酔った状態を意味する「へべれけ」とはどんな言葉?その語源はギリシア神話にある?

酔った状態にあることを「へべれけ」と言うことがあります。
また、酔っ払いそのもののことを指して用いることもありますね。

では、この「へべれけ」とはどのような言葉なのでしょうか?
そこでここでは、「へべれけ」という言葉について、その意味や由来について解説します。

「へべれけ」とは

 

まずは「へべれけ」という言葉について、その意味や語源を見ていきましょう。

「へべれけ」な状態は

「へべれけ」とは、お酒に酷く酔ってしまった状態のことです。
意識や記憶を失うほど飲み過ぎる、いわゆる酔いつぶれてしまうことや、酔っ払いを指して用いることもあります。

「へべれけ」の語源はギリシャ語??

「へべれけ」は、ギリシャ語から来ているという説があります。
これは「ヘーベーのお酌」を指すギリシャ語「ヘーベー・エリュエケ」が短縮されたとする説です。

ヘーベーはギリシア神話に出てくる青春の女神のことです。
彼女はゼウスとヘーラーの間に生まれた女神であり、英雄・ヘラクレスの妻でもあります。

青春を担うということもあって、神々の若さを保つための不死の霊薬をふるまう為、神々の宴会では給仕役も担当していました。
このへーベーは美しいことでも知られていたので、へーベーにお酌してもらった神々は、喜んで何杯も飲み干し泥酔してしまったという伝説が残っています。
そこから「ヘーベー・エリュエケ」という言葉が生まれ、転じて「へべれけ」という表現が生まれたともされます。

他にも、「へ」か「べ」か見分けがつかないほど酔ってしまう様子から来たという説や、酔っていることを指す「べろべろ」や「べろんべろん」に似た表現の一種として生まれたとする説もあります。

酔った度合いで変わる呼称

 

お酒を呑むことで酔いは回ってくるものです。
この一般的な酔い方を「単純酩酊」と言います。

単純酩酊は、アルコール血中濃度により酔いの段階が変わっていき、呼び名が変化していきます。
ここからはそれぞれの酔い具合について見ていきましょう。

爽快期

「爽快期」は、飲酒により陽気となり、爽快さを感じる段階です。
顔が赤くなってくる人もいますが、そのアルコール血中濃度は0.02〜0.04%となっています。

ほろ酔い期

「ほろ酔い期」は気持ちがほぐれるくらいに酔った状態です。
アルコールの作用で大脳新皮質が麻痺している状態にあります。

その血中アルコール濃度は0.05〜0.10%。
脈拍が早くなり体温が上がる、饒舌になるといった反応が見られてくる傾向にあります。

酩酊期

「酩酊期」は足取りがふらつく、いわゆる千鳥足になるほどに酔った状態です。
その血中アルコール濃度:0.16〜0.30%、大脳辺縁系にまで麻痺が及んでいる状態にあります。

ここまで酔うと呂律が回らなくなったり、気分の浮き沈みが大きくなったり、人に絡んだりといった行動を見せる人もいます。

泥酔

「泥酔期」は酔いつぶれるほどに酔った状態で、いわゆる「へべれけ」な状態になります。
血中アルコール濃度は0.31〜0.40%で大脳全体にまで麻痺が広がっている状態にあります。

呂律が全く回っていないので何を言っているのかわからない、そのまま床や道端でも寝てしまうといった人も出てきます。
ぐったりとして何もできなくなることがしばしばあり、中には嘔吐物を喉に詰まらせて窒息してしまうこともある注意が必要な状態です。

昏睡期

血中アルコール濃度が0.41%以上になると、「昏睡期」という何をしても起きないほど酔った状態になります。
この状況になると、意識はなくなっており命にかかわる事態に陥ることもあります。

酒飲みに関する言葉

 

最後に酒飲みに関する言葉をいくつかまとめてご紹介します。

大虎

「大虎」とは、酷くお酒に酔っている人を指す言葉です。
「虎」だけでも酔っ払いを意味することもあります。

これらの言葉は江戸時代から使用されており、当時はこのような酒に酔った人を保護する収容所を「虎箱」などとも呼んだりすることもありました。

酔って四つん這いになり、すっかり手のつけられない状態になっているという意味合いで「大虎」や「虎」と呼ばれるようになりました。

ザル

「ザル」とは、酒豪のことです。
お酒を飲んでも飲んでも様子が変わらない人を指します。

ザルという道具は、籠状ですが網目が入っていたり隙間が開いているので、どれほど水を入れても溜まることはありません。
そのザルに水を注いでいる様子と、飲んでも飲んでも酔わない人の姿を被らせて生まれた表現が「ザル」となります。

ゲコ

「ゲコ」とはお酒が飲めない、もしくはお酒を飲むのを忌避している人のことです。
この言葉は、かつての課税階級制度から来ているとされます。
律令制度というものが取られていた時代、成年男子の数で階級が定められていました。

階級が上ならば課税も多くなるのですが、反面婚姻の席などで飲めるお酒の量が多いという決まりもありました。
階級が一番高いのが「上戸」、逆に一番低いのが「下戸(ゲコ)」です。
この下戸は、渡されるお酒の量が少ないことから、お酒を飲めない人のことをゲコというようになりました。

逆に、大酒飲みのことを「ジョウゴ」と、上戸に由来する呼び方がされることもあります。

まとめ

「へべれけ」は、酷く酔っている状態を指す言葉です。
この言葉は、ギリシア神話に出てくる女神「ヘーベー」に由来するともいわれています。
一方で、同じ酔った状態を指す「へろへろ」や「べろべろ」に近い表現として生まれたとする説もあります。

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