
途切れることなく続くことを表す言葉のひとつ「のべつまくなし」。
これは、芝居の世界で幕を引くことなく演技することから来たとされています。
ここでは、この「のべつまくなし」という言葉についてその意味や用い方、由来について見ていきましょう。
また、よくある「のべつくまなし」という間違いについても見ていきましょう。
目次
「のべつまくなし」とは

まずは「のべつまくなし」という言葉について、その意味や用い方を見ていきましょう。
「のべつまくなし」の意味
「のべつまくなし」とは、ひっきりなしに続く様子をあらわしています。
何かが絶え間なく続いていくことを意味しています。
「のべつまくなし」の用い方・例文
「のべつまくなし」は、ずっと続いているということを伝えるために使用します。
「母がのべつまくなし愚痴を言っている」でしたら、ずっと愚痴を聞かされている状況をあらわしていますし、「のべつまくなし働いている」でしたら休日もなく連日働いているか、休憩も入れずにひたすら働いている様子をあらわしています。
「のべつ」+「幕なし」で「のべつまくなし」

では「のべつまくなし」はどのようにして生まれた言葉なのでしょうか。
その由来は、ひらがな表記ではわかりにくいですが、「延べつ+幕なし」という組み合わせで成立している言葉となっています。
「のべつ」とは
「のべつ」とは、休みなく続く様子を表す言葉です。
この「のべつ」は、「延べ」に助動詞「つ」が付いた語句です。
つまり、「のべつ」単体でも何かが続いていくことを指すということです。
「幕なし」とは
「幕なし」とは、一段落することがない様子を指す言葉です。
芝居で幕を引かずに演技し続けることを意味する語句でもあります。
つまり、幕が引かない状態をあらわす言葉ということになります。
「のべつくまなし」と言い間違われることも多い?

全てひらがな表記で文字数も多いためか、「のべつまくなし」は「のべつくまなし」と間違われることも多い言葉です。
しかも、その割合は全体の3分の1ほどにも及ぶのだとか。
「のべつくまなし」だと思っている人も多い
平成23年度の文化庁の国語に関する世論調査によると「のべつまくなし」を「のべつくまなし」と覚えている方が多いという結果が出ています。
その統計は以下の通りです。
・「のべつまくなし」を使う人が42.8%
・「のべつくまなし」を使う人が32.1%
「くまなし」だと認識している人の割合は全体の3分の1ほど。
「くまなし」は、「周辺をくまなく探す」といった用い方がされる、抜かりがないことを意味する言葉です。
行き届かないところが無い、という意味や、万事に行き渡っているという表現としても使用されます。
そのため、言い間違いをしても大きな違和感を抱かれていないのかもしれません。
まとめ
「のべつまくなし」は、何かが延々と続くことをあらわす言葉です。
この言葉は、幕を引かずに演じ続ける様子から生まれた灯されています。
「のべつくまなし」と言われたりすることもありますが、それは本来間違いとなります。
しかし、平成23年度に文化庁が行った調査では3分の1もの人が「のべつくまなし」だと思っていたのだとか。