「氏より育ち」とはどんな意味の言葉?「氏」とはいったいなんのこと?その類義語は?

人柄や人格そして立ち居振舞いは、生まれつきの家柄や身分よりも育った環境や教育による影響の方が大きい、ということをあらわしているのが「氏より育ち」という言葉です。
これは、環境が与える影響の大きさを言った言葉です。

しかし、この言葉の「氏」とは何を指すのでしょうか?

そこでここでは、「氏より育ち」という言葉について、その意味や成り立ち、類義語について見ていきましょう。

「氏より育ち」とは

 

まずは「氏より育ち」という言葉について見ていきましょう。

「氏より育ち」の意味

「氏より育ち」とは、人柄や立ち居振舞いは、生まれつきの家柄や身分ではなく、育った環境や教育やしつけによる影響が大きい、ということをあらわしています。

人を見る時、つい家柄などを気にしてしまうことがあります。
しかし、見るべきはどの様に育ってきたのか、どのような人柄として成長してきたのかだ、ということを「氏より育ち」では言っているわけです。

「氏」とはなんのこと?

「氏より育ち」の「氏」とは、一族や血筋のことです。
その人の家の格式のこと、ということになります。

上方かるたに詠まれる「氏より育ち」

 

「氏より育ち」は、上方かるたで詠まれた句とされています。

上方かるたとは

上方かるたとは、江戸時代中期以降に京都周辺で親しまれていたかるたのことです。
「上方いろはがるた」や「京いろはかるた」と呼ばれることもあります。

この上方かるたの「う」の札として詠まれていたのが「氏より育ち」となります。

江戸かるたと尾張かるたはまた別のことわざが!

江戸時代も中期以降になると、全国でそれぞれの札で組んだ「いろはかるた」が登場します。
京都を中心とした上方かるたの他にも、江戸の街では「江戸かるた」、現在の名古屋では「尾張かるた」といったものがありました。

そして、江戸かるたで「う」の札として「嘘から出た実」という別のことわざが、尾張かるたでは「牛を馬にする」という別のことわざが採用されました。

「氏より育ち」の類義語

 

最後に「氏より育ち」の類義語を見ていきましょう。
類義語としては「家柄より芋幹」「鳶が鷹を生む」「」

家柄より芋幹

「家柄より芋幹」とは、腹の足しにもならない家柄などよりもお腹がいっぱいになる芋幹の方がましである、ということをいっています。
家柄には、芋幹ほどの値打ちもないということをあらわす言葉でもあります。

この言葉は、家柄と芋幹の「がら」を語呂合わせしたことわざです。
名家や旧家を嘲るような言葉としてかつては使用されていたそうです。

鳶が鷹を生む

「鳶が鷹を生む」とは、平凡な親が優秀な子を生むことの例えです。
もちろん、生物学的に見たら鳶が鷹を生むことはあり得ません。

この言葉自体は、鳶を平凡な親、鷹を優れた子供に例えた言葉です。
育て方や子供の才能如何によっては、秀才や天才と子供が言われることもありえます。
成長の可能性をいった言葉とも汲み取れる言葉となっています。

まとめ

「氏より育ち」は、人間性や人柄は育てられ方やしつけと言った環境による影響が大きく、生まれた家の格や身分ではないという表現です。
人を見る時は、家柄ではなくその人の人柄を見るべきだということをあらわしているともいえます。

このことわざは、「上方かるた」の札で詠まれたことから定着したともされています。

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