
梅雨の時期になると葉の裏や石の裏にその姿を見かけるようになる「ナメクジ」。
フランスには『エスカルゴ』というカタツムリ料理もありますし、似たような姿をしているのだから美味しいかも!と頭をよぎった人もいるかもしれません。
しかし、その好奇心から沸いた想像は絶対に実行しないでください!!
ナメクジを生食した場合、最悪亡くなってしまうことも想定されますので、口にすることは絶対におすすめしない生き物です。
なぜナメクジを生食するのが危険なのか、その理由を見ていきましょう。
目次
ナメクジの生食は危険!

ナメクジを生食した末に起きた悲劇
それは2018年のこと。
8年の闘病の末、オーストリアで一人の男性が亡くなりました。
彼が闘病生活を送るきっかけになったのは、友達との悪ふざけで食べた「ナメクジ」が原因だったのです。
友人宅の中庭で仲間内で盛り上がっていたところ、偶然ナメクジを見つけました。
その場のノリでナメクジを食べることになり、口にしたのが8年間の闘病生活を送ることになる当時19歳だった男性だったのです。
ナメクジを食べてもその場では何の変化もありませんでしたが、状況が一変したのは数日後のことです。
男性は脚に激しい痛みが走るなど体調の不調を訴えて病院で診断してもらうも間もなく、400日以上に及ぶ昏睡状態に陥ってしまいました。
意識を取り戻した男性ですが全身に麻痺が残り、自力での食事もできないため24時間介護を受け、車椅子で生活するようになってしまいました。
退院をした後も闘病生活を送っていましたが、2018年11月2日についに男性は亡くなってしまいました。
ナメクジの体内には寄生虫が!
男性が亡くなる原因となったのはナメクジを宿主としていた「広東住血線虫(かんとんじゅうけつせんちゅう)」という寄生虫の幼虫です。
激痛も体内に侵入した広東住血線虫が引き起こしていますが、なんと昏睡するに至ったのも広東住血線虫が原因で、細菌やウイルスの感染により脳脊髄膜が炎症を起こす「髄膜炎」という病気に発症していました。この病気により男性は昏睡症状を引き起こしていたのです。
広東住血線虫

ナメクジを食したことで最終的に死に至った原因となった広東住血線虫による被害はなにも海外だけの話ではありません。
日本でも被害者が
広東住血線虫を原因とする感染病「広東住血線虫症」は日本でも発生しています。
1964年に沖縄県で発見されて以降、1970年には日本で初となる感染患者が出てしまいました。
現在は簡単に旅行もできますので沖縄に旅行に行った他県民が現地で感染した、という症例も確認されています。
広東住血線虫は鹿児島県、福岡県、広島県、愛知県、静岡県、神奈川県、東京都、北海道とほぼ日本全域でその存在が確認されています。
宿主はナメクジだけではない
実は、広東住血線虫の最終宿主はナメクジではなく「ネズミ」です。
ナメクジはネズミの排泄物を摂取しますので、その中にいた広東住血線虫の幼虫も摂取し寄生されてしまうのです。
また、ナメクジに非常に似た生態を持つ「カタツムリ」、「カエル」や「タニシ」もナメクジと同じく中間宿主になります。
被害者は少なくない
広東住血線虫は東アジアや東南アジア、オーストラリアに太平洋諸島、インドやインド洋にアフリカ、そして北米まで世界中で分布しているのが確認されています。
日本では2006年に沖縄県で初の死亡例が確認されたほか、2019年6月時点でハワイで5人の広東住血線虫の感染被害者が出ています。
食べるものにも気を付けて
特効薬のない広東住血線虫の感染を防ぐにはしっかりとした手洗いだけではなく、食べるものにも気を付けないといけません。
ネズミやナメクジを生食しないというのはもちろんですが、生野菜には葉の裏など見えない場所にナメクジがついている可能性もあります。
また、直接は付いていなくてもナメクジが這っていたり、かじった跡がある野菜をしっかり洗浄していないことで感染する可能性が充分にあります。
野菜を食べる際はしっかりと洗浄もしくは加熱することが重要です!
まとめ
「ナメクジ」には『広東住血線虫』という恐ろしい寄生虫が宿っている可能性が高いため、おふざけでも決して口に入れれはいけません。
最悪死に至ってしまいます!
同じ中間宿主であるカタツムリやカエル、そしてタニシも同じです。
生食しては絶対にいけません。
また、野菜も虫が食べた形跡があるから安心~と言われることもありますが、その形跡にこそ危険が潜んでいる可能性がありますので、しっかり洗浄や加熱をしてから調理してください。