その確率まさに奇跡!体の左右で雄雌が異なる「雌雄モザイク」。2020年最新の発見例も!

私たちの体って、普通オスはオス・メスはメスですよね?
しかし生物の中には不思議なもので、通常は雌雄が別々、どちらかの性別になる生き物なのに、オスとメスの両方の機能を共有している個体が出現することもあるんです。

今回紹介するのは、左右で雌雄が異なる生物です。
左右でオスかメスで性別の異なる個体を「雌雄モザイク」と言います。

この雌雄モザイク、発生する確率はかなり低く出会えたら奇跡ともいうべき存在です。

雌雄モザイクとは

雌雄モザイクとは、1つの個体に雄と雌両方の特徴を持っている個体です。
明らかな境界があって混在しているので、それがまるでモザイクのようだということで名称されています。

その確率1万分の1

雌雄モザイクは特定の生物の中で存在するものではありません。
いわば突然変異のような存在ですね。

この雌雄モザイク、発生する確率はかなり低いです。
だいたい1万分の1と言われています。

発生するのは奇跡的なことがこの数値を見ればわかりますよね。

雌雄モザイクがあらわれる生き物

雌雄モザイクの発生する動物はある程度決まっています。
めったに見られるものではないですが、その中で発生頻度が比較的多いのは昆虫やクモ類です。

そのほかには甲殻類や鳥類でも雌雄モザイクの発生する可能性はあります。
節足動物でも雌雄モザイクが時折見られますよ。

雌雄モザイクが発生する理由

雌雄モザイクの発生する理由は諸説あります。
その中でもよく言われるのは細胞分裂の過程におけるトラブルです。

私たち哺乳類で雌雄モザイクが発生することはないとされます。
これは胚の細胞には雌雄の区別が無く、後にホルモンの影響で雌雄どちらかになるかが決定するためです。

昆虫や節足動物の場合

雌雄モザイクの起こりうる節足動物や昆虫の場合、細胞分裂の初期段階で細胞の特徴が決まっているとされています。

例えば蝶の場合、最初の分裂で左右、2回目の分裂で上下、3回目の分裂で表裏の細胞が決まります。
たった3回の分裂で、あらかた細胞の個性が決まるわけですね。

細胞分裂する際のDNA情報の中には性染色体も含まれています。
性染色体の組み合わせ次第でオスとメスが決められます。

雌雄モザイクが発生するのは、この細胞分裂の段階で性染色体情報に何かしらのエラーが起きたため発生すると考えられています。

一回目の細胞分裂の段階で左右の細胞情報が決定します。
その段階で性染色体に異常事態が発生すると、1つの細胞はオス、もう1つの細胞はメスとして読み取られてしまう場合があるんです。

すると一方はオスとして、もう一方はメスとして細胞分裂を繰り返します。
結果的に、中心線を境に雄雌の混在する雌雄モザイクが生まれてしまうわけですね。

鳥類の場合

鳥類、特に鶏でも雌雄モザイクの発生することもあります。
雌雄モザイクの発生する理由は鶏の場合、少し異なる説もあります。

動物は精子と卵子が合体することで受精します。
この時オスの遺伝子を持つ精子と、メスの遺伝子を持つ精子が同時に卵子と受精するからではないかとみられています。

この説はイギリスにあるエディンバラ大学の研究チームが出した結論です。
鳥類の場合、雌雄どちらかに成長するのかは、哺乳類のようにホルモンの影響ではなく染色体自体の情報によるもので決定するようです。

これまで見つかっている雌雄モザイクの例

雌雄モザイクは奇跡的な確率でしか発生しませんが、時折発見されています。
そこでここでは実際に確認された雌雄モザイクの過去の事例について、いくつかピックアップしますね。

宮崎県総合博物館で展示されたノコギリクワガタ

2020年、ノコギリクワガタの雌雄モザイク個体が発見されました。

宮崎県総合博物館で展示された半分オスで半分がメスのノコギリクワガタがそうです。
宮崎県総合博物館では、Twitter上にその雌雄モザイクのノコギリクワガタの画像をアップしています。

学芸員さんでも初めて見るというほど希少な存在、それが雌雄モザイクなのです。

雌雄モザイクの蝶

2015年、ハートフォードシャーというイングランド東部の地域でナガサキアゲハの雌雄モザイクの個体が発見されました。
ナガサキアゲハはもともと、アジア原産の蝶です。

こちらの蝶、右半分がメスで左半分がオスでした。

詳しくは、FUNDOのこちらの記事をご覧ください。
【1万分の1の奇跡】雌雄モザイクの蝶が発見される。なんと右半分がメス、左半分がオス

福岡で見つかったミヤマクワガタ

2016年、福岡では雌雄モザイクのクワガタが発見されたこともあります。
しかも発見したのが小学生だったということで、話題になりました。

夏休みに親子で7匹の深山クワガタを捕獲したそうです。
その中の1匹が右側がオス、左側がメスの特徴がありました。
はさみのようなあごが左右で大きさが違う、胸の毛が右端だけに生えていたことで「あれっ?」と気づいたみたいですね。

詳しくは、FUNDOのこちらの記事をご覧ください。
【1万分の1の奇跡】雌雄モザイクの蝶が発見される。なんと右半分がメス、左半分がオス

まとめ

雌雄モザイクの発生する確率は1万分の1です。
よってそうめったに見つけられるものではありませんね。

ただご紹介したように、日本でも雌雄モザイクの発見事例があるのもまた事実です。
雌雄モザイクの昆虫探しをして、ロマンを追いかけてみるのも面白そうですね。

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出典:Twitter(宮崎県総合博物館【みやはく】)

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