ワピチは、世界で二番目に大きなシカです。
このワピチというのは、アメリカやカナダなどの主に北米大陸に生息しているとされますが、実はアジアなどにも分布しています。
ここでは、そんな大きな体を持つワピチについてご紹介します。
なお、東南アジアだけに限れば最も大きな陸生生物となる動物となりますよ!
目次
「ワピチ」とは
ワピチはシカ科シカ属に分類される動物です。
地域によっては別名のワピティという名称で呼ばれる動物で、他にもエルクやヘラジカ、アメリカアカシカ、キジリジカなどと呼ばれています。
「ワピチ」の生息地
ワピチは主にアメリカやカナダなどの北米大陸に生息しています。
しかし、その分布域はとても広く、ユーラシア大陸の中国やカザフスタン、キルギス、ブータン、モンゴル、ロシアなどの東アジアから中央アジアにも分布しています。
なお、イタリアやニュージーランド、アルゼンチンなどにも移入された個体がいるなど、野生下でも飼育下でも逞しく生きる動物となっています。
その一方、メキシコなどではすでに絶滅してしまっています。
「ワピチ」は世界で二番目に大きな鹿
ワピチはシカの現生種の中ではヘラジカに次いで二番目に大きい種とされています。
オスはメスよりも1.2倍ほど大きく、平均で体重315kgほどで肩高が1.5mほど、全長2.4mほどとなっています。
大型のものとなると、体重600kg、肩高1.7m、全長3mに達することもあるなど陸生生物としてはかなりの巨体となります。
メスはオスよりも小さく、平均して体重が225kgほどで肩高1.3mほど、全長2mほどになる個体が多いです。
この体の大きさがそのまま天敵から身を守る手段となっています。
特に健康な成熟したオスは、ヒグマのような大型肉食種に捕食されることもほとんどないと考えられています。
むしろ、襲ってきたヒグマを逆に撃退することもあるのだとか!
ちなみに東北アジアに限れば、最も体が大きな陸生動物の1つとなります。
オスに欠かせない「角」と「鳴き声」
そんな巨体を持つワピチにとって欠かせないのが、角と鳴き声です。
ワピチはオスのみが滑らかな角を持ちます。
大きなものだと180㎝以上になるほど大きな角を持つ個体もいるのだとか。
高身長の人間と同様の大きさの角だと思うと怖いですね!
この角は1年ごとに生え変わり、毎年春に伸び始めて冬の終わりになると抜け落ちてしまいます。
また、ワピチのオスは繁殖期になると独特の鳴き声を張り上げてお互いの存在を主張します。
オスは、他のオスよりも優れていることをアピールするため横に並んで歩いて競うのですが、この際に鳴き声を張り上げてたり、激しい力比べなども繰り広げます。
その戦いに勝利したオスだけがハーレムを作れるのです!
数を減らす「ワピチ」
ワピチは年々個体数が減ってきています。
かつては北アメリカ大陸全土にいた
ワピチはかつて北アメリカ大陸全域に生息していました。
1990年代では100万頭はいたと推定されています。
しかし、北米では年間20万頭ほどが狩猟されることもあって、ワピチの個体数は徐々に減ってきていると考えられています。
また、すでにメキシコでは全滅してしまったそうです。
海外では狩猟目的で扱われるシカも多く、それ自体が個体数激減の一因となっています。
人為的に移入された場所もある
数が減る一方というわけではありません。
ワピチは、ヨーロッパではイタリアなどに移入されています。
その他、ニュージーランドやアルゼンチンでは外来種として移入されています。
特にニュージーランドでは、19世紀中頃にイングランドとスコットランドなどのシカがゲームハンティングのために持ち込まれたとされています。
そんなニュージーランドの気候が移入されたシカに適していたことから、野生化したシカが徐々に個体数を増加させたとされています。
そのまま管理できない数にまで増加したのだとか。
増えすぎてしまい、20世紀中頃には自然植生に影響を与える害獣として認識されるようになってしまったのだとか。
「ワピチ」という名前の由来や別名について
世界で二番目に大きな鹿という割に、ワピチは日本ではマイナーともいえる存在です。
ところで、このワピチという名前はどこから来たのでしょうか。
「ワピチ」の名前の由来
ワピチ、という名前はアメリカの先住民が関係しているとされます。
ワピチというのは、アメリカの先住民であるショーニー族の言葉で「白い尻」を意味する「waapiti(ワピーティ)」に由来しています。
それが訛り、ワピチと呼ばれるようになったとされています。
たしかに、上記の写真ではお尻が他の毛より白くなっているのが分かりますね。
別名の「エルク」は違う動物と勘違いしたから?
ワピチは、別名でエルクと呼ばれています。
特にアメリカやカナダなどでは、エルクという呼称の方がメジャーともされています。
ところがこのエルクという別名、他の動物の名前だったりします。
エルクとは、本来ヘラジカの事を指す名前です。
ではなぜ混合するような別名があるのか。
これは、ヨーロッパのアカシカよりも大きな、ワピチを北アメリカで初めて見たヨーロッパ人探検家がヨーロッパに住むアカシカの仲間ではなく、ヘラジカの一種だと誤解したためだとされています。
そこから北米大陸などではエルクという呼称が一般化したのだとか。
まとめ
ワピチは北米大陸を中心に、ユーラシア大陸の東アジアや中央アジアにも生息している大きなシカです。
その大きさは、世界最大のシカであるヘラジカに次いで大きいとされます。
そして東北アジアアジアでは最も大きい陸生生物なのだとか。
とても大きなシカであり、その迫力は十分すぎるほどです。
特にオスの頭部に生える角は、場合によっては180cmにまで大きくなるというのですから圧巻です。