
同じ読み方をするけれど、漢字が異なる「海藻」と「海草」。
どちらも同じようなものに思えますが、「海藻」はコンブやワカメなど主に食用に用いられる海に生える藻の仲間を指し、海草はアマモなどの海に生える種子植物で食用にしないものを指す言葉です。
同じように見えて全然違う! 「海藻」と「海草」の違いについて見ていきましょう!
目次
「海藻」と「海草」の読み方

まず最初に、「海藻」と「海草」の読み方について改めて確認しておきましょう。
読みはどちらも「かいそう」
「海藻」と「海草」は、どちらも「かいそう」と読みます。
さらに、どちらも「海草サラダ」「海藻サラダ」など同じような意味合いで使われることも多いため、その違いが分かりにくくなっています。
具体的な使い分けなどは、実のところどうなっているのでしょうか?
放送などにおける読み分け
テレビやラジオなどの放送における「海藻」と「海草」の読み分けは、一般的には特にされていません。
綴りでは「海藻」と「海草」とを使い分けることになっていますが、たとえば同じ報道の中に「海藻」と「海草」どちらも登場する場合など2つを音で言い分ける必要が発生することもあります。
その際は「ウミモの海藻」「ウミクサの海草」という言い方をすることもあるのだそうです。
「海藻」と「海草」は別物!

同じ「かいそう」という読み方をする「海藻」と「海草」。
では、この2つにはどのような違いがあるのかを見ていきましょう。
「海藻」とは
「海藻」は、海に生える藻の仲間を意味する言葉です。
海の中に生息する糸状や葉状など、様々な形状の藻の仲間をまとめてこう呼びます。
食卓を彩るコンブやワカメ、アオノリ、アオサなどのほか、海苔の原料になるアサクサノリや寒天の原料のテングサなども「海藻」の仲間です。
「海草」とは
「海草」は、海に生える種子植物を意味します。
種子植物は、種子を形成してそこから生えて成長する植物。
「海藻」と違い、一般的な地上に生えている花や植物のように根や茎、葉などの区別ができます。
海藻の代表的なものにはアマモやスガモ、エビアマモなどがあります。
上にあげたものは名前にいずれも「モ」とは言っていますが、海藻ではなく海草となります。
「海藻」と「海草」の用いられ方

意外と明確な違いのある「海藻」と「海草」。
では、日頃私たちは「海藻」と「海草」をどのようなことに用いているのでしょうか?
「海藻」の用いられ方
海藻はそのまま食べられるものが多くあります。
ワカメやアオサなどは味噌汁に用いたりサラダに入れたりと、色々な食べ方をされています。コンブからは出汁もとれます。
実は、海藻はそのまま食べられるだけではありません。
その成分がハムやソーセージに弾力を持たせたり、シャンプーやコンディショナーのテクスチャー作りに使われたりといった用いられ方をされています。
海藻は、私たちの生活に密接に関係しているといえるでしょう。
「海草」の用いられ方
海草は、人間は食用にしないことが多いものです。
海の妖精と呼ばれる生き物・ジュゴンが食用にしますが、水族館やアクアリウムの展示に使われたりといったことが主な用いられ方でしょう。
海草はアマモ、スガモ、ウミショウブなど、世界でも60種類ほどしかなく、貴重な存在です。
「海藻」だけど「海草」と呼ばれる食べ物もある
普段私たちは「海藻」しか食べないのですが、「海草」と呼ばれる食べ物もあるんです!
千葉県の郷土料理「海草」
「海草」と呼ばれているのは、千葉県の郷土料理「海草(かいそう)」。
しかしこの料理、「海草」とは言っていますが、実際には海藻のコトジツノマタやツノマタを煮溶かして型に入れ、固めた食べものです。
ネギや鰹節、唐辛子などと合わせて醤油をかけて食べる「海草」は、千葉県東部地方ではお正月に出される料理のひとつです。
お酒のおつまみとしても食べられることもあります。
まとめ

「海藻」は海に生える藻の仲間で、コンブやワカメなど食用としても親しまれています。
ハムやソーセージに弾力を与えたり、シャンプーやコンディショナーにも配合されていたりすることもあります。
対して「海草」は海に生える種子植物で、一般的な地上に生えている花や植物と同じような植物であり、原則食用にはせずに水族館やアクアリウムでしかお目にかかれないものです。