
招き猫はお店のレジ前などに飾られているのを時々見かけますが、どちらの手を上げているのか意識したことありますか?
実は招き猫には右手と左手、どちらの手を上げているかで招いてくるものが変わります。
また、白以外にも黒や赤の招き猫も存在し、この色の違いもまたご利益が変わってきますよ!
一体それぞれにどのような違いがあるか、今回は招き猫について見ていきましょう。
目次
招き猫が右手で招くもの、左手で招くもの

前脚で来い来いとなにかを招くようなポーズをした招き猫は、商売繁盛の縁起物として昔から店先に飾られてきましたが、右手と左手で招いてくるものが変わってきます。
右手のご利益
右手を上げている招き猫は「お金」を招いてくれる金運上昇の縁起物とされています。
左手のご利益
左手を上げている招き猫は人を招いてくる「千客万来」のご利益があるとされています。
また、人を招くことから「人脈」を広げる効果もあるとされています。
両手を上げていたらご利益2倍?
右手はお金を、左手は人を呼び寄せるという招き猫。
それなら両手を上げていればお客も来るしお金も入るしでいい事だらけのような気もしますよね。
しかし、人もお金も失ってお手上げ状態にも見えることから、あまりよろしくないともされています。
なにごとも欲張りすぎてはいけませんね。
また、招き猫の中には招く手が耳より上まである、非常に腕の長いものもいます。
手がながければ長いほど遠くまで手が届くことからより多くの金額が手に入ったり、遠方からの客が増えたりするといわれています。
とはいえ、手だけが長すぎれば壊れるリスクも高くなるので、あくまでも欲張りすぎない。
それが招き猫を飾る際の心構えですね。
招き猫のモチーフ、三毛猫のオス自体が縁起物
招き猫というと一般的に白い猫の姿をしていますが、これは三毛猫のオスをモチーフにしているといわれています。
なぜ三毛猫のオスなのか、そこにも実は理由があるのです。
猫はネズミなどの害獣を駆除してくれることから養蚕業(ようさんぎょう)に関わる農家にとって益獣であり縁起物とされてきました。
そんな中でも特に貴重な縁起物とされたのが三毛猫のオスです。
遺伝子の性質上、三毛猫のオスが生まれる確率は3万分の1といわれています。
非常に希少なことから特にめでたい縁起物とされてきました。
招き猫の由来

招き猫の由来に関しては諸説ありますが、今回はその中でも有名なものを2つご紹介します。
豪徳寺伝説
1つは、東京都世田谷区にある豪徳寺に伝わる伝説が由来とされています。
江戸時代、彦根藩の2代目藩主「井伊直孝(いいなおたか)」が鷹狩りの帰りに豪徳寺の前を通りかかった時の話です。
直孝の目に、門前でまるで「こっちに来い」と言うかのように手招きをしている猫が目に入りました。
その仕草につられた直孝はそのまま豪徳寺に立ち寄り、小休止を兼ねて住職の説法を聞くことにしました。
住職の法談に心打たれていると、直孝は天気がうって変わり雷雨となっていることに気付きました。
その後、雨が止むと「猫に招かれなかったら素晴らしい住職にも出会えなかったし、豪雨に打たれていたところだ」と、直孝は大満足して帰っていきました。
この時に話を聞いた住職のことがよほど気に入ったのでしょう。
直孝は後日、豪徳寺に寄進をするとともに、井伊家の菩提寺としました。
井伊家の菩提寺となったことで隆盛した豪徳寺は、直孝を招いて縁を結んでくれた猫に感謝し、猫が亡くなるとお墓を建てて弔いもしました。
後世、豪徳寺独自の仏様、招猫観音を祀る招福殿が敷地内に建立されると、その眷属として猫が片手を挙げている姿をした「招福猫児(まねぎねこ)」が作られるようになりました。
豪徳寺では、これが招き猫の始まりとしています。
ひこにゃんは招き猫
豪徳寺に立ち寄った井伊直孝は彦根藩藩主でしたが、「彦根・猫」と聞くとあのキャラクターを思い浮かべませんか?
そう、あの有名なゆるキャラ「ひこにゃん」です。
このひこにゃんは、豪徳寺伝説の猫もデザインのモチーフに含まれているんです。
ひこにゃんが登場して以降、彦根はテレビや雑誌で取り上げられる機会も増えましたし、井伊直孝の父の養母ともいわれる井伊直虎が大河ドラマの主人公に選ばれるなど喜ばしいことが増えました。
ひこにゃんは、正に彦根に福を呼び寄せた招き猫といえますね。
今戸丸〆猫(いまどまるしめのねこ)
招き猫の由来とされる説が多々ある中、招き猫の置物の最古の話として確認されているのが今戸焼の「丸〆猫」です。
ある時、老婆が貧しさから飼育していた猫を手放しました。
ところが、その猫が老婆の夢枕に立ち「自分の姿を人形にすれば福が訪れる」と告げました。
老婆は猫のその言葉を信じ、自分が飼っていた猫の姿を模した焼き物にして浅草神社の横で売り出すとたちまち評判となったといいます。
この老婆が浅草で販売を始めた猫の焼き物が、招き猫の原型とされています。
9月29日は「招き猫の日」

9月29日は「招き猫の日」という記念日になっています。
ごれは、日付に含まれる9・2・9を「来る福」つまり「く(9)るふ(2)く(9)」と語呂合わせで読ませた事に由来します。
招き猫の愛好家団体、「日本招猫倶楽部」が1995年に制定した記念日です。
色でもご利益が変わる招き猫

招き猫といえば白というイメージが強いと思いますが、実は白以外のものも昔からあるんですよ。
そして色によってご利益が変わるとされているのでご紹介します。
白い招き猫
オーソドックスな白い招き猫は、運気上昇のご利益があるとされています。
黒い招き猫

黒猫というと縁起が悪いといわれることもありますが、それはあくまで西洋の話。
日本では黒猫は闇夜でもものが見えるとされたことから転じて、見えないものが見えるとされ、魔除けや厄除けの力があるとされています。
赤い招き猫
江戸時代に多くの人を死に至らしめた疱瘡(ほうそう・天然痘のこと)や麻疹といった病の源は赤い色を嫌ったといわれていました。
このことから赤には病を退ける力があるとされてきましたので、赤い招き猫もまた病除けのご利益があるとされています。
金色の招き猫

金色には、金運上昇の効果があると風水では考えられています。
右手を上げている招き猫は金運上昇があるといわれていますので、金色で右手を上げているものを飾っていれば金運が2倍になりそうな気もしますね!
まとめ
招き猫を商売繁盛を願ってお店に飾るなら右手をあげているものが特にいいとされています。
腕が長く伸びているほどいいみたいですが、長すぎると倒したりして壊す危険性があるので、あまり欲張らない方がいいでしょう。
招き猫をモチーフとしたゆるキャラのひこにゃんが、彦根を注目させるという福を招いていますし、招き猫はただの昔からの縁起物と侮っていはいけないかも!?