「月に叢雲花に風」、雅な雰囲気があるけれどその意味はあまりよろしくない

「月に叢雲花に風」はとても風情のある雅な雰囲気を持つ言葉です。
しかしその実、その意味はあまり良い意味ではありません。
良いことにはとかく邪魔が入りやすいということを表現した、ネガティブな状況をあらわす言葉です。

ここでは、そんな「月に叢雲花に風」とはどういう言葉なのかはもちろん、類義語や対義語についても併せてご紹介します。
日本語らしさ溢れる「月に叢雲花に風」について、ぜひ一緒に学びましょう!

「月に叢雲花に風」とは

まずは「月に叢雲花に風」がどういう意味を持つ言葉なのか解説します!

「月に叢雲花に風」の指す状況

「月に叢雲花に風」は、名月の夜に限って雲が群がってきて見えなかったり、花が満開で見ごろだというのに、風が吹いて散ってしまったという状況を表しています。

「月に叢雲花に風」の意味

「月に叢雲花に風」は、良いことにはとかく邪魔が入りやすく、なかなか思うようにはいかないという意味があります。
これは、世の中の好事には、とにかく差し障りが多いことの例えです。
特に良いことなどは邪魔が入って長続きしない状況を指しもします。

一見するととても雅な雰囲気の言葉なのですが、意味としてはあまり良くはないので用いる際には注意しましょう。
また、「水と油」のように、相性が良くないという状況を指して用いられることもあるのですが、その意味で使うのは誤りとなります。

「月に叢雲花に風」の類義語と対義語

では「月に叢雲花に風」にはどういう類義語や対義語があるのでしょうか?

「月に叢雲花に風」の類義語

まずは「月に叢雲花に風」の類義語をご紹介します。
「月に叢雲花に風」の類義語としては、「好事魔多し」や「寸善尺魔」「花発いて風雨多し」などがあげられます。

好事魔多し

「好事魔多し」とは、物事がうまくいきそうなときには、とかく邪魔が入りやすいという意味の言葉です。

これは中国に古くから伝わることわざが由来だそうです。
もともと中国では「魔」は「磨」という漢字が用いられます。
この漢字は困難や妨害や挫折が起こるという意味で用いられていたのだとか。

それが日本では「魔」という字に変えられ、「邪魔」などの言葉から災難という意味へと展開されていったようです。

寸善尺魔

「寸善尺魔」とは、世の中は良いことが少なく悪いことの方が多いことの例えです。

特に良いことに関しては妨げが多いということを意味しています。
「寸善」は、一寸の善を意味しており、少しだけ良いことを表しています。
「尺魔」は、一尺の悪を指しており一寸の十倍ほど悪いことを表しています。

つまりは「良いことはちょっとあるけれど、悪いことの方が圧倒的に多いよ」ということですね。

花発いて風雨多し

「花発いて風雨多し」とは、物事には邪魔が入りやすく思うようにならないことです。

花が咲く季節は、とかく風や雨が多いとされています。
そこからこのような例えが使われるようになりました。

同じような言葉として「花に嵐」などもあります。

「月に叢雲花に風」の英語版

余談にはなるのですが「月に叢雲花に風」を英語で言うとどうなるのか。
下記でその代表的な英語表現についてご紹介します。

Good Luck comes by cuffing

この言葉は、「幸運は平手打ちをして過ぎ去る」「幸運は来りて平手打ちをくれる」と訳されます。
若干意味合いが違ってくるものの、「月に叢雲花に風」にも似たりですね。

「月に叢雲花に風」の対義語

「月に叢雲花に風」の対義語としては、物事が順調に進むことを指す「順風満帆」などがあります。
同じく順調に物事が運ぶことを意味する「万事順調」や「一路順風」なども「月に叢雲花に風」の対義語となります。
口語である「とんとん拍子」も対義語となりそうです。

風流な雰囲気のあるのに、、、実際は残念な意味の「月夜に提灯」

「月に叢雲花に風」と同じく風流のある言葉なのに、残念な意味を持っている言葉というのは意外とあるものです。
そのひとつが「月夜に提灯」という言葉です。

月夜に提灯とは

「月夜に提灯」とは、必要のないものや役に立たないものの例えです。

明るい月夜に提灯があっても意味がありませんよね。
むしろ風情を損ない、かえって邪魔になってしまいます。
そこから「月夜に提灯」は、ネガティブな意味で用いられるようになりました。

転じて、過度な贅沢や無用な奢りに対しても使われる言葉となっています。
「月夜に提灯」はただただ不要というよりは、便利なものであっても状況によっては無駄になってしまうようなことを指す際に用いられます。

月夜の提灯の類義語

「月夜に提灯」の類義語としては「夏炉冬扇」や「昼の行燈」「無用の長物」などがあります。

これらの言葉はすべて「あっても無駄なもの」という共通した意味を持っています。
また、どれもあるとかえって邪魔になってしまうというニュアンスで用いられる言葉となっています。

まとめ

「月に叢雲花に風」は一見すると美しい日本語表現を取り入れた言葉のように思えるのですが、この言葉はネガティブな意味で用いられます。
いいことに限って、邪魔が入るということをあらわしています。

人生において一度はそういう体験をしたことがある人も多いはずなので、ぜひうまくいっているときこそ、注意深く行動したいですね!

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