ウグイスの鳴き声「ホーホケキョ」は、ホーホケやケキョケキョの時もあるのはなぜ?

ウグイスの鳴き声といえば「ホーホケキョ」ですよね。
この鳴き声は春の訪れを告げるもので、春の風物詩とも言えます。

でも、その鳴き声がたまに「ホーホケ」だったり「ケキョケキョ」だったりもしますが、これはなぜなのでしょうか?
もしかして鳴くのを失敗している・・・?もしくはウグイス以外の鳥の鳴き声・・・?

今回はそんなウグイスの鳴き声について解説します。

実はまだうまく鳴けないから?

 

ウグイスをはじめ、鳥類には主に3種類の鳴き声があるといわれています。
そして、ウグイスの「ホーホケ」や「ケキョケキョ」といった鳴き声は、まだうまく鳴けないからだと考えられています。

まずはその鳴き声の分類について解説したいと思います!

ウグイスの鳴き声は3種類

ウグイスの鳴き声は主に3種類あります。

1つが「さえずり」で2つ目が「地鳴き」、そして最後の1つが「ぐぜり」です。
それぞれの役割がこちら。

・さえずり:繁殖する際に出す声
・地鳴き:さえずり以外の声
・ぐぜり:さえずりの練習の声

うぐいすの鳴き声としてよく表現される「ホーホケキョ」は、さえずりに分類される鳴き声です。
その他の鳴き声は、地鳴きもしくはぐぜりだということです。

実はウグイスには「ホーホケキョ」以外にも、「チャッチャッ」というような鳴き声を出すこともあるのですが、それが地鳴きです。

そして「ホーホケ」や「ケキョケキョ」という鳴き声は、ぐぜりです。
「ホーホケキョ」とうまく鳴くための練習中の鳴き声という事になります。

ウグイスは主にこの3種類を使い分けており、コミュニケーションに使ったりしています。

「ホーホケ」や「ケキョケキョ」は練習中の鳴き声

鳥類の雛は、親鳥の鳴き声を真似することによって、正しい発声ができるようになっていきます。
人間と同じように、親が使う声を真似してコミュニケーションするわけです。

とはいえ、当然ながら練習しないことにはうまく発声できるようになりません。
最初は何を言っているか分からなくても、練習することで言葉となっていきます。

ウグイスのさえずりは「ホーホケキョ」という鳴き声ですが、幼い雛たちにはその発声ができません。
そのため、どうしても最初は「ホーホケ」や「ケキョケキョ」になってしまっているわけです。

これはあくまでも練習中の声なので、いずれ大人になればしっかりと発声できるようになります。

ただし、大人のウグイスであっても繁殖期を迎える前に練習したりすることがあります。
それなので、子どもに限った鳴き声とはいえないということになります。

古くから愛されてきたウグイスの鳴き声

 

ウグイスの鳴き声は、日本では古くから愛されてきました。
ここからは、日本でのウグイスの鳴き声に関する文化についてご紹介します。

ウグイスの鳴き声はありがたい?

ウグイスのさえずり「ホーホケキョ」、これを昔の人は「法、法華経」と鳴いているようだと感じたようです。
「法華経」といえば仏教の中でも特に知られた経典のひとつですね。

そのため、そんなありがたい経典の名前を唱えるなんて、ウグイスはなんてありがたい鳥なんだと感じ入ったようです。

そのため「仏法僧(ぶっぽうそう)」と鳴くコノハズク、「慈悲心(じひしん)」と鳴くジュウイチという鳥とあわせて、『日本三大霊鳥』なんて呼ばれ方をすることも。
ちなみにこのように鳥の鳴き声などを、人間の意味ある言葉に当てはめることを「聞きなし」といいます。

ウグイスの鳴き合わせ

さえずりが上手なウグイスは、「鳴き合わせ」と呼ばれる遊びに使われることもありました。
日本では、古くからこのウグイスを使った鳴き合わせが楽しまれていたのです。

現在の日本では法律によって禁止されていますが、昔の人たちは捕獲したウグイスの鳴き声の美しさを競っていました。
ウズラやメジロでも同じような催しがあったそうなので、昔の人は鳥の鳴き声をずいぶん楽しんでいたようですね。

ウグイスにまつわる豆知識

 

ここからは、ウグイスに関する豆知識について見ていきましょう。

ウグイスのフンは美容のもと?

ウグイスのフンを天日干しして乾燥させることで紫外線殺菌し、それを粉末状にしたものは美容に良いと古くからいわれて来ました。
肌のシミやそばかすを綺麗にしてくれると考えられて使用されてきたそうです。
平安時代の書物にも美顔洗顔料として使われてきたという記録が残っている他、古くからニキビ治療薬としても使われてきたことが分かっています。

肉食の野鳥であるウグイスの腸はとても短く、リゾチームなどの加水分解酵素が多量に存在するんだとか。
これらが人間の肌を角質層を柔らかくしてくれるので、付着しているタンパク質や脂肪の汚れを溶かしてくれる効果が期待されるのだとか。

とはいえ、これは現在の科学的認識があって分かってきたことなので、当時の人たちは経験談から行っていたものと考えられます。
美のためとはいえ、鳥の糞を顔につけようと誰が最初に考えたんでしょうかね!

また、かつては和服の模様抜きや染み抜きにも重宝されていました。
職人の手が一様に白かったことから美白剤として化粧品に使用されるようになったともされています。

鶯谷の地名に関わった皇族とウグイス

東京都台東区にある「鶯谷」。
この地名はウグイスが由来となっています。

江戸時代、上野の寛永寺の住職は代々皇族が担っていました。
そういった歴史がある中、元禄文化が栄えた頃に住職としてやってきたのが「公弁法親王(こうべんほっしんのう)」という人物です。

公弁法親王は、上野の森に住むウグイスの鳴き始めが遅く、その鳴き声も美しくなかったことを悲しみ、陶工であり絵師でもあった尾形乾山に命じて京都から美声で"早鳴き"のウグイスを3,500羽も取り寄せました。
そして、そのウグイスを根岸の里に放鳥しました。

それから根岸のウグイスは美しい声で鳴くようになり、江戸府内でも最初に鳴き出す"初音の里"として名所になったのです。
この伝承から「鶯谷」という地名が付けられました。

まとめ

ウグイスはその美しい声で鳴くことで知られていますが、中には「ホーホケキョ」だけではなく、「ホーホケ」や「ケキョケキョ」という鳴き声も聞こえてくることがあります。

これは決して違う鳥ではなく、同じウグイスの声です。
「ホーホケキョ」と上手く鳴けるように練習しているウグイスが近くにいるという事なので、上手な鳴き声を聞かせてもらえるようになるまで、楽しみにしてみてください。

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