「腐っても鯛」とは褒め言葉として使える意味がある?なぜ鯛なの?その類義語は?

立派なものは、たとえ落ち目になってもそれなりの価値があることを例えた言葉のひとつ「腐っても鯛」。
この言葉では、なぜ鯛がでてくるのでしょうか?

ここでは、この「腐っても鯛」という言葉についてその意味や用い方、その成り立ちに類義語について見ていきましょう。

「腐っても鯛」とは

 

まずは「腐っても鯛」という言葉について、その意味や用い方を見ていきましょう。

「腐っても鯛」とは

「腐っても鯛」とは、もともと立派なものや価値のあるものは落ち目になったとしても、その質や品を保っていることを例えた言葉です。
優れたものは傷んでもそれなりの値打ちを保っていることをあらわす際に使用されます。

この言葉は、人物に対しても物事に対しても使用され、価値あるものはそうそう価値が下がらないことを意味します。

「腐っても鯛」は一応褒め言葉(ただし使い方には気を付けて!)

「腐っても鯛」は、ある種の褒め言葉として使用されます。
ただし、言い方によっては失礼になってしまうこともあります。

なぜなら、落ち目であることを同時に意味している言葉だからです。
ピークは過ぎているということを暗に伝えようとしている言葉なので、人に対して使用する際には注意したいところです。

特にプライドの高い人に言うと逆鱗に触れるかもしれません。

「腐っても鯛」の成り立ち

 

ここからは「腐っても鯛」の成り立ちについて見ていきましょう。

由来は鯛が高級魚だから!

「腐っても鯛」という言葉は、鯛が高級魚だったことからきた言葉とされています。
日本では、古くから中国に倣って鯛を最上位の魚としていました。

江戸時代中期には、姿や色が美しく味も良いことから、マダイを最高級の魚として扱うようになったとされています。
この高級魚であるマダイが、たとえ多少傷んだとしても、それでも他の下魚に比べたら価値があります。

そこから「腐っても鯛」という言葉が生まれたとされています。

鯛は縁起物!

鯛は古くから縁起物とされ、高級魚として重宝されています。

特に「おめでたい」と「鯛」で「おめで鯛」という語呂合わせに通じることから祝い膳に欠かせません。
また、鯛は古くから進物としても重宝されてきました。
だからこそ、鯛は今でも縁起物としての価値を保っているのです。

また、鯛は七福神に数えられるる恵比須が抱えていることでも知られています。
そこからも、鯛が昔から縁起物として重宝されてきた背景が読み取れます。

他にも、鯛は寿命が長いことや紅白の色彩を放つこと、天然物は獲れにくく珍しいことなども相まって縁起物としての地位を確立しているわけです。

「腐っても鯛」の類義語

 

最後に「腐っても鯛」の類義語を見ていきましょう。
「腐っても鯛」の類義語には「破れても小袖」「古川に水絶えず」「沈丁花は枯れても芳し」などがあげられます。

破れても小袖

「破れても小袖」とは、元が良ければ古びたものでも優秀であることの例えです。

「小袖」は、着物の原型となった衣服のことです。
室町時代以降は一種の上着として用いられ、時代が下るに連れ華美に彩られ、高価なものとなっていきました。

この小袖を着古して破れてしまっても、高価な小袖は安い服などよりもよほど価値があります。
そのことから生まれた言葉とされています。

古川に水絶えず

「古川に水絶えず」とは、旧家は衰えても容易くは潰れないことを例えた表現です。

代々栄えた名家は、落ちぶれることがあってもそれなりに続いていくものです。
転じて、基盤がしっかりしているものは簡単に滅びない、という意味でも用いられます。

沈丁花は枯れても芳し

「沈丁花は枯れても芳し」とは、良いものは最後まで本質的な良さを持ち続けることを例える際に用いられる言葉です。

香りの良い沈丁花(ジンチョウゲ)の花は、枯れてからもその香りが失われません。
この特徴が転じて、生まれた言葉とされています。

まとめ

「腐っても鯛」は、鯛のような高級魚は多少傷んだとしても他の魚よりも価値があるとされました。
そこから、立派なものや価値のあるものは落ち目になったとしても、その質や品を保っていること
転じて、人物や物事に対しても使用されるようになったのが「腐っても鯛」という表現となります。

これらは鯛が縁起物だったことも関係しているようです。
ただし、「腐っても鯛」は褒め言葉であるものの、人によっては失礼に当たる言葉となります。

そこは相手を選んで使用する必要があります。

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