【生醤油】「きじょうゆ」と「なましょうゆ」はなんと別物?!その違いは何?

「きじょうゆ」と「なましょうゆ」、どちらも漢字表記は「生醤油」です。
漢字表記も一緒だし、どちらも醤油の事だし同じものかな・・・と思いきや、この2つは実は別物になります。

そこでここでは、「きじょうゆ」と「なましょうゆ」がそれぞれどのような醤油なのか、また名称の近しい「生揚げ醤油」との違いなどを見ていきましょう。

「きじょうゆ」とは

 

まずは「きじょうゆ」がどのような醤油なのかを見ていきましょう。

「きじょうゆ」は料理業界の用語から来ている

「きじょうゆ」とは、料理業界用語からきており、だしやみりんなどで味付けしていない醤油を指します。
JAS法では「きじょうゆ」と呼べるのは塩の添加までとされています。

大豆や小麦などを使い作った「諸味(もろみ)」を絞り、これに加熱処理をしたものとなります。
この加熱処理を「火入れ」と言います。

火入れは何のために行われているの?

「きじょうゆ」に「火入れ」を行うのはいくつかの理由があります。
まず一つが、微生物の活動をおさえるためです。

醤油は、酵母菌などの微生物による発酵でつくられています。
これらは炭酸ガスやアルコールを生み出すので、密閉された容器に入れると圧力が高まりフタが取れてしまう可能性があります。
そこで、火入れを行い、微生物を失活させる必要があるのです。

そして、火入れを行うとたんぱく質や乳酸菌に酵母などが凝固するので、ろ過することで除去することができるようにもなります。

また、火入れを行う事で、醤油の赤みがかった濃い色があらわれ、「火香(ひが)」とよばれる独特の香りが引き立ちます。
火入れは、醤油をよりおいしく、安全にするひと手間という事ですね。

「なましょうゆ」とは

 

次に、「なましょうゆ」について見ていきましょう。

規格の定められた「なましょうゆ」

「なましょうゆ」は、火入れをする「きじょうゆ」に対し、火入れをせずにろ過のみを行った醤油です。
なましょうゆは、精密にろ過することで、火入れによる微生物の失活をさせなくても、パッケージングして流通させることができるようになっています。

そして、このなましょうゆには、JAS法にて規格が設けられています。
規格の中では「火入れを行わず、火入れと同等の殺菌処理を行ったもの」にだけ「生(なま)」と記載することが認められています。

火入れをしていない正に「生」の状態なので、「なましょうゆ」というわけですね。

加熱しなくても雑菌は入らないの?

火入れをしていないのがなましょうゆ、と知って、少し気になるのが雑菌。
きじょうゆは火入れによって雑菌を死滅させる役割も持っていますが、なましょうゆの場合はそれが行われていません。

先にご紹介したなましょうゆのJAS法での規格では、「火入れと同等の殺菌処理を行ったもの」のみをなましょうゆと呼ぶとしています。
さらに、雑菌の繁殖を防ぐ密閉容器にパッケージされています。
そのため、雑菌の心配がなく流通されているのです。

「生揚げ醤油」との違い

 

「なましょうゆ」や「きじょうゆ」と読む「生醤油」と名称が似ているものとして、「生揚げ醤油(きあげしょうゆ)」があります。
そこでここでは、「生揚げ醤油」がどのような醤油かをご紹介します。

「生揚げ醤油」は諸味を絞っただけの醤油

生揚げ醤油は、諸味を搾って熱処理などを施していない状態の醤油を指します。
つまり、「きじょうゆ」の火入れを行っていない状態のものという事になります。

商品としてお店などにおいてあることはまずなく、醤油メーカーや加工品メーカーに対してのみ販売されていることが多いです。
再仕込み醤油の仕込み水代わりに使われるといった使用方法から、製造途中にある醤油といったイメージで「生揚げ醤油」と言われます。

「生揚げ醤油」は発酵が進む

生揚げ醤油は、火入れといった加熱処理をしていないので、微生物がまだ生きています。
そのため、発酵が進むのでそのままパッケージングしてしまうとフタが吹き飛んでしまいます

そのような点からも、生揚げ醤油は一般流通がしにくい醤油だとされています。

まとめ

 

同じ「生醤油」という表記ですが、「きじょうゆ」と「なましょうゆ」は別物になります。

きじょうゆは「だしやみりんなどで味付けしていない、火入れをした醤油」のこと。
なましょうゆは「火入れを行わずにろ過を行う醤油」のことです。

きじょうゆは火入れをしているため、味に深みがあって香ばしく、なましょうゆは逆にさらりとした味で色味も鮮やかです。
それぞれ、料理や好みに合わせて選ぶといいですね!

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