空を見上げると、虹のように彩られた雲を見たことがありませんか?
それは「彩雲」とよばれる天候の現象で、日本では古くから吉事をよぶ縁起物とされています。
雲が虹のような光を発するというのは不思議な気もしますが、なぜそのような現象を起こすのでしょうか?
目次
彩雲とは
吉事をよぶといわれている「彩雲」は、どのように発生するのでしょうか?
彩雲とはどのような現象?
太陽の近くにある雲がプリズムのように彩られる現象です。
パステルカラーの赤や緑に縁どられた雲は、実に美しく幻想的ですよね。
なぜ彩雲は発生するの?
雲に含まれる水滴により太陽光が回折することで起きる気象現象のようです。
ちなみに「回折」とは光や音波・電波で起きる現象のことです。
光などは障害物の後ろに回り込む性質がありますが、その回り込み方は一定ではなく、障害物が波長に対して小さいほど顕著になります。
太陽光の場合、様々な色を持つので、虹のように色が分かれて得も言われぬ美しい現象となるみたいです。
彩雲が見たいなら注目すべき雲がある
光の回折により発生する彩雲は、特に綿のような形状をした「積雲」とよばれる種類の雲で発生することが多いといわれています。
晴れた日に太陽の近くにある雲を写真におさめると彩雲が撮れているかもしれません。
ただしその際は、カメラのモニターを使用してシャッターを切るなど、太陽を直視しないように気を付けてくださいね。
吉報の証とされる彩雲
彩雲は古来より、おめでたいことの前触れとされています。
仏教の中でも縁起がいいとされる彩雲
仏教で修行者が亡くなる際、阿弥陀様が多くの菩薩と共に雲に乗って迎えに来るといわれています。
そしてその際に阿弥陀様や菩薩が乗っている雲が五色の雲だとされていることから、それに似た彩雲は仏教においては何か良いことが起きる前兆だといわれています。
寺院の完成を祝う際や、仏像や仏画の完成の際に営まれる開眼法要という儀式といった仏教的に重要な時によく発生する現象とされています。
彩雲が出て幸先がいいから元号も変わった?
現在は天皇の代替わりの際にのみ元号は改められますが、遥か昔の日本においては、凶事が続いたり大災害が発生した際にも改元はされていました。
この改元の中に、彩雲が発生したためと考えられる改元理由が2回あります。
・1度目は飛鳥時代、文武天皇の時代に瑞雲の発生により大宝から「慶雲」に改元が行われました。
・2度目は奈良時代、称徳天皇の時代に瑞雲が確認されたので天平神護から「神護景雲」へ改元されました。
この2度の改元理由とされる「瑞雲」が彩雲だといわれています。
ちなみに神護景雲は現在のところ、最後の4文字元号となっています。
彩雲は珍しくない現象?
良いことやおめでたいことの前兆だと聞くと、めったに見ることのできないレアな現象かと思われそうですが、違います。
実は彩雲は、非常にありふれた現象だそうです。
たしかに雲全体となると見る機会は希少かもしれませんが、彩雲は雲の端などではよく起きている現象だったりします。
現在のデジタルカメラは非常に優れたズーム機能が付いていますので、晴れた日に太陽の近くにある雲をズーム撮影すると彩雲が撮れているかもしれませんよ。
まとめ
彩雲は太陽の近くにある雲で見られる、光の回折現象による美しい光景です。
そしてそれを見つけるといいことがある前兆だと、昔からいわれてきました。
日本仏教界では重要な祭典の際に起きるとされる現象と考えられていたようです。
彩雲はそれほど珍しい現象ではなく、晴れた日に太陽の近くの雲でよく発生しています。
太陽の直視は危険ですが、デジタルカメラなど文明の利器を使えば安全に彩雲探しはできるみたいなので、晴れた日に試してみるのもいいかもしれませんね。