2022年の土用の丑の日は、7月23日(土)と8月4日(木)の2回です。
どちらか一度だけでいいという方もいれば、折角の機会なので2回ともうなぎを食べたいという方もいると思います。
夏のスタミナ食として知られる、うなぎ。
蒲焼きにして食すというのが、日本ではオーソドックスですが、この「うなぎの蒲焼き(かばやき)」には、実は大きく分けて2つ、関東風と関西風があるというのをご存知でしょうか?
では、関東と関西で何が異なるのか。
それぞれの特徴と調理法、そして通な食べ方「白焼き(しらやき)」や「塩焼き」について見ていきましょう。
目次
関東風と関西風の蒲焼きの違い
うなぎは日本では古くから食べられており、奈良時代には夏バテに効く食べ物としてすでに知られていたようです。
うなぎの蒲焼きの歴史
蒲焼きという調理方法が出てきたのは、江戸時代のことです。
戦国時代末から始まった江戸干拓工事に伴い、江戸には多くの湿地帯ができました。
この湿地帯を好む生き物のひとつに「うなぎ」がいます。
実際、江戸には多くのうなぎが住み着いていたようで、庶民向けの安い魚としてうなぎが食されていました。
現在では高級料理として扱われるうなぎですが、江戸時代では安価で手に入るので屋台などで扱われていた庶民向けの魚だったそうです。
時代を経て高級料理に変わったという点ではお寿司と共通しているものがありますね。
蒲焼きの原型とされる料理が生まれたのはこの頃とされています。
当初はぶつ切りにしたうなぎを串に刺して焼くという、シンプルな調理方法で食されていたそうです。
現在の蒲焼きに近いものが生まれたのは、醤油やみりんといった調味料が普及した1700年頃だとされています。
ちなみに「蒲焼き」という名前はぶつ切りにして串に刺した姿が、「蒲の穂(がまのほ)」に似ていることから来ているとされています。
関東風
関東風のうなぎの蒲焼きは、背開きにしたうなぎを串打ちし、素焼きをした後に蒸して余分な脂を落としてからタレを付けて再び焼きあげます。
余分な脂を落としたことでクドさを減らし、蒸しているのでふっくらした柔らかい食感を楽しむことができます。
うなぎを串打ちする際は、竹串を使うことが多いです。
これは一度蒸すため焼く時間が短いことに起因します。
関西風
関西風のうなぎの蒲焼きは、腹開きにしたうなぎを串打ちしたらタレを付けて焼き上げます。
蒸したり素焼きをしないため、脂の香りと味が強く出ます。
うなぎを串打ちする際は、金串を使うことが多いです。
関東風と違い蒸す工程がないため中まで火を通すのに時間がかかることから、竹串ではなく火に強い金串を用います。
また、焼く際はひっくり返す頻度が関東風より多いのも特徴です。
うなぎの蒲焼きの開き方に関する俗説
うなぎの蒲焼きを作りに際し、関東風と関西風では開き方が異なります。
この違いは武家が栄えた関東、商人が多い関西という文化の差から来ているという俗説があります。
関東風が背開きになったとされる俗説
関東風の蒲焼きはうなぎを背開きにします。
これは腹開きが切腹を連想させるため、武士が集まる江戸では縁起が悪いため背開きにするようになったといわれています。
関西風が腹開きになったとされる俗説
それに対して商人の町が多い関西では「腹を割って話そう」という意味を込めて腹開きにしているといわれています。
関東風が背開きの理由
腹開きは切腹を連想させて縁起が悪いといいますが、うなぎ以外の魚は江戸でも腹開きにされますので、あくまでも俗説に過ぎないとされています。
実際のところは、背開きのほうが外側がに来る身が厚くなるため、蒸す際に身が崩れて串から身が離れにくくなるという点や、成長したうなぎの固くなった背びれを一緒に取り除くためといった調理の工夫から背開きになったと考えられています。
うなぎはタレで味わうだけではない!うなぎの通な食べ方とは?
うなぎの蒲焼きといえば、やはりタレの染みた味付けというのが一般的かと思いますが、蒲焼きには「白焼き(しらやき)」という食べ方もあります。
この食べ方は、関東風でいう素焼きをしただけのもので、タレなどで味付けを一切していません。
そのため、食べるときはワサビなどの薬味を付けたり、醤油をかけます。
うなぎ本来の味わいを楽しめるため、通な食べ方というわけですね。
また、タレではなく塩で味付けをして焼き上げる「塩焼き」という調理法もあります。
まとめ
うなぎの蒲焼きといっても、関東風と関西風では調理法も味わい方も大きく変わります。
関東がふっくらさっぱりしたうなぎの食べ方をするのに対し、関西風はうなぎの脂もしっかり味わうことができます。
さらに白焼きや塩焼きといったバリエーションもありますので、舌鼓を打ちながら味わいの違いを実感したいですね。