「双璧をなす」の双璧とはなに?「壁」ではないので書き間違いには気を付けて!

優れた人や優れたものが並ぶことを「双璧をなす」と言います。
これは、ある優れた兄弟から生まれた言葉なのだとか。
しかし、この「璧」というのは、そもそも何をあらわしているのでしょうか。

そこでここでは、「双璧をなす」という言葉について解説します。

「双璧をなす」とは

 

まずは「双璧をなす」という言葉の意味などを見ていきましょう。

「双璧をなす」の意味

「双璧をなす」とは、どちらがより優れているか判断がつけられない2つのものを指す言葉です。
この言葉があらわす「2つのもの」はどちらも優れているものでなくてはなりません。
人や物が同じように優れていることをあらわしているのです。

勝るとも劣らない、どちらも優れている際の表現として使います。

「どんぐりの背比べ」や「五十歩百歩」とは違う!

「双璧をなす」に似たような言葉として「どんぐりの背比べ」や「五十歩百歩」などがありますが、これらは別物です。
「どんぐりの背比べ」や「五十歩百歩」は、レベルが低いものを2つ比べる際に使用します。

「双璧をなす」は、どちらもレベルが高い状態をあらわす言葉です。
一方で「どんぐりの背比べ」「五十歩百歩」は2つを比べるという点では共通しているのですが根本的な対象が異なるのです。

「双璧」とはなに?

 

ここからは「双璧をなす」の「璧」があらわすものについて見ていきましょう。

「璧」は祭儀用の宝石の事

「双璧」は、一対の璧のことです。

この「璧」とは、祭儀などで使用される玉器の一種です。
中央に穴の開いた円盤状の形状をしており、軟玉などから作られてきました。

この璧が2つあることを「双璧」を表現しているわけです。

日常では見かけることのない特殊な漢字である事から「壁(かべ)」だと思われることがありますが、全くの別物と言う事になります。
漢字も発音も似ているため、注意が必要ですね!

由来となったのは「優れた2人の評価」

この「双璧をなす」という言葉は、中国の北朝(北魏・西魏・東魏・北斉・​北周・隋)について書かれた史書「北史」の陸凱伝に由来します。

北魏の官僚だった「陸凱」という人物には、優秀な2人の息子がいました。
その兄弟のことを洛陽の長官であった人物が「双璧」と称しました。

「双璧をなす」は、そんな優劣つけがたい2人を評価から来ている言葉なのです。

もともとは、優秀な人物を古くから重宝されてきた「璧」に例えた言葉だったというわけです。
それが後に、人だけではなく物などにも使用されるようになったのです。

「双璧をなす」の類義語

 

ここからは「双璧をなす」の類義語を見ていきましょう。
類義語には「比肩する」「両横綱」「龍虎相搏つ」などがあげられます。

比肩する

「比肩する」とは、肩を並べることをあらわしています。
つまり、両者の実力が匹敵することを意味しています。

両横綱

「両横綱」とは、この上なく優れたものが2つあることの例えです。
それらが相対することを表現する際にも使用されます。

横綱は、大相撲における力士の最高位のこと。
その横綱が、番付上で東西にそれぞれ1人ずついる事から来ています。

最高位にいる2人の力士という事ですね。
ちなみに、角界では常に両横綱がそろっているわけではありません。

龍虎相搏つ

「龍虎相搏つ」とは、優れた力を持つ英雄・強豪同士が勝敗を争うことの例えです。
優れた才覚などを持つ人同士が対等に戦うことをあらわした言葉となります。

日本では、知名度の非常に高い戦国武将である上杉謙信と武田信玄のライバル関係に用いられることが多いです。
その際は、上杉謙信が龍、武田信玄は虎に例えられます。

まとめ

「双璧をなす」とは、極めて優れた人や物が並ぶことを指します。
この言葉はその昔、中国にいた優秀な兄弟の評された言葉が由来となっています。

ちなみに「璧」とは、中国で古くから祭祀などで用いられてきた環状の玉器の事です。
「壁」とは別物なので、書き間違いなどには注意が必要なようです。

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