シャコとそっくりな姿形をしている甲殻類、それがアナジャコです。
そんなアナジャコは名前にもシャコが入っているためシャコの仲間だと思ってしまいますが、実はシャコの仲間ではありません。
そこでここでは、そんな不思議なアナジャコについてご紹介します。
実はシャコではなく、ヤドカリの仲間らしいです。
目次
アナジャコとは
出典:Wikipedia(©Anonymous Powered)
アナジャコは、エビ目アナジャコ下目アナジャコ科に分類される甲殻類です。
その見た目は、名前からも分かるようにシャコにそっくりです。
アナジャコの生息域
アナジャコは、日本の場合北海道から九州にまで生息しています。
主に太平洋から瀬戸内海にかけて広く分布しており、古くから食用ともされてきました。
日本列島沿岸部には、ヨコヤアナジャコやナルトアナジャコなど、実はアナジャコだけでもいくつかの種類がいたりするそうです。
また、沖縄の琉球列島のマングローブ林や湿地で見られるオキナワアナジャコなど、別の科に分類されるアナジャコも存在します。
なお、海外ではロシアや中国や朝鮮半島などでユーラシア大陸の東部に生息しています。
アナジャコは主に泥干潟に巣穴を作って生活しており、とても規模の大きい巣穴を掘ることができます。
この巣穴にいる生態と姿から、アナジャコと呼ばれる湯になりました。
アナジャコの旬と繁殖期
アナジャコは、全国的に食されているわけではありませんが、一部地域では古くから重宝されてきました。
知る人ぞ知るおいしい一品なのだとか。
塩茹でにするだけでも絶品で、素揚げや唐揚げや天ぷらにしても、味噌汁に入れても美味なのだとか。
そんなアナジャコは、繁殖期であり、メスが腹部に抱卵する春から夏にかけてが旬とされています。
孵化後は約2週間ほどの間に幼体を経て着底し、若個体となって成長していき、最終的には約10cm前後にまで育ちます。
アナジャコの食性
アナジャコは、口に密生するヒゲでプランクトンやデトリタスをこしとって食べます。
この食事法は濾過摂食といわれ、ジンベエザメやマンタ、シロナガスクジラなどもアナジャコ同様、濾過摂食を行います。
アナジャコの別名
アナジャコは、九州ではマジャクとも呼ばれます。
特に有明海産マジャクが食材としても重宝されており、現地ではマジャク漁と呼ばれるアナジャコ漁も盛んに行われています。
アナジャコはシャコの仲間?
アナジャコはその姿形や名前からシャコの仲間だと思ってしまいますが、実はシャコの仲間ではありません。
アナジャコはシャコではなくヤドカリの仲間
アナジャコは、名前と姿形がシャコに似ていますが、実は別物です。
しかも、シャコとは類縁の遠い別の生き物なんだとか。
むしろアナジャコはヤドカリの仲間に近いとされています。
アナジャコもヤドカリも「甲殻綱十脚目」に分類されます。
対してシャコは「軟甲綱口脚目」です。
確かに分類上、アナジャコとシャコは非常に遠い関係のようです。
外見はシャコに似ている
分類上は全く異なる生きもののアナジャコとシャコは、姿形だけなら非常に似ています。
アナジャコは、体長はオスもメスも約10cm前後とされており、甲殻類ではあるものの全体的に体が柔らかい特徴となっています。
シャコの方は10cm以上、大きいものでは20cmとなりますので、アナジャコを小振りなシャコと思ってしまうかもしれません。
アナジャコの第一胸脚は大きな可動指と小さな不動指で構成されており、不完全なハサミ状です。
そして、頭胸甲はエラとなる部分が発達していて、左右に膨れています。
腹部は前半部が細くなっていて、下部に遊泳脚と呼ばれるヒレ状の腹肢があります。
アナジャコの釣り方が面白い!
アナジャコは、その捕まえ方が非常に独特です。
アナジャコの巣穴は深い
アナジャコは巨大な巣穴を持ち、成体の巣ともなると2m以上になります。
そのため、巣穴を掘り返して捕獲するのは困難とされています。
しかし、アナジャコが巣穴を守る性質を活かして釣ることができるため、現地の人は古くから伝わる方法で釣りが行われています。
アナジャコ釣りには筆を使う?!
アナジャコ釣りで使われる道具は筆です!
いわゆる書道や習字で使うあの筆です。
アナジャコの釣り方は至ってシンプルです。
まず、巣穴を見つけたらあらかじめ巣穴周辺の泥を除け、表面の水気をなくします。
こうすることで巣穴が見えるようになるので、そこに筆を差し込んで、後は待つだけです。
アナジャコは、巣に入ってきた異物を押し出そうとする習性があります。
この釣り方では、筆を異物と認識し、筆をつかんで押し出そうとします。
すると、筆が巣穴から持ち上がってくるので、あとはゆっくり引き上げればアナジャコが釣れるというわけです。
この釣り方なら、釣り餌を触れないという人でも、小さいお子さんでも安心してアナジャコ釣りに参加できますね!
他にもあるアナジャコの釣り方
他にも、別のアナジャコを使う「友釣り」という方法もあります。
これは本来その巣穴に住むアナジャコとは別のアナジャコをおとりにしておびき寄せ、出てきたところを捕獲するという方法です。
また、韓国では巣穴にテンジャンという味噌に似た調味料を入れて出てこさせるという釣り方もあるそうです。
まとめ
アナジャコは普段見かけることもあまりありませんが、一部地域ではとても美味しい食材として人気がある甲殻類です。
そんなアナジャコはシャコに似た名前と姿形をしているのですが、実際にはヤドカリに近い生き物とされています。