「洛陽の紙価を高める」とはどんな意味?その由来は?

書物がもてはやされてよく売れることを「洛陽の紙価を高める(らくようのしかをたかめる)」と言います。
ある出来事があるものの価値を高めることを言った言葉です。
しかし、それがなぜ「洛陽の紙価を高める」なのでしょうか?

今回はそれら「洛陽の紙価を高める」について解説します。
特にここではその意味はもちろん由来や語源について詳しく説明します。

「洛陽の紙価を高める」とは

まずは「洛陽の紙価を高める」の意味について見てみましょう。

「洛陽の紙価を高める」の意味

「洛陽の紙価を高める」とは、書物がもてはやされてよく売れることの例えです。

紙の値段というのは普段は安定しているものです。
しかし、ある出来事によって需要が変化することがあります。
それら特定の条件下においてそのものの価値が高くなることを言った言葉、それが「洛陽の紙価を高める」です。

近年では特定の出来事が物事の価値に影響するという意味で使用されることも多いです。

成句は「洛陽の紙価貴し」、四字熟語では「洛陽紙価」

「洛陽の紙価を高める」は成句と四字熟語で表記が異なります。
成句では「洛陽の紙価貴し」、四字熟語では「洛陽紙価」と書きます。

ただし、どれも意味は同じとなります。
そのため、どの表現を使用しても問題はありません。
ですが、やはり「洛陽の紙価を高める」が一般的な表現となるので、その点は広く世間で通用する表現を使用しましょう。

「洛陽の紙価を高める」の由来

では「洛陽の紙価を高める」はどこから来たのでしょうか?
ここからは「洛陽の紙価を高める」の由来や語源に迫ります。

由来は、ベストセラーとなった書籍の登場から!?

「洛陽の紙価を高める」は「晋書-文苑伝・左思」の話から来ています。

それは中国の3世紀頃のこと、西晋王朝の時代に左思という文人がいました。

彼は三国時代の3つの都の繁栄を描いた「三都の賦」という文学作品を10年という歳月をかけて完成させた人物です。
しかし、無名だったこともあって洛陽(当時の都)の人々には見向きもされませんでした。

そこで彼は文壇の重鎮たちに序文を書いてもらうことを思いつきます。

事実、その名案によって自身の著作が一気に話題となったのです。
さらには張華という大御所が「これは繰り返し読むべき名文だ」と称賛したことで事態はさらに変わっていきます。

その絶賛の言葉によって、洛陽の人々は「三都の賦」をこぞって書き写そうとするようになるのです。

その影響で転写するための紙も飛ぶように売れたのだとか。
結局、紙の需要が急増したことで紙自身の価値も上がったそうです。

その様子を言い表したのが「洛陽、之が為に紙貴し」という言葉だったのだとか。
これは「洛陽ではこのために紙の値段が上がった」という意味があります。

転じて、ある書物がもてはやされることでよく売れるようになることを「洛陽の紙価を高める」と表現するようになったそうです。

由来となった本「三都の賦」とはどんな本?

では、その話題になった「三都の賦」とはどのような本だったのでしょうか。

「三都の賦」とは、魏・呉・蜀の三国時代に繁栄した首都の様子を描いた書籍を指します。
著者は前述の通り、左思という文人だったとされています。

左思はもともと寒門の出身、下級士族の家の子でした。
そんな彼は容貌も醜く、吃音も持つ人物だったとされています。
そのこともあり、とても褒められるような人物ではありませんでした。

しかし、それらの不遇な状況にも負けず彼は学問に励み、文章においては中国でも巧みだったことで知られています。
そんな彼が10年の歳月を要して完成させたのが「三都の賦」という大作だったわけです。

まとめ

「洛陽の紙価を高める」はある書物が評判を呼び、紙の価値が高くなることを言った言葉です。
転じて、ある出来事が物事の価値を上げることを言います。

これらは左思という人物が10年の歳月をかけて完成させた書物にまつわる話から生まれた言葉だとされています。
事実、どんな本でも評価次第でもてはやされ、時には転写のための紙すらも価値を高騰させることがあるわけです。

それら様子から生まれた言葉が「洛陽の紙価を高める」です。

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