日本三大随筆とは?そもそも「随筆(ずいひつ)」とはどんなもの?

日本語はとても美しい言語ということもあり、外国語とは違った文化を生んできました。

その中でも"言葉を紡ぐ"という行為が生み出したもの、それが「随筆(ずいひつ)」です。

今回はそんな随筆から『日本三大随筆』と呼ばれる、日本古来の名著についてご紹介します。

文学を語る上では欠かせないものなので、興味がある方はぜひチェックしてみてくださいね。

日本三大随筆

日本三大随筆と呼ばれるものは、国語の授業などで誰もが習ったことのある作品ばかりです。

まずは簡単に日本三大随筆についてご紹介します。詳しくはその後の項目で説明するので、そちらも併せて確認しておきましょう。

枕草子(まくらのそうし)

枕草子は清少納言が平安時代に書いた作品。

方丈記(ほうじょうき)

方丈記は鴨長明が鎌倉時代に書いた作品。

徒然草(つれづれぐさ)

徒然草は兼好法師が鎌倉時代に書いた作品。

ここではあくまでも日本三大随筆の紹介となるため、その内容については以下をチェックしてみてください。

随筆とは?

そもそも随筆とはどのようなものなのでしょうか?

これに関しては現代の日本人ではなかなか触れる機会もないと思います。ただ、実は堅苦しく思える随筆も、形を変えて現代に生き残っています。

随筆とは、現代で言うところのエッセイのようなものです。

作者の心に浮かんだことや見聞きしたものを文章にした散文であり、現代の言葉を使うならブログのようなものだと言えるかもしれません。

随筆は文学形式の一種として確立されており、多種多様な表現方法が用いられているため、より作者の味が出るのも特徴です。

そういう意味でも、日本古来の随筆は面白いものが多いと言えるでしょう。

清少納言「枕草子」

以下、枕草子の原文の一部です。

『春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは少し明りて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。』

清少納言とは?

清少納言は、平安時代中期に活躍した女流作家です。

歌人として数多くの平安文学を生み出した文豪でもあり、代表作の「枕草子」はあまりにも有名ですよね。

そして源氏物語で知られている紫式部はライバルとして挙げられることもありますが、2人には面識がなかったとされています。

それでも平安時代を代表とする二大巨頭として知られ、日本の文学にも多大な影響を与えた人物だと言えるでしょう。

特徴

枕草子は文章の随所に「をかし」を多用しているのが特徴で、題材としては時代背景にあった貴族社会や身分階級、自然について書かれています。

「をかし」は興味深いことや好ましいこと、素晴らしいことの意味で使われており、清少納言自身が感じたことを綴っています。

文章は自分の生活に沿ったものが多く、ブログのように個人的な意見を書き連ねた作品となっているのが特徴ですね。

超簡単要約

枕草子をとっても簡単に言うと、超有名なブログです。現代で言えば清少納言はインフルエンサー!

特に「をかし」「いとをかし」を多用していたことからもわかるように、「これっていいよね」「こういうのって素敵」というように、身の回りの自然や自分の感情などをみんなに共有する作品です。

例えるならすごい文才のあるインフルエンサーのFacebook投稿集といった感じでしょうか。

鴨長明「方丈記」

以下、方丈記の原文の一部です。

『ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。』

鴨長明とは?

鴨長明は平安時代末期から鎌倉時代初期にかけて活躍した歌人であり、随筆家として数多くの名作を生みだしてきた天才でもあります。

代表作の「方丈記」は文学好きの間では知らない人はいない作品で、日本の教科書でも習うことが多いですね。

特徴

方丈記は前半部分がとても有名で、鴨長明自身が体験した五大災害の影響を受けている作品であり、世の中の無常さや理不尽さが描かれています。

特に諸行無常のようにある事柄がずっと同じではなく、常に変わっていくということを表現している点はお見事ですよね。

また、後半部分は鴨長明自身の人生観や無常観などを記しており、ある意味では自叙伝のようになっているのも特徴です。

彼自身についても知れるので、一度は読んでおきたい作品だと言えますね。

超簡単要約

方丈記全体では無常観に関して書かれており、エッセイではあるがちょっと考えさせられるような作品となっています。

特に災厄に関する描写が細かく、災害ルポタージュのような側面があり、現代でいえば鴨長明はルポライターやジャーナリスト、もしくは戦場カメラマンのような存在と言ってもいいかもしれません。

例えるなら、超文才がある戦場カメラマンのブログといったところでしょうか。

兼好法師「徒然草」

以下、徒然草の原文の一部です。

『つれづれなるままに、日ぐらし硯に向かひて、心にうつりゆくよしなしごとをそこはかとなく書き付くれば、あやしうこそ物狂ほしけれ。』

兼好法師とは?

兼好法師は、吉田兼好や卜部兼好の名で知られる官人で、遁世者や歌人や随筆家としてその名を知らしめた人物です。

代表作の「徒然草」は国語の教科書などでも習う作品で、誰もが一度は目にしたことがあるかもしれません。

特徴

徒然草は兼好法師が日々思っている心模様を描いており、そこにユーモアや皮肉を散りばめた言い回しになっているのが特徴となっています。

独自の視点から描かれる世の中への意見は、時代を風刺したり自分自身と向き合ったり、様々な思想を肌で感じられるようになっています。

超簡単要約

徒然草の「徒然」は特にやることがない暇な様子を表し、「草」は植物の草ではなく、今でいうところのノートを表します。

・・・ということは、兼好法師が日々の雑多なことをノートに書き綴ったブログですね。今の人でも共感や思わず笑ってしまう内容が詰められた作品です。

実は、この作品が世に出たのは書かれてから100年後の事だといわれており、吉田兼好の遺作として人気の出た、暇つぶしノートといった感じだと思います。

まとめ

日本三大随筆は文学好きな人にとっては絶対に知っておきたい作品ですね。

その内容は現代の作品にも負けず劣らず、むしろ日本古来の世界観を閉じ込めた名著と言えるでしょう。気になる方はぜひ各作品を読んでみてくださいね。

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