「引力」と「重力」の違いを説明できますか?実は簡単な違いです

「引力」と「重力」は似たもののようにも思われますが、対象となる存在が大きく異なります。
「引力」が質量のあるあらゆるものに対して用いるのに対して、「重力」は地球のような惑星など天体に用いられます。

では、それぞれどのような「力」を指して用いるというのでしょうか。

引力と重力

 

引力と重力は、どちらも"引っ張る力"というイメージを持たれるかもしれません。
では両者にはどのような違いがあるのか。
それは、対象です。

引力は「様々な物体の間で、互いに引き合う力」のことです。
一方、重力は「地球と地球上の物体の間ではたらく力」に限定されています。

引力というのは地球だけにあるものではありません。
物と物の間には常に「互いに引きつけ合う力=引力」がはたらいているのです。

引力

 

まずは、引力について見ていきましょう。
前述の通り、引力とは「物体がお互いに引っ張りあう力」のことです。

質量を持つ全ての物体には「引力」があります。

万有引力

イギリスの物理学者であるニュートンは、質量を持つすべての物体には「引力」があることを発見しました。
このことを「万有引力」と言い、2つの物体の間に働く万有引力は2つの物体の質量の積に比例し、距離の2乗に反比例します。

海の潮の満ち引きも、地球と月の間に起こる「万有引力」の影響で起こっているのです。

有名なニュートンのリンゴ

ニュートンと引力といえば、リンゴの逸話が有名ですね。
「リンゴが木から落ちるのを見て、重力を発見した」と解釈されることが多いのですが、これは誤解です。

リンゴが落ちるのを見て「リンゴに働く重力」を発見したのではなく、「リンゴに対して働いている力が、月や惑星に対しても働いているのでは?」と着想したのです。
地球に物がひかれる「重力」の概念に関しては、ニュートンの時代にはすでに発見されていましたよ。

重力

 

次に重力について見ていきましょう。
重力は、「地球と地球上の物体の間で働く力」になります。

地球上で物体が地面に近寄っていく現象は、重力によるものです。

重力=万有引力+遠心力

重力は、地球が持つ「万有引力」と地球の自転による「遠心力」を合わせた力のことです。

地球の引力というのは、地球がその中心に向かって物体を引く力のこと。
そして、地球の遠心力は自転によって、地球上の物体が外に引っ張られる力のことをいいます。

地球上にあるすべての物体には、この万有引力と遠心力を合わせた力である「重力」が働いているのです。

赤道付近と極付近

重力は「引力+遠心力」です。
しかし遠心力というのは、地球上の場所によって変化しますよね?

回転軸、すなわち南極・北極の極地点では遠心力は弱く、逆に赤道付近では遠心力が強く働きます。
そのため、遠心力が強い赤道付近では、遠心力が引力の効果を弱めているため、物体はわずかに軽くなります。

一方、極付近は遠心力が弱いので、重力は大きくなります。
つまり、物の重さは、場所によって変わってくるのです。
赤道上では、北極や南極よりも重力は約0.5%小さくなります。

この重力の差異は日本でも発生しています。
そのため、はかりなどは地域ごとに重力の補正をすることで均一性が取られています。

重力は引力の一種

 

引力と重力をざっくばらんにまとめてみると、このようになります。

・引力=万有引力(物同士が引き合う力)
・重力=万有引力+遠心力

つまり、重力は引力の中の一種に分類されるわけですね。

様々な物体間で働く「引力」の中に、地球と地球上の物体の間で働く「重力」があるわけですね。

まとめ

重力と引力、その違いは明確です。
引力は、質量のある存在ならあらゆるものが有する引き合う力で、万有引力ともいわれます。
重力は、引力と地球のような惑星などが自転する事で発生する「遠心力」を合わせたものです。
は、どちらも引っ張られる力と認識している人が多いでしょう。しかし、それぞれ意味は異なります。

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