
裕福な暮らしを指して「左団扇」と表現することがありますよね。
この「左団扇」とは文字通り左手で団扇を仰ぐことから来ています。
しかし、なぜそれが贅沢な生活を指すようになったのでしょうか?
そこでここでは、「左団扇」の意味とその成り立ちについて見ていきましょう。。
目次
「左団扇」とは

まずは「左団扇」がどういう言葉なのかを見ていきましょう。。
「左団扇」の意味
「左団扇」とは、余裕のある楽な暮らしぶりの例えです。
特に安穏とした生活や安楽な生活を送ることの例えとして用いられます。
のんびりと遊んで暮らせる人として、お金持ちやセレブを指す際にも用いられます。
「左団扇」の類義語
「左団扇」のように、余裕のある生活、つまり贅沢な暮らしができるという意味の言葉は他にもあります。
以下、「左団扇」の類義語をまとめます。
有閑
「有閑」とは、暇があることを意味します。
特に生活に余裕があり、暇を持て余していることを指します。
無聊
「無聊」とは退屈なことを指す言葉です。
特に心が楽しまないことや気が晴れないことも意味します。
「左団扇」は、どちらかというと安寧な生活を意味します。
そのため、退屈とは少しニュアンスや意味合いが違ってくるかもしれません。
しかし、暮らしのためにあくせく働く必要がないという点では、共通する面もある言葉と言えます。
「左団扇」は右利きの人が多いから生まれた?

そんな「左団扇」は右利きの人が多いからこそ生まれた言葉です。
ここからは「左団扇」という言葉が生まれた背景を解説します。
右利きの人が左手で団扇を仰ぐと・・・
左団扇はその言葉通り、右手ではなく左手で団扇を仰ぐことを指します。
利き手ではない手で団扇を仰ぐと、慣れないうちは動きは滑らかではなくゆっくりしたものになります。
こののんびりと団扇を仰ぐ姿は、あくせくとした人ではなくゆったりした正確に見えます。
そこから「左団扇」は余裕のある人を指すようになったようです。
本来、右利きの人が左手で団扇を仰いでもうまく仰げません。
しかし、そんなことをしてしまうほど暇を持て余すような暮らしを指して「左団扇」と表現したという話もあります。
どちらにしても「左団扇」は右利きの人が反対の手で動作を行うという様子から生まれた言葉のようです。
昔から右利きの人が多かった!
日本には、昔から右利きの人が多かったとされています。
事実、日本人で左利きの人は全体の約11%だそうで、世界で見ても左利きの人は約10%ほどしかいないそうです。
このことから圧倒的に右利きの人が多いことがわかります。
第二次世界大戦よりも前の時代はさらに少なく、左利きの人は全体の約6.5%程度だったとか。
右利きの人が大半の中で左手で団扇を仰ぐ、そんな姿から「左団扇」という言葉が生まれたわけですね!
「左団扇」の対義語

では「左団扇」の反対の意味となる言葉はどのようなものがあるのか見てみましょう。
粉骨砕身
「粉骨砕身」とは、力の限り努力をすることを意味します。
文字通り、休む暇もなく骨を粉にし、身が砕けるまで果敢に働いたり挑んでいく様子をあらわしています。
「左団扇」は、懸命に働かずとも十分に生きていける人を指すため、「粉骨砕身」はまさに真逆の意味を持つ言葉だと言えるでしょう。
身を粉にする
「身を粉にする」とは労力を惜しまず一心に仕事をすることを指す言葉です。
これも意味としては「粉骨砕身」と同じです。
体も心もボロボロになるまで働くという点を考えると、「左団扇」とは程遠い意味を持つ言葉と言えますね。
左前
「左前」とは経済的に苦しくなることや運が傾くことを表します。
別の言い方では「左向き」と表現される言葉です。
本来は相手から見て左の衽を上にして和服を着ることを指します。
これは普通の着方とは反対で、死者の装束を意味するのだとか。
一般的な意味だと生活が苦しい人のことを指すため、「左団扇」と反対の言葉となります。
まとめ
「左団扇」は余裕のある暮らしぶりのたとえで、お金持ちやセレブを意味する他、働かずとも悠々自適な生活を送れる人を指します。
世の中は右利きの人が多いです。
そんな右利きの人が、左手で団扇を仰ぐとその動きはゆっくりしたものになります。
この様子から生まれたとも、左手で団扇を仰ぐくらいしかやることのない姿から生まれたともいわれています。