「長い物には巻かれろ」とはどんな意味の言葉?その成り立ちには「あの動物」が関わっていた?

強い者に付き従う様子をあらわす「長い物には巻かれろ」。
この言葉には、力のある者には逆らわずに従った方が、かえって良い結果になるという処世術としての意味もあります。

ここでは、「長い物には巻かれろ」の意味や成り立ちについて見ていきましょう。

「長い物には巻かれろ」とは

まずは「長い物には巻かれろ」の意味や用い方について見ていきましょう。

「長い物には巻かれろ」の意味

「長い物には巻かれろ」とは、自分より力の強い者にはとりあえず従っておくのが無難で得策であるということを例えた表現です。

ここでいう「長い物」とは、社会的な強者のことを指します。
自分よりも目上の立場となる人物や組織が該当します。

「巻かれろ」は、自分の判断や考えを放棄することをあらわしています。
相手の意向に付き従って行動を取ること、つまり思い通りになるということになります。

「長い物には巻かれろ」は処世術としても用いられる

「長い物には巻かれろ」は処世術の一種として使用されることがあります。

信念や考えに従って力のある者に反抗すると、敵が増えてしまいます。
自分の立場や将来が危うくなることも時にはあるでしょう。

そのようなデメリットを追うよりも、意には反してでも強大な権力や勢力を誇る相手の傘下に入った方が賢明だ。
無駄に抵抗して消耗するくらいなら、従順にしておいた方が楽だし得るものがある。

そういった処世術として「長い物には巻かれろ」が使われることがあります。

「長い物には巻かれろ」の由来

 

「長い物には巻かれろ」という表現はどのようにして生まれたのか、その由来とされる物語について見ていきましょう。

「ゾウ」が関わっているとされる成り立ち

「長い物には巻かれろ」は、中国に伝わるある物語から来たとされています。

ある時、猟師が狩りをしていたところ、ゾウの長い鼻に捕まってしまいました。
鼻に巻かれてしまいましたが、猟師は慌てることなくそのまま耐えることにしました。

そこへ突如として姿をあらわしたライオンが、猟師のことを捕まえているゾウに襲い掛かりました。
そこで、猟師は手に持っていた弓矢をライオンに放ち、攻勢に出ました。
猟師の助太刀もあって、ゾウはライオンのことを無事に追い返すことができました。

そのためか、このゾウは猟師のことを鼻に巻いたまま「ゾウの墓場」と呼ばれる場所まで連れて行ってくれました。
そこには、大量の象牙があったのです。
この象牙を猟師は大量に持ち帰り、市場で売りさばいたことで大儲けして金持ちになることができました、というのがその物語です。

つまり、ゾウに捕まった時に暴れたり逆らわなかったからこそ莫大な利益を得ることができたということです。
「長いものには巻かれろ」の「長いもの」とは、ゾウの鼻のことを指していたんですね!

「長い物には巻かれろ」の類義語と対義語

 

最後に「長い物には巻かれろ」の類義語と対義語について見ていきましょう。

類義語は「泣く子と地頭には勝てぬ」

「泣く子と地頭には勝てぬ」は、道理の通じない相手には歯向かうのではなく従うしか無いという意味です。

「泣く子」とは赤ちゃんのことで、「地頭」とは統率者や管理者といった権力者のことです。
ここでいう「地頭」は、その人本来が持つ頭の良さなどを言っているのではありません。

対義語は「鶏口となるも牛後となるなかれ」

「鶏口となるも牛後となるなかれ」とは、大勢力で誰かに付き従うしか無い下っ端となるくらいなら、小規模の集団であってもリーダーになるべきだという考え方です。
「長い物には巻かれろ」が大勢力の下っ端になるのも吝かではないという考え方ですので、相反する考え方となります。

まとめ

「長い物には巻かれろ」は強い者に従うべきことをあらわしています。
処世術としても用いられる言葉です。

この言葉の「長い物」とはゾウの鼻のことです。
長いと巻くというワードから、ヘビを連想してしまいそうになりますが、特段関連性はありません。

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