
みなさんはライオンと獅子の違いについて知っているでしょうか。おおよその意味は一緒なのですが、実は伝来に違いがあります。日本は特に狛犬やシーサーなどの空想の生物もいて、それらがライオンを原型としていると言われることもあります。
そこで、ここではライオンと獅子について解説します。カタカナ表記と漢字表記の違いはもちろん、その他の別ものとしての考え方についてもご紹介するので、ぜひ読み進めてみてくださいね。
目次
ライオンは漢字で獅子
ライオンは漢字で書くと獅子。しかし、獅子という言葉にはライオンだけではなく、その他の空想の生物を表すこともあります。ここからはその違いについてご紹介します。
獅子=ライオン
獅子というのはライオンの別名として紹介されることが多いです。事実、獅子という言葉を見れば、ほとんどの人はライオンの姿を思い浮かべるのではないでしょうか。
獅子=ライオンに似た空想上の生物
獅子は基本的にライオンを意味するのですが、世界を見てみるとまた違った生き物を表すと言われることもあります。有名なのがエジプトの象徴とも言えるスフィンクスですね。
スフィンクスは人の顔とライオンの身体、ワシの翼を持つ姿を持つ守護神であり、ギザのピラミッドなどを守るかのように鎮座しています。このスフィンクスも獅子と言えば獅子ですよね。
また、エジプトでは神々として扱われるセクメトやバステト、テフヌトも獅子の頭を持つ姿として知られています。それほどライオンが神に近い存在ということでもあるのかもしれません。
日本では狛犬やシーサーなどの空想上の生物がいます。これらは神社に置かれることが多いですが、日本独自の伝来の仕方をしており、それらがライオンなのかと言えば違います。つまり、獅子とはそれ単体でライオンも含むのですが、その他の空想上の生物を表す時にも用いるということです。
インドにも中国から伝来したライオンを模した石獅子があるなど、世界中でライオンをモチーフにした空想上の生き物がいます。
日本ではライオンより昔から獅子
日本ではもともとライオンが知れ渡る前から、獅子が広まっていたと考えられています。そこには中国との関係があるのだとか。
獅子は中国唐の時代に仏教と共に伝来
中国ではもともとライオンを法の守護者とし、仏教では建物の守護者として考えていました。日本に伝来したのは中国の唐の時代のこと。
当時、獅子は中国の仏教と一緒に伝わったと言われています。その大きな体格を見て、日本人の多くは衝撃を受けました。明治神宮では異様な形をしたライオンを日本人が犬と勘違いし、当時の朝鮮から伝わったこともあって高麗犬と呼ぶようになったという説もあります。
獅子から狛犬に!
日本にある狛犬やシーサーなども、実はもともと獅子だったと考えられています。伝来する過程で形を変え、日本に定着したわけです。
神社の狛犬は元々獅子だった
起源自体は古代インドで仏の両脇に守護獣として置いたのが始まりと言われる他、古代エジプトでも神域を守る守護獣として置かれていたのが始まりと言われています。
日本でも獅子が伝来してくると、狛犬を神社などの聖域を守るために置かれるようになり、それが現代日本でも残るようになりました。
これには諸説あるのですが、魔除けのために用いたことから魔を拒むという意味で「拒魔(こま)犬」と呼ぶようになったという説もあります。
片方が獅子もう一方が狛犬に
一般的に獅子と狛犬の配置は決まっています。右側が獅子で左側が狛犬とされ、多くの神社ではその配置が一般的です。
獅子は口を開けており狛犬は口を閉じているのが特徴で、古いものだと角を持っていたものもあります。厳密に決まりがあるわけではないものの、日本では両方獅子や両方狛犬ということは珍しく、ほとんどが獅子と狛犬の組み合わせです。
ライオンは世界で象徴として
ライオンは世界でもその威厳から、貴重な存在として知られています。これは今に始まったことではなく、数百年も数千年も前から人間と深い関わりがありました。
人類にとって特別な存在
ライオンは百獣の王と呼ばれるだけあって、権力の象徴として扱われることが多いです。事実、海外の歴史を見てみると、ライオンを飼い慣らす神や王の姿が描かれるなど、古くから力そのものの象徴として考えられていました。
人間が恐怖する存在として知られる一方で、古くから神や王の力を誇示する意味合いも強かったと言えます。
人間とは決して相容れぬ存在でありながらも、多くの伝記や逸話に登場するなど人類にとって特別な存在。狛犬やシーサーはもちろん、スフィンクスなど形を変えながら人間の世界に溶け込んでいるのがライオンという生き物なのです。
まとめ
ライオンを獅子と表現するのは日本独特の文化です。海外では違った形でライオンを表現し、神や王が持つ力の象徴としても存在意義が大きかったと言えるでしょう。
伝来の仕方で考え方も違うため一概には言えませんが、ライオンはこれからも人間とともにこの地球で百獣の王として君臨するはずです。