
「天網恢恢疎にして漏らさず」とは、悪事をはたらけば必ず裁かれるという意味のあることわざです。
見慣れない言葉も多く、漢字で書くのは難解な言葉です。
そこでここでは「天網」や「恢恢」の意味も含めて、「天網恢恢疎にして漏らさず」の意味や成り立ちをご紹介します。
「天網恢恢疎にして漏らさず」とは
まず最初に、「天網恢恢疎にして漏らさず」の意味合いについて見ていきましょう。
「天網恢恢疎にして漏らさず」の意味
「天網恢恢疎にして漏らさず」は、悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるという意味のことわざです。
その語源は、古代中国の哲学書「老子」の文中にある「天網恢恢、疎二シテ失ワズ」。
若しくは歴史書「魏書」にある「天網恢恢、疎二シテ漏ラサズ」といった1文にあるとされています。
悪事をはたらくことを戒める際に使われる言葉
「天網恢恢疎にして漏らさず」は、悪事を働くことを戒める際に使われる言葉です。
昔から悪いことをした人に「お天道様が見ているぞ」などと言ったりしますが、同様の意味を持つ言葉です。
天罰を被るものなのだから、悪事を行おうなどと考えてはいけないという趣旨で用いられます。
「天網」や「恢恢」とはなんのこと?
難しい漢字が多い「天網恢恢疎にして漏らさず」ですが、そもそも「天網」や「恢恢」とはなんのことなのでしょうか?
「天網」とは
「天網」とは、悪人や悪事を逃さないように、天が張りめぐらした網のことです。
天に張り巡らされていることから、その目を粗いと思うかもしれませんが、決して悪事を見逃さない存在とされています。
中国で全てを司るとされた「天道」の事ともされ、この天道がいかに厳格かをあらわしているともされます。
「恢恢」とは
恢恢の「恢」とは、広めることや大きいことをあらわす漢字です。
そのため、恢が重なった「恢恢」は大きく広く包み入れるさまをあらわしています。
「天網恢恢疎にして漏らさず」の類義語と対義語
ここからは、「天網恢恢疎にして漏らさず」の類義語や対義語をご紹介します!
類義語は「天罰覿面」
「天網恢恢疎にして漏らさず」の類義語は、天罰覿面です。
悪事は露見し、その報いとして天罰が下されるという意味の言葉です。
「覿面(てきめん)」は効果や報いがすぐに現れることをあらわしています。
対義語は「網呑舟の魚を漏らす」
「天網恢恢疎にして漏らさず」の対義語は、網呑舟の魚を漏らすです。
こちらは、網の目が粗いために、舟をのむほどの大魚までも逃すという意味の言葉です。
これが転じて、法律が厳格では無い、法に穴があることにより大罪人を逃してしまうことや法の網をかいくぐるような悪人は捕らえられないという嘆きを例える際に用いられます。
まとめ
「天網恢恢疎にして漏らさず」は、悪事を行えば必ず捕らえられ、裁きが下されるという意味の言葉です。
必ず露見するので、そもそも悪事をはたらいてはいけないという戒めとして用いられます。
類義語に「天罰覿面」がありますが、こちらも悪事は露見し、天罰が下るという意味で、悪事を働こうとすることへの警戒の言葉となっています。