自らの行いで災いを被ることを指す「身から出た錆」。
この言葉は自分のせいで自分に災難が降りかかることを表現する際に用いられます。
ここでは、この「身から出た錆」という言葉についてその意味や用い方、成り立ちや類義語について見ていきましょう。
ここでは特に「身から出た錆」の由来や語源について説明します。
目次
「身から出た錆」とは
まずは「身から出た錆」がどのような言葉なのか、その意味や用い方を見てみましょう。
「身から出た錆」の意味
「身から出た錆」とは、自分の行為の報いとして禍災を被ることを例える際に用いることばです。
自分が犯した悪行や行動の結果として、自分自身が苦しむことを言います。
他の誰のせいでもなく、自分自身に責任があることを強調する言葉となっています。
「身から出た錆」の用い方・例文
「身から出た錆」は、批判する際の手厳しい表現として使用されることが多いです。
言いがかりではなく、根拠があって責めているような状況で使われます。
練習をサボって試合に勝てなかった場合や仕事をサボって業績が上がらなかったといった、原因が当人の中にあることが明確な際に指摘する言葉となっています。
そのため、基本的にはネガティブな意味合いとなります。
本人が自ら「こうなったのもすべて自分のせい、身から出た錆だよ」と自虐や反省して口にすることもあるため、必ずしも第三者が責めるために口にするわけではありません。
自ら「身から出た錆」と言う場合は心から悔やんでいる感情や過ちを認めているということになります。
由来は刀の錆の生じ方から
では「身から出た錆」はどこから来た言葉なのでしょうか?
そこには日本刀が関係しているとされています。
「身から出た錆」の由来
「身から出た錆」は、武士が用いていた刀や太刀から来ているとされています。
「身とは刀身」のことであり、「錆は災厄」にかけている表現となっています
刀や太刀は日頃からメンテナンスが必要です。
手入れを怠っていると、肝心の戦の時に役に立たなくなってしまいます。
もし手入れを怠った結果、刀身に錆の浮いてしまったら誰のせいでもなく、所有者である当人のせいです。
そこから「身から出た錆」という言葉が、自分の行動の結果その報いを受ける、という意味で用いられるようになったのです。
「身から出した錆」とも
「身から出た錆」は「身から出した錆」とも言われることもあります。
若干表現こそ違いますが、意味は全く同じなのでどちらを使っても問題ありません。
とはいえ、一般的により広まっているのは「身から出た錆」のほうです。
「身から出た錆」の類義語
最後に「身から出た錆」の類義語についても見ていきましょう。
「身から出た錆」の類義語には「自業自得」「因果応報」「自らの首を絞める」などがあげられます。
自業自得
「自業自得」とは、自ら行った行為の報いを自分自身が受けることです。
特に悪事を行った者が、その報いを受けるのは当然であることを表現する際に使用される言葉となります。
自分の悪行が自身に降りかかるというという仏教用語から来ているとされています。
因果応報
「因果応報」とは、前世や過去の行いによって報いを受けることです。
悪事を働いた結果として、今世や現在未来になってから報いを受けるのは当然であることをあらわしています。
この言葉も仏教用語の1つでした。
また、他人にした酷い仕打ちが自分自身に返ってくるという表現としても用いられています。
自らの首を絞める
「自らの首を絞める」とは、自分で自分を苦しめるような状況を作ることを言います。
最悪の結果に繋がるような原因を自分で作ってしまったことなどを指します。
まとめ
「身から出た錆」は、自らの行いによって結果的に自分が苦しむことになる、そんな状況をあらわす言葉です。
この言葉は、日本刀や太刀から来た言葉とされています。
刀は手入れを怠ったら錆が浮いてきてしまいます。
そうなったら、戦場に持っていってもなんの役にも立ちませんし、結果的に自分の命を危うくします。
そして、もし刀に錆が浮いていたとしたら、それは手入れを忘れていた持ち主である当人の責任です。
そのため、痛い目にあうのも当然だろうという意味合いで用いられるようになったのです。