「メーデー」とはどんな意味?記念日?それとも助けを求めるSOS的なもの?

ゴールデンウィークで祝日の狭間となっている5月1日、この日はメーデーという行事があります。
そして、遭難したときに救助要請で発信するのもメーデーです。

同じ「メーデー」ですが、この二つの言葉はまったく別のものって知っていましたか?

メーデーとは?

日本語では同じ発音でも、実はまったく共通点がないこのメーデーという言葉。二つの言葉の意味をそれぞれ見てみましょう。

5月1日は労働者の日

 

メーデーは「労働者の日」となり、労働者による大規模な集会やデモが行われてきました。
労働環境の改善やベア(基本給のベースアップの略語)を訴えて、プラカードを持った人たちが行進をするなどの行動に出ます。

しかし、近年では以前のように労働組合の活動が活発ではなくなってきました。
労働組合に入る若い社員が減ったことや組合のない職場なども増えたことにより大々的なデモなどは減ってきていますが、それでも各地で組合によるイベントが開催されています。

世界80か国以上で祝日

 

日本では意味を知らない人も増えつつあるメーデーですが、国際的には国際連合などの機関によって定められた「国際デー」とされています。
世界中で少なくとも80カ国以上では祝日と制定されていて、日本でも祝日にしようという動きがあった時期があったのです。

しかし、さまざまな事情から、祝日にするのは見送られたまま現在に至っています。
日本の祝日は近年良く日付が変えられますし、平成不況で連休の経済効果が見込めなくなったことや、勤労感謝の日もあるんだからいらないんじゃない?という意見が持ち上がったことなどから、わざわざメーデーを祝日にすることのメリットが薄まってしまったようです。

ちなみに、メーデーの起源の国であるアメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは、メーデーとは別に「Labour Day(レーバーデー)」という日が労働者の祝日として設定されています。

遭難信号としてのメーデー

日本語で言うと同じメーデーとなりますが、労働者の日のメーデーとはまったく違う意味として遭難信号のメーデーがあります。
こちらは英語表記すると”Mayday”となります。

「メーデー、メーデー、メーデー!こちら○○○」と危機に瀕した船の乗組員が無線で呼びかけているのを、映画などで見たことはありませんか?

メーデーというのは無線電話で遭難信号を発信するときの、国際的な緊急用符号です。
どの国の人であっても遭難信号だとわかる統一された言葉です。
船舶や航空機、車両などで今すぐに救助が必要な差し迫った状況で助けを呼ぶ際に用いられます。

メーデー呼び出しは緊急事態に対応できるようにどんな周波数でも発信できるようになっています。
一度発信されると、救助に関係する通信以外のすべての通信をその周波数で発信することはできなくなります。

もしメーデーに反応がない場合は、周辺の機関がそのメーデーを引き継いで発信する「メーデーリレー」が行われます。
そして雑音や周波の混線があっても間違いなく受信できるように、「メーデー、メーデー、メーデー」と3回繰り返すことが決まりになっています。

ふたつのメーデーの由来

「メーデー」には2つの意味があります。
その違いについて解説してきましたが、どのような経緯から同じ名称となったのでしょうか。

労働者の日はMay Day

 

労働者の活動を指すメーデー、その英語表記は”May Day”です。
こちらは、古くからヨーロッパでは夏の訪れをお祝いする五月祭の日の事でした。

このお祭りでは労使の垣根を超えて一緒に祝う習慣がありましたが、1886年5月1日にアメリカのシカゴで労働者が起こしたゼネラルストライキをきっかけに労働者が権利を主張する日として各国に広まっていきました。
このときのスローガンは、「第1の8時間は仕事のために、第2の8時間は休息のために、そして残りの8時間は、おれたちの好きなことのために」。
当時は一日12時間から14時間も働くのが当たり前だったのだとか。
そういった事情から生まれたスローガンです。

ちなみに日本で一時期は禁止されていたメーデーが終戦の翌年に復活したとき、スローガンは「働けるだけ喰わせろ」でした。
当時はまだ国民の食糧事情はとても貧しく、食べるにも苦労していた時代。食糧メーデーや飯米獲得人民大会と言われたそうです。

遭難信号はMayday

遭難信号を指しあらわすメーデーは、フランス語のメデ(m’aider)に由来する言葉です。
ちなみに、「ヴネ・メデ(venez m'aider)」というと、「助けに来て」という意味になります。

これは、1923年にロンドン・クロイドン空港で主任無線技師をしたいた人物だった考案したもの。
その頃は、クロイドンんの空港で一番多くの便が飛んでいたのがパリのル・ブルジェ空港だったため。
そこから、フランス語を由来としたようです。

それが国際的により通用しやすいようにと、英語のMaydayという表記に直して使うようになりました。

 

SOSとメーデーの違い

 

SOSとメーデー、この2つの信号の違いは、無線通信か無線電話信号かの違いです。
SOSはモールス信号なので言葉にして「エス・オー・エス!」と呼びかけることはありません。
そして全世界的な海上遭難・安全システム「GMDSS」が完全導入された1992年2月で、SOSはその役割を終えたことから今は使われることはありません。

モールス信号を使って救助要請をするとき、Sは・・・『ト・ト・ト』、Oは---『ツー・ツー・ツー』という、打電しやすく聞き取りやすい符号をあわせて遭難信号の合図としたのがSOSです。
つまり、なにかしら深い意味合いを込めている訳では無いのです。

SOSには「Save Our Souls(我々の船を救え)」「Save Our Ship(我々の生命を救え)」「Suspend Other Services(他の仕事は中止せよ)」などの言葉を由来とされることがありますが、都市伝説のような存在だったのです。
 

まとめ

SOSとメーデー、違いがはっきりとしていますが、私たちの暮らしの中で使うには、そんなに明確な区切りはないような気もします。
むしろ「メーデー」というより、SOSと言う事のほうが多いですよね。

モールス信号のSOS自体は今ではは使われなくなったかもしれませんが、今でも災害現場や遭難してしまったときなど、SOSの文字を書いて助けを呼ぶなんてことも。
言葉が届かなくても目視すれば状況ががわかる「SOS」は、命を救う大切な符号です。

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