「二の舞」とはどのような意味?「一の舞」や「三の舞」はある?

「二の舞」とは、前の人がした失敗と同じ失敗を繰り返してしまうことを例えた言葉です。
この言葉は、雅楽が由来となっているとされます。

ここでは、そんな「二の舞」がどのような言葉なのか、その意味や由来について見ていきましょう。

「二の舞」とは

 

まずは「二の舞」の意味や、類義語について見ていきましょう。

「二の舞」の意味

「二の舞」は、他人のした失敗と同様の失敗を繰り返してしまう事を意味します。
また、同じことを繰り返すというニュアンスで使われることもあります。

「あいつの二の舞だ」と表現した際は、あいつと称された人物と同じような失敗をしてしまいそう(もしくはしてしまった)という事になります。

「二の舞を演じる」という表現が正しく、「二の舞を踏む」は誤用とされる場合がありますが、これは一概に間違いとは言い切れません。
なぜなら、「体験を踏む」という表現があるので、ここでの二の舞を体験をするという意味で用いるなら、「二の舞を踏む」と表現しても間違いとは言い切れないからです。

類義語は「覆轍を踏む」

二の舞の類義語としては、「覆轍を踏む」という言葉が相当するといえます。
「覆轍」とは、前の車が転倒した跡のことを指しています。

前を行く車が倒れるところを見たら、後続は自分はそこで倒れないように用心できます。
そこから、先人の失敗という意味で用いられる言葉となりました。

ですから、失敗した人の残した跡と全く同じルートをたどることになる「覆轍を踏む」は、先人の失敗を繰り返すという意味があります。

「二の舞」とは

 

この二の舞というのは実在の演舞から生まれた言葉です。
では、二の舞があるなら、一の舞や三の舞はあるのでしょうか・・・。

由来は滑稽さのある舞から

「二の舞」は、伝統芸能のひとつ舞楽の演目に由来します。
その演目こそ「二の舞」です。

この二の舞とは、「安摩」とう演目の答舞となっています。
安摩という演目では、顔に蔵面といわれる白い絹を貼った紙製の四角いお面を付けた人物が、手に平安貴族などが持つ笏を持って踊ります。

この安摩の次の演目が「二の舞」です。
この演目では、男女の老人の面を付けた人物が、「安摩」の披露した舞を真似ようとするのですが、年を取っている事もあり上手く舞う事ができません。

この演目の様子から、人のまねをして失敗する様子を指して「二の舞を演じる」と表現されるようになりました。
それがいつの頃からか、他の人と同じ失敗を繰り返す様子へと意味が転じたのです。

「一の舞」や「三の舞」はある?

二の舞は、あくまでも「安摩」を真似する演目の事なので、一の舞や三の舞という言葉はありません。
ただし、二の舞の前の演目である安摩のことを、「一の舞」と表現することは稀にあるようです。

伝統芸能の作品から生まれた言葉

 

「二の舞」は、伝統芸能の舞楽から生まれた言葉でしたが、その他にも伝統芸能から生まれた言葉というのはあります。
そこでここでは、そんな伝統芸能に由来する言葉をいくつかご紹介します。

あこぎ

「あこぎ」とは、利権や物を貪ろうとする強欲であくどい様子の例えです。
語源は室町時代に作られたとされる能の演目「阿漕」にあります。

阿漕という人物が、禁漁地とされる場所で密漁を繰り返したため、捕らえられて海に沈められたという一節が含まれた演目となっています。
この内容から、商売に汚くあれもこれもと貪ろうとする人を「あこぎ」と表現するようになりました。
それが現代にも残り、利権や物を貪ろうとする人のことを指す言葉として定着しました。

ちなみに、この阿漕という人物が密漁を繰り返していた場所は実在し、その場所は「阿漕ヶ浦」と呼ばれています。
この地名は演目から取られたのではなく、平安時代にはすでに付けられていたようです。
禁漁区にも関わらず、当時から密漁が行われていたことが残された和歌などから分かっています。

この事実から、能の作品が作られたのかもしれませんね。

助六寿司

「助六寿司」は、かんぴょうや卵焼き、桜でんぶにしいたけなど傷みにくい食材を使ったのり巻きと、いなり寿司という組み合わせのお弁当のことです。
その由来は、歌舞伎の演目「助六由縁江戸桜」の主人公、「助六」の名前にあります。

物語に登場する助六の恋人「揚巻」という人物が関係しているともされています。
いなり寿司の油揚げとのり巻きの組み合わせが揚巻という名前を連想させるとダジャレ好きな江戸っ子は考えました。
そこから、揚巻と直接名前を付けるのではなく、恋人の方の助六にあやかって「助六寿司」と呼ぶようになったのだとか。

まとめ

「二の舞」は、伝統芸能の雅楽の演目から生まれた言葉です。
同じ失敗を繰り返すことといった意味があります。

「二の舞」と表現することもあれば、「二の舞を演じる」や「二の舞を踏む」とも表現されます。
その由来は、伝統芸能の舞楽の演目にあります。
「二の舞」という演目では、直前に披露された「安摩」という演目を老人役の人たちが真似しようします。
しかし、年を取っていてうまく踊れません。
その様子が滑稽なので生まれたとされます。

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