・最中種・種物などと呼ばれます。

この最中、原型は半生菓子のクレープ状の食べ物だったとされます。

その昔、もち米の粉を水でこねて蒸した食べ物がありました。
それを薄く延ばして円形に切ったものを焼き、そこに水あめや蜜をかけて食べる菓子がありました。
そう、最中の原型に餡は含まれておらず、皮に相当する部分だけしかなかったのです。

これが時代を経て、現代のようなパリッとした食感の皮に近しいものに変化していきました。
この皮の原型に、餡を挟むというアイディアが生まれたのは江戸時代とされます。

その後も皮には創意工夫が重ねられて行き、明治期以降になって現在の最中の皮が完成したとされています。
最中の皮が、皮種・菓子種・最中種・種物といくつもの呼び名があるのは、かつては独立した和菓子だったことによるのだとか。

中身に定義はない

江戸時代になって、餡が皮に挟まれるようになりました。
しかし、最中の中身に関しては、これが入っていけないといった定義はありません。

こしあんや粒あんといった餡はもちろん、うぐいすあんや白あん、そして他の具材も入れます。
栗や求肥、餅などを入れたものもありますね。

現在では、バニラアイスをはじめたとした多くのアイスを挟んだ商品もあります。
あまりにおいしく、違和感が無いのでアイス最中は世界的にあるのでは?と思ってしまうかもしれませんが、日本独自のアイスのスタイルという事になりますね。

このように最中は自由自在の和菓子なのです!

「最中」という名前

 

では、最中という名前はどこから生まれたのでしょうか?

由来は平安時代の和歌

最中という名前の由来は、平安時代にあるとされています。
「源順(みなもとのしたごう)」という貴族が、月見の宴の中で以下の和歌が詠みました。

池の面に 照る月なみを 数ふれば 今宵ぞ秋の もなかなりける

この和歌のおわりにある「もなかなりける」が最中の語源とされています。

和歌に因んで作られたのが「最中」

この和歌は、池に映る月を見て今日の暦を思い出せば、そうだ今日は満月の日ではないかといった意味があります。
そして、この時の月見の宴では、白くて丸い餅菓子が供されていました。

和歌を聞き、その餅菓子を見たある貴族は、ちょうどこの餅菓子が満月を思わせると考えました。
そこからこの餅菓子は「最中の月」と呼ばれるようになりました。
こうして、和菓子の名前のひとつに「最中の月」という名前のものが生まれたのです。

そして時代は下って江戸時代。
和菓子屋「竹村伊勢」は、餅や米粉から作った皮に餡を挟む菓子を作りました。
この時、特徴として皮は円形にしたのだとか。

すると、これがかつて平安貴族が月見の宴で口にしたという伝承がある「最中の月」を思わせました。
そこから、この和菓子も「最中の月」と呼ばれるようになりました。

この「最中の月」の名称が次第と短くなったことで、現在の「最中」という名前になったとされています。

紛らわしい「最中」の読み

 

最中は「もなか」以外の読みもあるため、紛らわしいです。
ここからは言葉としての最中について見ていきましょう。

「さいちゅう」とも読む

最中は「さいちゅう」と読むことがあります。
これは、物事の真っ盛りという意味の言葉となります。

「さなか」という読みもある

最中は「さなか」とも読めます。

「さなか」の意味も、「さいちゅう」とおおよそ同じです。
物事などが一番盛り上がる、最高潮の時を指します。

まとめ

最中は、餅や米粉を使い薄く焼いた皮で餡を包んだ和菓子です。
この菓子は室町時代に原形があったとされ、現代のように餡をくるむ形式のものは江戸時代に広まったとされています。

ただ、この「最中」は和菓子以外の意味もあります。
「さいちゅう」や「さなか」と呼ばれる場合は、物事の真っ盛りを指す言葉となります。

和菓子の最中と言葉の最中は、あらわすものが全く異なる語句となります。

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