陸上でも生きていられる「トビハゼ」とはどんな魚?ムツゴロウとはどう違うの?

みなさんは陸上でも生きることができる魚という存在をご存知でしょうか。
日本には、そんな陸上で生活できるという不思議な魚がいます。
その名も「トビハゼ」です。
ここでは、そんな特殊な生態を持つトビハゼについてご紹介します。

そして、ムツゴロウにもよく似ていて勘違いされることが多いので、その違いについても見ていきましょう。

トビハゼはこんな魚

 

トビハゼはスズキ目ハゼ科トビハゼ属に分類される生き物で、主に干潟の泥の上を這い回る魚です。
まずはそんなトビハゼがどのような魚なのかを見ていきましょう。

生息地

トビハゼは、日本の他、中国や台湾、朝鮮半島まで分布している魚です。
日本に限定すれば、東京から沖縄まで広く生息しており、実は多くの干潟で見ることのできる魚となっています。

主に水気を帯びた海水と淡水が混ざり合う汽水域の干潟などに生息しているため、干潟が近くにあるのならトビハゼ探しをしてみるのも楽しいかもしれませんね。

食性

トビハゼは肉食性で、自分よりも小さな甲殻類や多毛類を食べて生きています。
食事の風景を見ることはなかなか難しいですが、普段は這いずり回って移動するトビハゼも俊敏に動き回って狩りをするそうですよ!

生態

トビハゼは筋肉が発達しているため、泳ぐよりも這いずり回る方が得意な生き物で、稀にジャンプすることもあります。
魚だけれど魚らしからぬ特徴がある、珍魚と呼べそうな存在です。

時にはカエルのような連続ジャンプで素早く逃げ回ることもあるので、這いずり回っているだけだと思っていたら逃げられてしまいます。

大人になると体長10cmほどになり、表面の色は灰褐色をしています。
皮膚には小さな白黒の斑点があり、まだら模様をしています。

その眼球はカエルのように頭から飛び出ているのですが、これは平坦な干潟を見渡すために進化したと考えられています。

トビハゼの巣作り

トビハゼは魚なのに陸上でも行動するというのが特徴的なのですが、巣作りをする姿もヘンテコだったりします。

トビハゼは、巣を作る場所を決めたらそこに穴を掘り、口に泥を含んで穴の外にペッと吐き出します。
これを繰り返すことで、立派な巣を作り上げるのです。

春から秋にかけては干潟の上で生活するのですが、冬の間は巣穴でじっとしていることが多いようです。

魚なのになぜ陸上で生活できるの?

 

トビハゼは、魚なのにまぜ陸上で生活できるのでしょうか。
それには、様々な特性が関わっています。

トビハゼは皮膚呼吸ができる

普通の魚は主に鰓(えら)呼吸をしているのですが、トビハゼは皮膚呼吸もできるので陸上生活も問題はありません。

一般的な魚は代謝によって発生するアンモニアを水中へ放出するのですが、空気中では呼吸ができない上にアンモニアが体内に蓄積されてしまうので脳障害などを引き起こすことも多いです。
しかし、トビハゼは皮膚呼吸の能力が高いうえに、アンモニアをアミノ酸に変える能力があるため、陸上でも普通に活動できるのです!

陸上での移動方法

トビハゼは這いずり回るだけではなく、その名の通りジャンプをすることもあります。
天敵から狙われた時や潮が満ちてくる時には、飛び跳ねることで逃げることもあります。
水切りをするかのように飛び跳ねて、水際の陸地まで逃げるという習性があるんですよ!

乾燥には弱い

トビハゼは陸上で生活できることはできるのですが、皮膚が乾燥すると呼吸ができなくなって死んでしまうこともあります。
そのため、常に皮膚を湿らせることによって、皮膚呼吸ができるようにしなくてはならないのです。

陸上生活で得たものも大きいけれど、水中で生息していた魚の特性が残っているため苦労することも多そうですね。

ムツゴロウの違いは?

トビハゼにそっくりな生き物として、同じスズキ目ハゼ科に分類されているムツゴロウがいます。
まるで人間のような名前をしたこの魚は、トビハゼとはどこがどう違うのでしょうか?

ムツゴロウとは

ムツゴロウはスズキ目ハゼ科に属する生き物で、トビハゼと同じように干潟で生活する魚となっています。
地域によって呼び名が違っていて、ムツと呼んだりすることもあれば、ホンムツなどと呼ばれることもあります。

トビハゼと同一種のように思うかもしれませんが、ちょっとした違いもあります。

ムツゴロウとはここが違う

トビハゼは体長10cmほどなのに対して、ムツゴロウは体長20cmほどと大きいです。
つまり、単純に大きさが倍近く違ってくるわけですね。

また、トビハゼと同じように皮膚呼吸ができる魚なのですが、ムツゴロウの方が皮膚が厚いです。
この皮膚の硬度も違いの1つですね。

トビハゼは穴に入って食事をするのですが、ムツゴロウは泥に顔を擦り付けて食事をします。
そもそも食性も違っていて、ムツゴロウの主食は藻などで草食性であり、肉食性のトビハゼとは食べるものが根本的に違います。

その他、生息地も異なります。
東京から沖縄まで広く生息しているトビハゼに比べて、ムツゴロウは九州の有明海や八代海だけに分布している魚です。

まとめ

トビハゼは陸上、特に干潟で生活する魚らしからぬ生態をした魚です。
これは、魚なのに皮膚呼吸できるという特徴からなし得ています。

仲間であるムツゴロウとは大きさや食性、生息域などが異なる生き物となっています。

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