良い意味でも悪い意味でも使用される言葉、それが「一事が万事」です。
しかし、そもそも「一事が万事」とは何を指すのでしょうか。
この記事では「一事が万事」がどのような言葉なのかを解説します。
目次
「一事が万事」とは
ここでは「一事が万事」の意味を解説します。
「一事が万事」の意味
「一事が万事」は一部の物事から全部の物事を推し量れることを意味します。
1つの小さな事柄の調子が他の大きな事柄に現れることも意味します。
要は特定の物事からすべての物事が推測できることを指す言葉です。
「一事が万事」の成り立ち
「一事が万事」という言葉は「一事」と「万事」という言葉から成り立ちます。
「一事」というのは1つの物事を意味する言葉です。
「万事」というのはすべての物事を意味する言葉です。
転じて、1つの物事を見れば他のすべての物事が推測できるという意味で使用されるようになったとされています。
「一事が万事」の用い方
「一事が万事」は1つのことですべてが推測される様子に使用します。
通常は1つの悪い例を挙げて、そこから他の悪い例へ広げる形で使用します。
・例文1:彼がやる仕事は一事が万事で間が抜けている。だから他の仕事もうまくいかないのかもしれない。
・例文2:一事が万事、お風呂の掃除すらできない人は家全体の掃除すらままならなくて当然である。
・例文3:彼女はいつも遅刻する。一事が万事で約束の時間を守ったことすら一度もない。
このように1つのことからすべてが推測される様子で使用します。
例文のように単に推測されるという意味だけでなく、結果として1つの物事から全体が推測できてしまうような場合でも使用します。
「全般にわたる」という意味で使用されることもありますが、この用例は誤りであるとされているので注意しましょう。
「一事が万事」はネガティブな表現?
「一事が万事」はネガティブな表現として使用されることがほとんどです。
前述したように1つの物事からすべての物事が推測されるような様子を指します。
現に1つのダメな例を挙げて、他のダメな例も推測できるような場面で使用する表現となります。
つまり、ネガティブな意味で使用するのが大半と言えるでしょう。
ポジティブな表現としても使用できる
「一事が万事」はポジティブな表現としても使用されることがあります。
例えば「あの人は小さな仕事でも全力でやる人だから大きな仕事を任せても一生懸命やってくれるだろう」というように使用することもできます。
要は1つの事柄から全体の事柄が推測できる場面であれば、ネガティブにもポジティブにも使用できる言葉ということです。
「一事が万事」の類義語
ここからは「一事が万事」の類義語を紹介します。
一斑を見て全豹を知る
「一斑を見て全豹を知る」は物事の一部から全体を推し量ることを指します。
豹の毛皮は黄と黒のまだら模様で全身が覆われているのが特徴です。
その毛皮の一部を見て「豹は全身が黄ないし黒である」と断定することを「一斑を見て全豹を知る」と表現します。
転じて、一部から全体を推し量るという意味となったとされています。
ただし、この言葉は「一部だけ見て全体を察することは愚かである」というような戒めの意味で使用されるのが特徴です。
そのため、意味合いとしては「一事が万事」と似ているものの用途が若干変わる点には注意が必要となるでしょう。
一を聞いて十を知る
「一を聞いて十を知る」は頭が良く察しが良いことを例えた言葉です。
物事の一部を聞いただけで全部を理解できることを指します。
その点が「一事が万事」と似ているのではないでしょうか。
ただし「一を聞いて十を知る」はポジティブな意味で使用されることが多いですが「一事が万事」はネガティブな意味で使用されることが少なくありません。
両者では言葉の印象が変わってくるので、場面に応じて使い分けるのが賢明かもしれません。
まとめ
「一事が万事」は1つのことからすべてのことが推測できることを意味する慣用句となっています。
この言葉はネガティブな意味合いで使用することが多いです。
しかし、場合によってはポジティブなニュアンスで使用することも少なくありません。
そこは文脈によって変わるため、正しい意味で使用できるようにしておきたいところです。
「全体にわたる」と誤用されることもあるので、あくまでも一部の物事から全部の物事が予想できるという意味で使用しましょう。
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